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第65話 波乱のパーティー

☆★☆★ 2巻発売決定! ☆★☆★


大変お待たせしました!!!!

『魔王様は回復魔術を極めたい~その聖女、世界最強につき~』2巻が、

8月25日発売決定です!


公爵令嬢イザベラ! 王子テオドール! ロリ――聖剣使いエリアナ!

全部でます! イラストレーターのふつー先生にかわいく、かっこよく描いていただいいますので、お楽しみです!

表紙もすごいことになっているのですが、後日また発表させていただきますね。


WEB版をさらにブラッシュアップし、ふつー先生のイラストが入った第2巻を、

ぜひぜひよろしくお願いします!!


「なんだなんだ? なんの騒ぎだ?」

「なんかジャアクとエリアナが勝負するらしい」

「エリアナって、あの聖剣使いになった」

「ジャアクもとうとう年貢の納め時だな」

「それで何の勝負をするんだ?」


 いつの間にかダンスパーティーは、我とエリアナの勝負の舞台と化していた。

 それまでダンスや会話に興じていた聖クランソニア学院の生徒たちが、一箇所に集まり、我らの勝負を見つめている。


 随分な騒ぎになってしまったが、我には関係ない。

 目の前の小娘――もとい先輩を完膚なきまで打ち倒すのみである。


 しばらくして我らの前にテーブルが用意される。

 皿に、フォークとナイフ。オーソドックスなスタイルだ。

 さらに運ばれてきたのは、山と積まれた豚のステーキである。


「おいおい。勝負って大食い対決かよ」

「普通、こういうのって美人コンテストとかだろ」

「それならジャアクが圧勝じゃね」

「愚か者! エリアナたんの隠れた魅力をわからんのか、ふんす!」


 かなり場は温まってきたようだ。

 熱くなりすぎて、我らの他に勝負を始める生徒まで現れたらしい。

 他にもこっそり賭け事までする者までいるようだ。ダンスパーティーとはいえ、学院の中で賭け事なんかしていいのだろうか?


「さすがですわ、ルブルさん。自らダンスパーティーの余興に勝って出てくれるなんて。実は、ダンスだけでは飽きるだろうと、あたくしとルブルさんのトランプ勝負をみんなに見ていただこうかと思ってましたの」


「そ、そう……。ごめんなさい。力になれなくて」


「いいえ! 謝る必要なんてありませんわ。ダンスパーティーが始まるまで、皆さんのお顔はず〜んと沈んでおりましたわ。ですが、どうです? この盛り上がりよう! これこそあたくしが求めていたものですわ」


 盛り上がっているというよりは、なんか殺気立っているような気もするが、我の気のせいだろうか。いや、いかんいかん。勝負に集中せねば。相手は『八剣(エイバー)』の第2席。さぞかしエリアナも気合いが入っているだろう。向こうが言い出した勝負だしな。


 ところが、エリアナは叱られていた。


「エリアナちゃん、何をしているの?」


「そうよ。あたしたちでダンスパーティーの警備をしましょうと言ったのは、エリアナちゃんなのよ。エリアナちゃんが騒動を起こしてどうするの?」


 シルヴィとグリフィルに詰められる。

 2人に叱られて、半泣きにでもなっているのかと思いきや、エリアナは至った普通だった。普通に怒りの表情を浮かべて、我の方を睨んでいる。


「わかんない。でも、これだけは言える。あの子に勝ちたい」


「それって、ルブルさんがジャアクだって言われてるから」


「違う」


 シルヴィの言葉に、エリアナははっきりと答えた。


「理由はわからない。そもそもそんなものはないかも。でも、ルブル(あの子)を見てるとざわつくの。エリアナの心が……!」


 一体何を話しているのだ?

 周りが騒がしくて、我の地獄耳を以てしてもよく聞き取れん。

 いずれにしろ、我とエリアナが勝負することは変わらないようだ。

 それはエリアナが我に向ける目でわかる。

 剣で切り結んだり、拳を合わせたりする訳ではないが、エリアナはこの勝負を全力で挑むらしい。


 イザベラは余興などと言ったが、とんでもない。

 真剣勝負というなら、我も全力で相手をせねばならぬだろう。


「エリアナ」


「何よ、ルブル・キル・なんとか」



 回復してやろう……。



 我は回復魔術をエリアナにかける。


「回復魔術? いきなり何をするのよ?」


「先輩と私では体格が違いますからね。それをイーブンにしただけです」


「そんなことを言って、エリアナに呪いでもかけたんじゃないでしょうね?」


 エリアナは我を睨みつける。

 ちょうどその時、司会進行となったイザベラが手を振り、注目を集めた。


「それではルブルさんとエリアナさんの大食い対決を始めます。レディ――」



 GO!!



 戦いの火蓋は切られた。

 勝負は至ってシンプルだ。皿に盛られた焼き豚を制限時間内にどれだけ食べられるかを競う。ちなみに皿1枚に盛られる焼き豚の重さは100グランだ。


 様々な術理に精通する我だが、流石に大食いまでは極めていない。

 そもそも極めるものではない。魔族もそうだが、人間は腹八分目が1番ちょうどいい。それ以上、自分に対する拷問だ。そして我は自分を痛めつける趣味は持ち合わせてはいない。


 だが、勝負となっては勝たなければならぬ。

 必勝の策はとにかく最初にどれほどの量を掻き込めるか。満腹中枢が刺激される前にどれだけの肉を胃に放り込めるかが肝要。あと咀嚼の回数も大事になってくる。回数が多ければそれだけで肉を噛み砕けるが、時間もかかる上、満腹中枢が刺激されることになる。逆にツルツルと飲み込んでおれば、これもまた腹がいっぱいになってしまう。

 とにかく無駄な噛みをなくし、効率的に胃の中に落とし込むかが勝負の分かれ目になってくる。


 それは向こうもわかっている。

 エリアナは全速力でお肉をかき込んでいた。

 今は一進一退の攻防と評していいだろう。

 その中で、イザベラの甲高い声が響き渡る。


「さあ、始まりました、大食い対決! 実況はイザベラと……!」


「何故か急遽解説に抜擢されたグリフィルがお伝えするわよん」


「さあ、初っ端から両者とも火花を散らしてますわね。勝負のポイントはどこでしょうか、グリフィルさん?」


「あたしが言わなくても、2人はわかってるみたいね。まずは序盤よ。ここでお互い相手に、どれだけの皿差をつけるかが重要なのよ。つまり、序盤を制するものが、この勝負を制するのね」


「今、2人の皿は8枚と8枚。同数です。時間は10分を過ぎたところです。どうですか、解説のグリフィルさん」


「すごく速いペースだわ。エリアナってあんな風に食べられたのね」


 グリフィルの言ったことは、他の生徒も考えていたらしい。

 先日聖剣使いに任じられ、聖クランソニア学院の中で2番目の成績をもつ才女が、焼き豚に齧り付いているのだ。意外と思う者がほとんどらしい。


 思えばエリアナは妙な女子だ。

 クールな才女かと思いきや、小動物のように可愛いかったり、こうして敵意をむき出し、我に挑んできたりもする。果たして、素のエリアナとはどんな人物なのだろうか。なんだか1度気になり出したら、無性にエリアナのことが知りたくなってきた。


 振り返ってみると、ロロの時もそうだった。

 最初はちょっと小うるさい勇者――それだけだ。

 でも、何度も何度もめげずに、挫けることなく、我に挑んできた。

 結局我に勝つことはできなかったが、気づけばロロは我の友となった。


 仮にこの勝負に我が勝てば、いやこの勝負だけではなく、エリアナとこの後も戦う機会があれば、いつしかエリアナは我の友となっているのだろうか。

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