季ノ国には神話が無い!
チョットだけ下品です。ご容赦下さい。
俺は、言われるまま、姫の前で裸になった。凄く恥ずかしいが、姫が望むことだ。そうしたら、姫がうそ発見器と高速度カメラを持ってやってきた。
「悪いけど、うそ発見器も使わせて貰うわ。また、高速度カメラでも撮影するからね」
「え!何処まで羞恥プレイをさせる気なんだ‼」
姫は、全裸になった俺の股間をチラリと覗いた。
「本当は、代償に此処で私も裸になるべきなんだろうけど……この状態だと、質問する事すら出来なくなるから、ごめんね。お詫びに、真面目に我慢している私の入浴シーン、解禁してあげるわ。私が不在の時に、存分に堪能してね」
「俺は、ケダモノじゃない。解禁されたって、そんな事する訳ないじゃないか」
「うそ発見器も反応しているし、全く隠せていないからその嘘。
赤裸々に本当の事を話すモードで質問に答えて欲しいんだ。本当の事を言っても、お兄ちゃんを嫌ったりは絶対しないと誓うから。では、始めるね」
「今、私に欲情している?」
「そんなわけ……見れば分かるだろ」
「私と結婚したい?」
「勿論だとも」
「私の下着を漁ったりしている?」
「俺はケダモノじゃ……ごめん。バレていたのか」
「ビキニの凄く際どい水着を購入済み?」
「バレていたのか。そうだ。」
「フォトショップの合成で、私の着脱を楽しんでいる?」
「そうだ。許してくれ」
「この後、私を犯すつもり?」
「これ以上俺を狂わせないでくれ。欲情しきっているから理性を保つ自信が無い」
「大体、良さそうね。それでは、本題に入りましょう」
「まずは、神話について、知っていることを説明して。最初に作ったのは誰で、何時頃なのかとか」
「神話自体は、歴史が始まるより前から存在しているはずだ。だから最初に作った者など判りようがない。小さい神話はそれこそ簡単に出現しえる。ほんの数十年前にパプアニューギニアという土地で、飛行機を神と崇めた例がある位だ」
俺は神話の発展について聞きかじった説を説明していった。最初は、小部族単位でそれぞれの神を崇めていた。社会が大きくなる時に、多くの小部族の神々を集めて、神話体系──ギリシャ神話とか日本神話とか──が形成された。それが多神教の始まりだと考えられている。
一方、一神教はユダヤ人が発明したと考えられており、強力な国家と結びついた例もあり、大宗教に発展した。他に、輪廻転生の繰り返しからの解脱を唱える、仏教のような宗教もある。科学万能主義や共産主義も、宗教の一つと考えるような論客が居る。事実、レーニンは聖廟で祀られている。
兎にも角にも、神話と宗教は、人の社会に不可欠な存在として、人々の歴史に強烈な影響を与えながら発展を続けている。
「本当に、季ノ国には、神話が無いのか?」
一通り話した後で、俺は姫に聞いた。
「無い。確実に無い。そんな物があれば、季ノ家の者が知らぬはずは無い。
神話の物語や歴史的な側面は、判った。お兄ちゃんも専門家じゃないんだろうから、これ以上は良い。それより、その神話がお兄ちゃんの心にどのような影響を与えているかが重要だわ。色々、答え辛い事を聞くけど、お願い。これを理解しない限り、私は前進出来ない」
俺は、それから幾つもの恥ずかしい尋問を受けた。心理分析でもしたいのか、心の奥底の恥部を曝くような質問ばかりだった。酷い屈辱で、俺は激しく混乱状態になった。
「神という言葉には、何か特殊な──心の奥底を拘束するような──効果がある事は確かね。そして、それは多人数で共有される上位自我になる事も判った。
ボスによる脅しの比じゃ無いわ。こんな強烈な効果があるなら、どのボスでも採用する。そして、統治に都合の良い『神話』の開発に力を注ぐわ」
「神の概念にそんな効果があるのか? いや、あり得ない。俺もだが、現在の日本人の多くは、神を信じていない」
「嘘だわ。少なくとも私には見える。お兄ちゃんも神に類する何かを信じている。それに心当たりがある筈だわ」
「……国民国家とか民族とか、多数決の原理とか……そんなのも姫から見ると『神に類する何か』なのか」
「人生の主人公である自分より遥かに強い。キャラになる事も可能だけど、通常はキャラでは無い。そして、上位自我になり得る。
私の言いたい事が判るでしょ」
「むむむむ……チクショウ」
心まで丸裸にされた屈辱、自分の世界の話で議論に敗北した屈辱、俺の中で真っ黒い何かが、吹き出そうだ。こんな目に合わせた小娘に何か報いを与えたい。
気配を感じたのか、此処から逃げようと、姫は誤魔化しを言う。
「此処まで酷い事をしたんだから、私は全て覚悟済みよ。
でも、このままケダモノ状態で、愛も無く、乱暴されるのは、嫌。だから、しばらく外出するから、クールダウンしておいてね。
その間にお兄ちゃん自身で処理しておいてくれると気は楽なんだけど……
仕方が無い。愛が有るなら許せるから。私が、あなたの女になるかどうかは、随分前からあなたの心の問題。私の本音を信じれるか信じれないかだけだわ。ヘタレのお兄ちゃん」
逃がさない! 俺は、手を伸ばし、姫の利き手を力一杯握りしめた。
「愛しているんだ。逃げないで此処に居てくれよ」
まだ、良い子ぶるかよ、俺は。でも、姫の鋭利な目が怖い。……見透かされる。
「壊された俺の心を癒す為に、ヒメを征服したいんだ!」
「望むならば……でも、暗黒の復讐心で、愛していた女を強姦したら、あなたの心の神聖な部分が傷ついたりしない?」
気付いた時には、俺は手を離していた。
次は「テロリストとの遭遇」です。




