第八話 動き出そうとする者達
朝、それは俺のような怠け者からすると、とても楽しいものとは言えない。
しかし楽しくなかろうがなんだろうが来るのが朝というものだ。それはここ異世界にても変わらぬようで、どうやら朝を迎えてしまったようだ。
ベットから身体を起こして隣のベットを見てみるとそこにはハルの姿はなかった。
もう起きてるのかなと俺はドアに向かうべくベットから足を下ろした。
俺はすでにいい匂いがしている下の階へと向かうことにした。
「あっ、おはよう、シオン。」
「お、おう、おはよう。」
そこにいたのはエプロン姿のハルだった。うーむ、やっぱり女だったんだなぁ。
「どうしたの?」
「いや、世の中には鈍い奴とか以外と多そうだなと思って。」
「なにそれ?」
くすっと笑うところ見たりすると女の子っぽいのによく今まで気がつかなかったな、俺。
「シオン、おはよう。ずいぶん寝てたみたいだけどよく寝れたかい?」
「ええ、沢山寝ましたが頭を使いましたね。まぁそのおかげで、妖精魔法について色々学べましたよ。」
「…どういうことだい?」
「とりあえず食べながらでもお話します。」
俺は見た夢のことを全て話した。妖精のこと、妖精はアーサーに関係ないこと、俺の魔法のこと。するとサバナは考え込んだように黙ってしまった。
「………ざっとこんな感じですね。まぁ、それなんでとりあえず他の魔法は問題なく使えるみたいですね。」
「でもシオンすごいや。戦うのもそうだし、魔法もそんなに強いなんて。」
まあ、そのせいでうるさいのに寝ている時に絡まれる特典付きだけどな。
「…じゃあとりあえず修行はなんとかなりそうだね。体術の指導はシオンがやってあげな。あんたは私より強い。じゃあ、外に出てな。私もすぐに行くよ。」
俺たちは言われた通り外に出ることにした。修行という物はあまりいいイメージがないが、とりあえず頑張るしかない。
あと疑問も残っている。それを片付けなければならない時も来るだろう。
そして俺は綺麗に晴れている青空を見上げた。
同時刻。魔女の塔。
そこは薄暗くも、蜘蛛の巣が張り巡らされてるわけでもなくごく普通の書室。
そこにいるのは一人の女の子。
そしてその女の子が昨日感じたのは危機感、自分に、自分達に届く人間が現れた。そう、その危機感は否応なく彼女にそれを伝えていた。
少女は少なからず焦っていた。もしかしたら自分の所に来るかもしれない、と。
そしてそんなことを考えているうちに、彼女は、さも愉快そうに笑い、そして寂しそうに嘲笑する。
その笑いは誰に向けての物なのか。
今回は投稿時間が空いてしまって申し訳ありません。次回から気をつけます!