108話 世界樹の心境───
「もう少しで、山頂ですね」
私はアーテルにそう言う。
「あぁ、そうだな。出来れば……ネロ、お前には休んでいて欲しいがな……」
「それは無理な相談と言うものです!」
「そんな事は分かっているさ。だから、お前はここに居る」
「そうですね……」
「アーテル様、その言葉はネロ様に対して言う言葉なのですか? 敵であるザックームに言えば良いのでは……」
「まぁ、それもそうだが……この様な暴挙を許したのは俺達の怠慢が原因の筈だ」
「「……」」
ラスとクーペはアーテルにそう言われ、黙る。
「ラス、クーペ。私の事は良いんです。アーテルが言っているのは、本当の事ですから」
「ですが……!」
「クーペ、大丈夫です。だから……」
「分かりました」
暫く間を開けて、クーペはそう言った。
その発言に対して……
「ありがとう。クーペ」
「感謝など……! 私達が感謝してもしたり無いくらいなので……」
「ネロ、あまり喋りすぎるな。ただでさえ……」
「私の体の事は、私が1番知ってます。そのくらいの判断は出来ますよ」
私の発言にアーテルはふっ、と笑う。
「……そうか。なら、好きにするが良い。その代わり、倒れたりしたら……俺がお前を殺すぞ?」
「おにーちゃんが怒るよ? それでも良いのなら……」
私の発言に舌打ちをする。
「わかっている。お前も流石に分かっていただろう。俺がお前の体調を気遣って言っている事くらい……」
アーテルはそう言うと顔を背けた。
ふふっ、こういう所は幾ら“傲慢”でも恥ずかしいのですね。
でも、その気持ちだけだと良いですね。
私はおにーちゃん以外の人を異性としては見ないので。
この“心配”がいつか……“好意”に変わらない事を願います。
───いや、ありえませんね。
“傲慢”に限ってそんな事はないですね。
私が喋らないからか、振り返って訊いてきた。
「ネロ……? どうかしたか?」
「いえ、何でも」
私は平然とそう答える。
この程度の痛み……あの時に比べたらなんて事ない。
あの時……おにーちゃんを転移させた時、おにーちゃんの周りに色んな“女”が居た。
その瞬間、私の中の何かが目覚めた───。
それは……嫉妬、とも呼べる物。
……私は、誰にも奪わせない。
私は、誰にも渡さない。
フギンにも───。
ムニンにも───。
アリシアにも───。
リルにも───。
ライムにも───。
ルフスにも───。
イアにも───。
イリスにも───。
レアにも───。
フラーウスにも───。
───誰にも、触れさせない。
おにーちゃんには私だけを見ていて欲しい。
その為なら、全ての人を利用する。
そして、私は幸せを掴む。
私はおにーちゃんさえ居れば、他は何も要らない。
……でも、おにーちゃんは違う。
おにーちゃんは“皆”を大切にしている。
だから……それを壊さないといけない。
その為には、この世界の真理と自らの過去を知って貰わないといけない。
ネロ、遂に病んだ───!?
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