異世界召喚編(2)
「‥‥は?」
一樹達が、目を開けると、そこは、全く知らない場所だった。
どこかの王宮だろうか?
そう思わせるような、豪華さが部屋のあちらこちらからも、伺える。
「どこだ?ここ。」
その言葉は、クラスの全員が思っていることだろう。
「‥‥本当だったんだ‥‥あのスレ‥‥」
一樹の隣では、達也が腰を抜かして、そんなことを呟いていた。
「なあ、竜也。そのスレの内容を詳しく教えて貰っていいか?」
「あ、ああ‥‥お前、よく冷静でいられんな‥‥」
(冷静なもんかよ‥‥異世界だぞ?そんなの‥‥ワクワクするに決まってるじゃんか!)
一樹も、男である。そういうシチュエーションに、憧れていたのは、当然の事なのだろう。
「そのスレにはこう書いてあったんだ。
『私は、異世界から来た異世界人だ。もし、君たち、地球人が私の世界に来たいなら、大人数で、こう唱えるといい。『テレポート』とな。』
これがスレの始まりだよ。そこからは、あんまり覚えてないなぁ‥‥」
「そうか‥‥」
(とすると‥‥ここはやっぱり異世界なのか‥‥テンプレなのは‥‥『ステータス』。)
瞬間、一樹の目の前に、ウィンドウのような物が表示される。
「うぉ!」
「っ!どうした!一樹!何かあったのか!」
「お、落ち着いて聞けよ?」
「お、おう‥‥」
「今、『ステータス』って念じたら、ステータスが出たんだよ!」
「おお!マジか!テンプレだな!よし!『ステータス!』」
「‥‥どうだ?」
「‥‥何も出ねぇぞ?」
「馬っ鹿!念じろって言ってるだろ?」
「あ!そうか!」
達也はかなりテンパっているようだった。
まあ、それもそうだろう。むしろ、恐怖を感じずに、冷静でいられる一樹の方が異常だと言えるだろう。
「うぉ!」
「な!?な!?出ただろ?」
「おう!ナニナニ‥‥」
そうして、二人で盛り上がっている最中だったのだが、そこに、聞こえてくる複数の足音。
それを聞いたクラスメイト達は、全員固まり、息をひそめる。
そして‥‥
「何者だ!」
衛兵?のような人たちがその部屋に入ってきた。
「ここは王宮であるぞ!何故ここに入ってきた!いや、そもそも、何故、ここに入ってこれた!答えよ!」
その問いに、一樹が1歩前に出て答える。
「俺達は、異世界から来た。つまり、異世界人だ。証拠はない。が、お前達なら分かるんじゃないか?」
もちろん嘘である。この世界に異世界の知識があるかどうかも分からない。つまり、異世界人と言っても、信じてもらえない可能性だってあるのだ。
その答えに、衛兵は、
「‥‥ステータスを読み上げてみよ!それと、誰か。犯罪者写しの水晶をもってこい!」
衛兵は、そう命令すると、目線を、一樹にではなく、竜也に合わせた。
「其方。ステーテスを読み上げてみよ。」
「え、え?俺?」
「其方以外に誰がいるのだ。」
竜也は、ビクビクしながら読み上げる。
「ええと‥‥
タツヤ・コウヅキ
職業勇者‥‥‥‥」
そこまで言った時、衛兵の顔が驚愕に歪み、
「何!?勇者だと!?」
と大声を上げ、竜也の読み上げている声を、強制的に中断した。
それと共に、さっきどこかに行った衛兵が、水晶玉のような物を持ってきた。
「‥‥勇者殿、そして、ほかのもの達も、この水商に触れてくれ。」
「‥‥何です?これは?」
一樹が尋ねる。
「これは、犯罪者写しの水晶、と言う。何か、自分の中で犯罪を起こした記憶があると、この玉は赤く光る。それ以外なら、玉は青く光るんだ。」
(ふぅん‥‥便利なものがあるんだな‥‥)
そうして、クラスメイト達の、犯罪者検査が行われることとなったのだ。
次は、今日の昼までには投稿します。