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法律の起源について

『法の起源』は架空の本です。仮に、同タイトルの本が既にあっても関係ありません。

法の成立と普及を歴史的経緯に沿って分かり易く書いた本と設定しています。

法律が理解できない事を起点として、二つの世界の違いを統合的に描写出来ればと考えています。


なお、性的描写は今後曖昧に、幾らでも解釈の余地があるように描く予定です。



 翌日のデートは楽しかった。サービスして心をコチョコチョくすぐる幸姫に俺はメロメロになって、家電は値段も見ずに、希望の物にした。システムキッチンに、最新お掃除ロボット? 上等だ、幸姫に相応しい。


 定番の遊園地も喫茶店も、兎に角パーフェクトに楽しかった。しかも……イヤイヤ此処は公共の場所、「小説家になろう」だ。プライベートをあまり明け透けにするものじゃない。


 デートで勇気を貰った俺は、直ぐに履歴の捏造工作を開始した。


 取材の合間を見て、今日は青森県の寒村に来ている。修正力がどの程度か確認する為だ。


「悩んだのがバカみたいだったな」


 1日の調査を終え、俺はそう(こぼ)した。


「何をどう確認したか私には判らない。だけど、大丈夫なの?」


「ああ、履歴を捏造する必要が無い。というか、完璧に捏造済みだ。


 優馬幸姫という子は、ロクデナシの実の両親から逃げるため、不登校気味だった中学校を卒業後直ぐに家出した。5年前の16歳の時、俺の両親に出会って養子縁組をした。その後は、短期のアルバイトをしながら全国を転々としていた。

 辛い事が多いから詳しく語りたくない。ちなみに、実の両親は、山崩れで家ごと亡くなっているし、兄弟もいない。


 このストーリーで、公式の記録との矛盾が無い。


 警察が本気を出せば、何か矛盾点を見つけるかもしれないが、重犯罪に関わらなければ、そんな手間を掛けたりしない」


「お兄ちゃんありがとう。大好き」


 幸姫は、そう言って俺に抱き付いてきた。背中を優しく叩きながら、俺は甘美な思いに浸っていた。演技でも構わない。天国にいる気分だ。


 しばらくして、体を離した幸姫は、イタズラそうな表情で俺を煽った。


「ふふ、理性はキチンと残っているのね。良かった。お礼はしたかったけど少し心配だったの。でも、うーん。

 私が、自立出来たら。あなたに私を許すか検討しても良いわ」


 俺には、細かい表情は読めない。でも、信じよう。


 幸姫の不安の半分は──俺に殺生与奪を握られている──そう感じている事だ。自立させれば、恐怖の対象でなくなり、俺を公平に見てくれるだろう。本気で口説くのは、それからでも良い。下心なんて見え見えなのだから。


 しかし、……自立させるためには、この日本社会の事をよく理解してもらう必要がある。少なくとも、此処がどれだけ法律を重視する社会なのか理解してもらわねばならない。しかし、どうやって『法律』を理解させる? そもそも、『法律』が理解できない理由が全く分からない。


 帰宅後、何時もの取材の作戦会議の途中で、俺は幸姫に問いかけた。


「前に、『法の起源』って本を渡したよね。あれで、判らない部分はあった?」


「あれは……判る部分が無い。判らない単語が多すぎて読み進める事が出来ない」


「そんなに、酷いのか?」


「あれは、本当に本なんだよね? 何か意味のない落書きを渡されたのかと一瞬疑ってしまう位だった」


「……悪かった。そんなに困っているなんて気が付かなかった」


「やはり、イタズラだったの! 信じていたのに!」


「違う違う。イタズラじゃない。あれはまっとうな本、しかも解りやすさを重視して選んだ本だ。それが、読み進められないという事は……」


「私がバカだとでも言うつもりなの!」


「早合点しないでくれ。判らない言葉は、それだけで何か重要な意味があるんだ。そこまで、判らない単語が多いならば、幸姫の世界とこの世界の違いを理解するための突破口になるかも知れない」


「違いを理解して、何か良い事があるの?」


「幸姫が自立する為に、必要なのは後二つだ。


 一つは、俺以外から金を得られるようになる事だ。これは、もう時間の問題だ。才能があるから、俺の助手として働いていれば、何れ自分の仕事を取れるようになる。それに、頭も良いし器用だから、何か資格を取る事も難しくないだろう。

 もう一つは、一般的常識だ。『法律』が理解できないなんて状態でまともな社会生活が出来る訳は無い。恐らく、此方の方がより深刻だ。極端な話、一般的常識が十分なら、今此処から家出しても、何とかなるだろう。


 幸姫の自立に向けた最大の難関の突破口を見つけられたのかも知れない。今日から早速、二人で読み進めよう」


「…………あ、有難う。危険だからお礼は出来ないけど、本当にありがとう。自立出来ても、あなたの誠意と優しさは決して忘れない」


 非常に躊躇してから、幸姫は声を出した。今、抱き付いたら、そのまま襲われると、そう判断したのだろう。仕方ない。此処には二人しか居ない。確かにヤバイ。でも、何か精神的なお礼が欲しいな……


「お礼の代わりに、ひとつ頼みがある『ヒメ』って呼ばせてくれ。『こうき』だと、硬くて愛を込めにくい。ダメかな」


「判ったわw 二人だけの時よ。私も二人だけの時は『ちゃん』付けしてあげる。自立出来たら、愛を込めて『あ・な・た』って呼んであげる。それは、約束出来る。

 でも、理性を失ってはダメよ。私は安い女じゃないからw」


 ……理性を捨てて、このまま奪いたい。


次は、「指輪を贈る普通の意味」です。


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