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MACHINE TRAVELER 〜秘密兵器てんこ盛りのかな強少年の話です〜  作者: 紫乃崎タチロー
EP1 ジンタローと迷える異世界転移者
3/7

マナチェンジ・ガントレット

その時テコナは、パッと思いついた。

「そうだ!ジンタロー、ちょっと待って…」

と、テコナは持っていたリュックを取り出した。

彼女が目覚めた時から持っていた物だ。

その中身をガサゴソ探る。テコナも開けるのは初めてだ。

「?」と言う感情をもろに出したジンタローだが、彼を満足させる物が入って無いだろうか?

「えっと…」

水筒、石ころ、マッチ、変な宝石、財布…

そこらに放り散らかす。人の家だが、別に仲良いしそこはいいでしょ!

「ジンタロー、なんか気になる物ある?」

「いや、別に」

(ヤバイヤバイヤバイ…)

しかし話はいい具合に変わった。

「おっと、言い忘れてたことがあるぜ」

ジンタローが切り出した。

「このマナチェンジ・ガントレットは、実は未完成なんだ。」

「へ?そうなの?」

「あぁ、『輪廻の宝玉』って言う宝石が必要らしくてさー…なんでも、『テンセイシャ』とか、他には『テンイシャ』とかしか持ってねぇらしいんだけどさ…ん?どした?」

「い、いやぁ何でもない、何でも…(危ない危ない、びっくりして叫びそうだった…)」

テコナは『テンイシャ』に当てはまる覚えしか無い。まさに図星だ。

「うん?まぁいいけど…それはこの世界では取ることが出来ないらしいんだよ、昔おいちゃんがよく話してくれたぜ」

「そそそそ、そうなんだー…」

さっきから焦りまくりのテコナ。そんなもんあったっけ!?

「それさえ有れば完成なんだけどなぁ~…でも、いつか見つけるぜ!」

「あ、が、頑張ってね~」

よくは見ていないが、リュックの中にそんなものは入ってなかった。

ここでジンタローの希望を折るわけにもいかないし、テコナは笑って誤魔化した。

また、気をそらすためにがちゃがちゃバッグを探っているフリをする。


ーーが、テコナはふと思い立った。

(そういえば、レイドさんはどうして転生者のことを知っているんだろ?)

ジンタローにそのことを聞こうとした、その時であった。


バッグに突っ込んだ手に、コツン、と何かが当たった。

「ん?」

それは手に取れる大きさだったので、取り出してみる。

「わっ…キレイな宝石…」

透明な宝石で、よく見ると中に変な模様がある。

「ん?なになにー?」

覗き込んだジンタロー。

すると急にジンタローが…

ばっとテコナからそれを奪い取った。

えらく動揺している。

「おおおおお、お前、ここここ、これ……どどどど、どこで…」

「えっ?」

テコナにはなんのことやら。

そのままジンタローは無言で部屋の一角にダッシュし、タンスをガサゴソやる。

そして、一枚の古めかしい紙を取り出した。

「ほらっ!これ見ろよ!この宝石っ!この宝石こそが輪廻の宝玉なんだっ!」

興奮したようにばっと紙と宝石をずいっとテコナの前に突き出す。

その紙には丁寧に描かれた、テコナが出した宝石にそっくりなイラストが書かれている。

「やった…!やっと見つけた!これでおいちゃんの託したマナチェンジ・ガントレットが完成するぞ…やったーーっ!」

ジンタローは飛び上がって喜び、それからハッとしたようにテコナに向かい合った。

(ま…まさか用済みとか言われないよね…?)

さっきからジンタローのテンションがめちゃくちゃで、テコナはビビリ上がっていた。

だが、ジンタローは…ばっと床に頭を擦り付けた。

「お願いしまっす!どーかコレ、譲ってくださいっ!」

「へっ!?」

フツーにお願いされちゃった…。

「ど、どーぞ…」

別にテコナが持っていても役に立ちそうにないので、おっかなびっくり返事を返す。

「やったーーーっ!そうこなくっちゃ!

そうと決まれば、早速作るぞー!」

ジンタローは再びタンスに戻り、設計図を取り出して、マナチェンジ・ガントレットをひっつかんで家を飛び出して行った。

「あらら…行っちゃった…」

テコナが扉を開けても、そこにジンタローはいない。


…と思ったら。

「あっテコナ!」

「うわわっ!」

いきなりジンタローがひょこっと顔を出した。

「せっかくの機会だ!なんか作って欲しい物あるか?お礼と思って!出来ることならなんでも作るぜ!」

わくわくした表情でジンタローが言う。

「えっ?え、えぇーと…」

「ひとまず行こう!オレもうテンションがバクハツしそうなんだ!」

そう言うと、梯子をさーっと降りていった。

「これ、ついてこいってこと?」

テコナも後を追って、梯子を降りていった。


~~~~~~~~~~~~~


テコナが見ているなか、ジンタローは鉄製の箱を取り出してがさごそやり、とあるパーツを取り出した。

「ほら、これが外側部分だよ」

「外側部分?」

「さっき見せたのはマナチェンジ・ガントレットのベースになる部分だ。あれの上からこれらをくっつけて補強する」

そう言ってジンタローは箱の中身を全て取り出した。

鎧のパーツのようだ。たくさんの鉄板があり、あれを全て付けてもさぞかし動きやすいだろう。

「これは手の甲の第3パーツだよ。これに輪廻の宝玉を入れる隙間を作ってたんだぜ。正直使う時がくるとは思ってなかったけど…」

そりゃそうだ。そもそも完成予定が無かったのだから。

ジンタローは、右手のパーツに慎重に輪廻の宝玉をはめた。

「こいつをはめて、冷やして固定してっと…これでよしっ!うっしゃあ、完成だーっ!」

「でも一つしか無いけど、片手分だけでいいの?」

「いいんだよ。左手は別のをはめてる」

そう言ってジンタローは「ほら」と左手のパーツをテコナに見せてくれた。

見てみると、なるほど、輪廻の宝玉…ではないようだが、綺麗な宝石がはめられている。

「こいつは光属性魔法石の純結晶なんだ。転生は神様によって行われるから、光のこいつと輪廻の宝石が反応しあってパワーアップしたり、離れすぎると磁石みたいに戻ってくるらしいぜ」

「へぇ~、ジンタローくん、物知り~」

「いや、設計図音読しただけ」

「あ…そ、そう…」

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