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105話 フヴェルゲルミル


 ロキが精霊界(エデン)を去る少し前。

 冥獄界(ヘルヘイム)にて───

 地面で眠るテオスを見ながらフレキが発言する。


 「おい、シルフィード。陛下は───」


 フレキの発言にクーペは頷く。


 「分かっている。我等が王が倒れた原因は……」


 「───この世界を覆う不浄なる空気である瘴気」


 私はクーペの発言を遮り言う。


 「やはり……そうでしたか。でしたら、早めにセラに連絡を入れて聖水を……」


 ラスの発言を遮る様に地面が揺れる。

 ───いや、揺れているのは山。

 冥獄界(ヘルヘイム)の中心にある火山。

 そこには死獄界(ニヴルヘル)へ行く為の門と界遮聖泉(フヴェルゲルミル)がある。

 

 「まさかっ! 揺れているのは……獄神山(ゲヘナ)ですか!?」


 ラスが驚愕する。


 おかしい。

 普段はあの山は活動を停止している筈……ん?

 確か、管理していたのは……ルフスッ!!

 あのバカ、何かやらかしたままテオス様に仕えて───


 『フハハハハハハハッ! さぁ、始めよう───平行世界の消滅を!!』


 この声は!

 念話で私達に……!?

 ……まさかっ!

 ザックームの本当の目的は───……


 「ネロ様、テオス様を! 私は急いで警戒を───。? ネロ様……?」


 この世界を覆う瘴気が以前よりも強くなっている気がしたのは……ザックームの仕業ということ?

 それにおにーちゃんは倒れてしまっているし……もし、ザックームと戦闘になった場合、今の私達では戦闘にすらならない。

 最悪、天棲二十聖霊(リョースアールヴ)の全員を招集すれば───

 いや、私の考え過ぎかな……。


 私はその考えを頭の端へと追いやる。

 すると、微かに私を呼ぶ声が聞こえる。


 「───様……? ───ロ様! ネロ様!!」


 「? どうかしました? クーペ」


 「どうかしました、じゃないですよ! 私が今から上空で監視及び警戒をするので……」


 「それは私に『死にに行くから、見届けろ』という事ですか?」


 「どういう事ですか? 獄神山(ゲヘナ)が揺れた原因を───」


 「原因ですか……それなら貴方も分かっているのでしょう?」


 「何を仰って……?」


 「私達がここに来た理由は? そして、ザックームの名前の由来は? それを考えれば、自ずと答えが出てくるでしょう。でも、本当にザックームがこの揺れを起こしていた場合……私達では対処のしようが───」


 クーペがネロの発言を遮る。


 「ネロ様、無礼を承知で申します。何故、そこまでテオス様に頼るのですか? 前の貴方様は“無謀”であっても立ち向かおうとしていらっしゃいました。ですが……今はとても同一人物とは思えない程“保守的”なっておられるかと」


 おにーちゃんに頼っている?

 だって私達は───いや、私は……。

 

 「おい、ラス。貴様はネロ様に何という無礼な発言を───」


 「クーペ、問題ないからいいよ。それに、本当の事だから……」


 「ですが……!」


 「皆、行こう! 獄神山(ゲヘナ)へ!!」


 「ネロ様の仰せの通りに」


 とクーペが。


 「わかりました。ついて行きましょう」


 とラスが。


 「「我等は陛下の御心のままに」」


 と声を揃えてゲリとフレキが。

 そして……

 

 「陛下の妹君に付き従うのも、我等の義務ですから」


 「ゲリと同意見で御座います」


 皆の意見も纏った。

 でも、おにーちゃん……。

 ここに置いて行く訳にも……でも、これから向かう所は───


 その時だった。

 ある人物の声が聞こえたのは。


 『手を貸してやろうか? ネロ……』


 

ネロのピンチに何者かが助けに───

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] テオス様にだけおにーちゃんで甘いネロ様すこすこ侍 何か真名とかのような、名前がこの物語のキーワードになっている気配がしてきましたぞ!?
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