107話 衰弱
獄神山の麓にて───
「では、そろそろ行きますか」
「何故、貴方が仕切っているんですか? アーテル」
「フハハッ! 良いではないですか!」
頭に響く様な大声でそう言う。
すると、こっちに向かって歩いてくる。
そして、すれ違い様に───「それに、貴方もギリギリでしょう」と私の耳元で囁いた。
気づいていたのですね。
私の心身が侵されている事に……。
悟らせない為に表情に出さない様にしていたのに。
「では……ゲリ、フレキ。貴方達は俺と一緒に前衛。ネロは後衛。そして、クーペとラスはネロの護衛をお願いします」
アーテルの発言にクーペとラスは頷く。
「言われなくても、そのつもりです」
クーペの発言にラスは頷く。
「クーペの言う通りです」
その発言にアーテルは誰にも聞こえぬ声で呟く。
「それは仲間と戦う事になっても、なのでしょうか……?」
* * *
そして、獄神山の頂上にて───
「フ……まさか、自らの配下が我に捕られているなど思いもしないだろうな……! まぁ、本人もそんなことに意識を割けるほど、楽では無いだろうがなぁ! フハハハハハハハハハハッ!!!」
我の眼前に映る青髪の女はフヴェルゲルミルに肩まで浸かっている。
泉は相当深い為、鎖で手首を縛ってある。
そして、その鎖を固定する為に空間属性魔法を使用している。
まぁ、ここに来るまで最短で4時間、と言った処か……。
「待っているぞ! ユグドラシルとその眷属共───!! 我はこの世界を壊しあの御方に献上するのだ!!! フハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!」
獄神山の山頂に我の声が木霊する。
まぁ、姿は変えている故、気づかぬだろうがな!
実に滑稽だ!
我の1割の力を受け継いだ分身体を破壊したのだ。
しっかりと、代償を払って貰うとしよう……!
「ん……あれ? 私……」
フヴェルゲルミルにほぼ全身浸かっているその女は、不思議とばかりに辺りを見回す。
すると、我を目が合う。
「そうよ! 貴方……! 私を攫ったのは───」
チッ!
「黙れ。静かにしていろ」
我はそう言って、その女の口を塞ぐ。
すると、もごもごと抵抗しながら喋りだす。
「あなはなんて……ねほさはが来たら、粉みしんに……!」
その発言に、我はニヤリと笑い、口を塞いでいた手を離す。
すると……
「な、なによ……! 私は怖くなんてないんだからね! 掛かってくるなら、掛かって来なさいよ! 相手をしてあげるんだから!!」
「フ……フハハハハハハハハハハ!!! 本当に馬鹿なようだ!! アイツからの情報だったが故、疑ってしまったが……今考えると馬鹿馬鹿しく思えてくる!」
「誰がバカよ! そう言う、貴方の方がバカなんじゃないの!?」
「……違う。我は天才なのだ!! 全て計算し、その全てが計画通りに事を運べた! これを天才と言わずして、何と言う!!?」
あぁ、つい……熱く語ってしまったな。
この癖を直さないと、敵に多くの情報与えてしまう……。
気をつけねばならぬな……。
「そんなに計画通りに事が運んで『自分は天才……完璧な者だ!』とでも言いたいのかもしれませんが、そんな事がそれ程、嬉しいのですか?」
「何……? 貴様は我の存在を否定するのか?
「えぇ、否定します。そんな完璧な物は……神ですら不可能です。だからこそ、私達は……一生懸命、その人生を謳歌する為に生きている筈です! 完璧などつまらなくないですか?」
……。
巫山戯るな……。
何が、完璧などつまらない……だ!
完璧を追い求めない貴様等に、何が分かる!?
「貴様ァ!! 我を、侮辱するなァア!!!」
最初から完璧な存在として創られた貴様等に……我の何が分かると言うのだ!!
その世界に存在する全ての生物達よ!
今、この瞬間にお前達の“死”が確定した!!
覚悟するが良い!!
ザックームの怒り───
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