運命の変換点
ナッフィーから私を今まで形作ってくれた全ての人へ
雄大な空に浮かぶ街、慌ただしく飛び交う蟲、それに乗る人々。そして藤色の髪の少女…
「またこの夢か…」
僕はこれ以外の夢を見たことがない。
物心ついた時からずっとこの夢ばかりを見ていた。
しかし別に嫌だとは感じない何故なら…
「優斗ー!起きなさい、ご飯の時間ですよ!」
「はぁーい、母さん!今行くー!」
まぁ、この話は後で良いだろう。
今は先に家族の話をしよう。
僕の母さん餌取雨音。
もう40代後半のはずなのに未だに若々しく、美人である。
僕の父さん餌取博。
40代前半で人あたりの良さそうな顔をしている。
ちなみに頭の砂漠化が始まっていっている。
最悪なことに先祖の頭を見る限り遺伝である。
僕としては母の遺伝子を受け継ぎたいものだ。
「あれっ?父さん今日は仕事じゃないの?」
よく見ると仕事服を着ていない。
「休みを取った、お前も学校を休みなさい」
「え…?」
思いもよらなかった言葉に驚いた。
父は基本は優しいがこういうことに対しては厳格で決して学校を休めなどと言わないはずなのに…
「母さん、本当に今日なんだな?」
「ええ、ちゃんと見ましたよ。お父さん」
え?え?今日は何かの記念日だっけ?というか見たって何を?
「優斗、よく聞きなさい。優斗は今日別の世界に呼ばれます。本当は止めたいところだけど、父さんと母さんじゃ止められないの…」
は?いやいや、別の世界ってそんな本の世界でもあるまいし何を言っているの?
「母さん、大丈夫?変な物でも食べた?」
「いいえ、食べてないわ。話していなかったっけ?私が予知夢を見るって」
いやいやそんなこと聞いた事…あったわ。
実は子供の頃、僕は母さんから時々、夢でテストの答えを見て満点を取ったなどの話を聞いていたが正直冗談の類いだと思っていた。
「冗談だよね?」
「いいえ、本当よ。私の家系は代々予知夢を見る家系で昔はその能力もあって貴族だったのよ?」
「でも、そういうことなら僕が今までずっと見ていた夢は…」
「ええ、恐らく呼ばれる世界の情景を映していたのでしょう」
ってことは、ずっと見ていたあの世界に行けるんだ!
思わず飛び跳ねてしまいそうな気持ちになる。
ニヨニヨしている僕を見て父が言った。
「優斗、別の世界を甘く見ているな。別の世界は此処とは全く法則が違う世界かもしれない。最悪未知のウイルスにかかって死んだり、亡霊のように死のうにも死ねずに彷徨う可能性もある」
そのセリフを聞いても僕の決心は変わらない。
「そうか、決心は変わらないか…。母さん席を外してくれ」
と、父さんが言うと
「はいはい、わかりました」
そう言って母さんは部屋から出ていった。
「優斗、実はな…母さんにも言ってないが俺の家系も少し特殊なんだ。今からその説明と、力の使い方について直接脳に叩き込む。
少し記憶障害が出るかもしれんが、まぁいずれ思い出すだろう。時間もないことだし、早速始める」
えっ、父さんも!?…………
「ようこそ、この世界へ!私の<<バディ>>!」
そう、藤色の髪の少女が言った。
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