表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/23

季ノ国の統治方法

仮に、人と人との信頼関係のみで、巨大な人垣を築こうとすれば……

嘘偽りのない関係を求めるだろう。


でも、人は上手に嘘を付く。だから、季ノ国は、こんな手を編み出した。


作者はスケベですが、幸姫さんは、シリアスに真剣ですw

 不覚にも想像してしまって、スケベな顔になったのだろう。幸姫(こうき)には、また「け・だ・も・の」と罵られてしまった。


「季ノ国を存続されるために、必要な宣誓の儀式について、スケベな妄想をする人なんて初めて見たわ。此処は、究極のお花畑で究極の色狂いの乱れきった国ってことなの」


「一寸、待ってくれ。裸で反意が無い事を誓わせる。それも、女性に対して、それをさせる。

 この世界で、そんな例は知らない。そんな事をしたら、逆に反乱を誘発するようなものじゃないか。幸姫こそ、俺を揶揄(からか)っているのか? 俺の方こそ『ふざけるな』と言いたいよ」


「わ、私の事を破廉恥女のように言う。酷い。ケダモノはケダモノね『け・だ・も・の』」


 いかん、余計な事を言ってしまった。


「ご、ごめん、そんなつもりじゃない。此方の世界と幸姫さんの世界で常識が違い過ぎて困惑しているんだ。俺には良く判らないけど、何か重要で真剣な意味があるんだろう。その事を教えてくれ。さっき、俺も此方の世界の選挙について一生懸命説明しただろ」


 幸姫は、唸っていたが、暫く経って冷静になった。自制心は凄く高いようだ。そして、話を続けた。



「誤解を解くために、そして私の名誉を守る為に、季ノ国の統治の秘術について説明するわ。

 言っておくけど、女性は、完全な素っ裸じゃないわ。一応、ビキニの水着なら構わないわ。身体の動きを隠さないように、パットすら禁止だけど、兎に角素っ裸じゃないわ。


 私の立場を最初に説明するわ。季ノ国の今のボスは、私のお爺さん。とは言っても、孫娘だけで100人近く居る。私は、どちらかと言うと末席に近い。子供の頃から、季ノ国の誰か有望な男に嫁がせる事を前提に育てられたの。


 季ノ国が4代も続いているのは、家族を非常に大切にするからよ。私のような末席の孫娘でも3日に一回は、ボスと同じ広間で晩餐をするわ。身体の動きをあまり隠さないように、ピシッと正装して素足で参加するの。

 人数が多いし、皆挨拶周りに忙しいから立食だわ。武器を隠せないようにレオタードを着た召使い達が、参加者を廻って食べ物を配るの。


 そうやって、同じ利害を持つ家族の間で親密に話す機会を増やす。つまり、癖や仕草をよく理解し合って、上手く協力し合えるようにするの。そうしないと、誰が反意を持って斬りかかるか不安で仕方なくなるわ。でも、家族といっても色々あって、ボスに不満を持つこともある。小さな不満が膨れ上がって、殺し合いに発展する事もある。


 知らぬ間に、そんな不和が大きくならないように、宣誓の儀式があるの。何も隠さぬように、お互いに裸になって、協力し合う意思がある事を確認し合うの。私だって、夫でも無い男にそんな姿を見られるのは、凄く嫌、だけど知らぬ間に不和が広がって、いきなり闇討ちされるよりは、随分マシだわ。命以上に大切な物なんてないのだから。


 宣誓の儀式の良い所は、例え不和があっても、家族だからイキナリ殺される事は無いって事。ゆっくりと不満を解消するか、武器の所持を禁じるとか役職を外すとか、穏便な手を使うように配慮されるの。

 例え、不和が巨大になり過ぎて、監禁とかされても、粛清されるよりは遥かにマシだわ。そうやって、一族の中で、ボスが使える者を確認することは、季ノ国を安定させる意味でも重要なの。


 ボスが直接使える者が多ければ多いほど、統治するための手が増える。使える家族一人は、何十人かの手下をコントロールできる。そして、その一人一人の手下に何か季ノ国の為になる仕事をさせる事が出来る。


 人口が300万人近い、季ノ国を安定させて、私自身が富貴な生活を続ける為に必要な事なのよ。年に一回、お爺さんと次期ボスの叔父さんにそんな姿を見られる事、裸を見なきゃいけない事。凄く恥ずかしいけど、スケベな感情を持つような事じゃないってケダモノにも理解できるでしょ」



 何なんだ、その奇怪な統治方式は、理解不能にも程がある。戦国時代の豪族・国人以下の統治方法じゃないか。戦国大名でも、もっとマシだぞ。

 頭が痛くなった。リアリティーがなさ過ぎて、小説にも使えない。


「重要な儀式って事は分かった。だが、異世界の政治は俺には難しそうだ。もっと、身近な物、食べ物とか化粧品とかの話もしてくれないか」


「そうね、政治の話は疲れるわ。でも、私は上流階級だから、一般庶民の生活とはかけ離れているわよ」


「構わないさ。料理、洗濯、掃除をした事が無いお嬢様さんだとしても、異世界の話はそれだけで価値がある」


 幸姫は、物凄く怪訝な顔をしてから、切り返した。


「下層民の女性や凄く不器用な従姉妹の中には、日常の事が出来ない娘もいるけど、私はキチンと出来るわよ。此方のお嬢様は違うの」


「う〜ん。実は、お嬢様には知り合いが居ないが、召使いや料理人に任せてしまうというイメージがあるな。でも、料理が趣味って話も聞くな」


「結構違うのね。まあ良いわ。私は、野戦食も宮殿の晩餐も、日常の食事も何でも出来るわよ。3日に一度の晩餐では、ボスと並んで料理するメンバーの一人だった。ボスや次代の手際に比べればまだまだだけど、私の腕もかなりのものよ。

 さっきの、早いだけの食事なんか目じゃないわ」


 凄く、謎な言葉が混じっていたが、後回しにしよう。先に、食材とか料理法に注目しよう。


次は「住民登録と家事分担」です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ