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目覚まし時計について学ぼう

見識広稀陽(けんしきひろげよう)学園、部室棟のとある一角。

長い艶やかな黒髪をした女性が、優雅なティータイムのひと時を満喫していた。

「皆様こんにちは。最近はクッキー作りにハマッてしまった、『今知(いまし)る部』部長の神田(かんだ)ゆりかです」

自作したチョコチップクッキーを頬張り、アップルティの香りを楽しんでいた。

部室の窓からさす木漏れ日がキラキラと輝き、室内に注ぎ込む。

そんな時、部室のドアが開き、1人の女子生徒が駆け込んできた。

「ふえええぇぇん。ムキゴリ(ムキムキゴリラの略)にいぢめられたぁ( TДT)」

野島(のじま)菜々はベソをかきながら、ヒックヒクッと肩を上下させている。

「あらあら、菜々ちゃんどうしたの?」

席を立って菜々に側に寄り、目線を合わせるために軽く中腰となり、ゆりかは菜々の顔を覗き込んだ。

「ヒック・・あのね、朝ね、目覚まし時計が壊れててね、ヒック、あのね、それで遅刻しちゃったらね、朝ね、正門にたってたムキゴリがね、『遅刻防止強化週間に遅刻なんてたるんどるわ!』ってね、怒鳴ってきてね、ひっく、それでね、放課後も呼び出されてね、さっきまでお説教されてた( TДT)」

えぐえぐと涙を流しながら、つっかえつっかえしゃべる菜々。

「生活指導の斎京(さいきょう)先生は厳しいものね。本当に災難だったわね、菜々ちゃん。よしよし、ほら泣かないの」

ゆりかは、菜々の顔をそっと自分の胸に抱き寄せ、頭をなでなでして落ち着かせる。

「はふぅ・・・えへへwゆりか先輩ってイイ匂いがするw」

「ふふっ、もう、菜々ちゃんったら甘えん坊さんなんだから」

菜々が落ち着くまで、ゆりかは優しく菜々を包み込み続けた。


「ありがとうございました、ゆりか先輩。菜々はもう大丈夫です!」

若干まだ目は赤いものの、菜々はいつもの調子を取り戻し。

「そう?ならよかったわ。ほら、座って。今日は私が焼いてきたチョコチップクッキーがあるの。アップルティもいっしょにいれてあげるわ」

そう言うと、ゆりかは部室の片隅の戸棚を開け、お茶の用意を始めた。

「えぇ!ゆりか先輩、チョコチップクッキーを自分で作ったんですか!?すごい、すごーい!」

「そうでもないわよ。慣れると簡単だし。なんなら今度、調理実習室を借りて一緒に作りましょうか」

「本当ですか!?うわーいw凄く楽しみですー。」

喜ぶ菜々の笑顔にほっこりしつつ、テーブルにアップルティとチョコチップクッキーを並べた。

「美味しそ~。あのあの、ゆりか先輩!もう食べていいですか?」

「ふふっ、どうぞ召し上がれ。」

「いただきまーすwはむはむ・・・ん~~~!!!おいひぃ~~~wはむはむ」

「もう、菜々ちゃんったら。そんなに慌てて食べると、喉に引っかかっちゃうわよ。それに、まだまだ沢山あるからゆっくりお食べない」

にっこにこ顔でクッキーを頬張る、可愛い後輩を眺めながら、暖かい気持ちになるゆりかであった。


「そう言えば、目覚まし時計が壊れちゃってて遅刻してしまったのよね?アラームが壊れていたのかしら」

アップルティを飲みつつ、ゆりかは疑問を口にした。

「いえ。時計の針がまったく見当違いの所をさしていましたので、電池が弱くなっているか、本当に寿命なのかのどっちかだと思います」

菜々はチョコチップクッキーを頬張りながら答えた。

「遅刻防止強化週間は明日までだから、帰りがけに一緒に目覚まし時計を買いにいきましょう」

「わぁ~~い。ゆりか先輩とお買い物だぁ!菜々楽しみです」

「私も菜々ちゃんとお買い物は楽しみだわ。そうだ、本日のお題は目覚まし時計にしましょうか」

「ふぇ?目覚まし時計ですか。たしかに、目覚まし時計について詳しく調べようなんて、この機会を逃したら今後一切ない気がしますね」

「そうでしょう。こういった、日常の何気ないものにスポットを当てるのも、『今知る部』ならではの活動だと思うわ」

ゆりかはそう言うと、早速目覚まし時計についての解説を始めた。

「まず、目覚まし時計の概念は紀元前500年程前まで(さかのぼ)るとさえ言われているわ」

「えぇ!そんな大昔から目覚まし時計ってあったんですか!?」

菜々はビックリして大声をあげてしまう。

「ごっ・・・ごめんなさい」

しずしずと椅子に小さく座りなおす菜々。

「ビックリするのも無理ないわ。私も調べてビックリしたもの」

そう言って、菜々に目を向け、やわらかく微笑む。

「でもでも、ゆりか先輩。今みたいにアラーム機能とか作れませんよね?」

「ええ、そうね。調べた所によると、夜の内に注がれた水が、朝になると(あふ)れる仕掛けを作っておいて、溢れる水の力で銅の玉を押し出し、下にひいてあるたらいに落ちて、大きな音を出す仕組みだったらしいわ」

「ほへー・・・昔の人の工夫って凄いんですね」

「本当にその通りよ。先人(せんじん)の工夫と知恵があったからこそ、今、私達は便利な世の中で生活できるのよ」

「ですね。今度、おじいちゃんとおばあちゃんにお礼言わなきゃ」

「菜々ちゃんは良い子ね」

菜々の頭をそっと撫でるゆりか。

「えへへwありがとうございます、ゆりか先輩」

こそばゆそうに目を細めて、にこにこする菜々。

「大昔の目覚まし時計を紹介したけれども、今度は近代の目覚まし時計についてお話するわね」

おもむろにフリップを取り出したゆりかは、菜々から見えるような位置でフリップを掲げた。

ちなみに、そのフリップをどこから出したの?っとかいうツッコミはなしの方向でお願いしますよ。進行上必要だったもんでね。(by作者

「これが日本国内初の機械式目覚まし時計の写真よ」

「おおー!まさしく目覚まし時計ですね」

「その通りね。これが今から、約100年も前のものとは到底思えないわよね」

「うぇえ!?そんなに昔のものだったんですか!?今でも売ってそうな形ですよ!?」

驚いて、またしても菜々は大声を上げてしまった。

「えぇ。だから凄いのよ。つまり、約100年前にベストの形が完成していたのよ」

「今回は驚かされっぱなしですね」

菜々は関心したようすで、今もまじまじとフリップの写真に見入っていた。

ちなみに、読者の方々は「産業技術情報資料センター」の資料データベースをご覧ください。(by作者


小休止を挟み、のんびりとしたお茶の時間を堪能した後、話を再開した。

「目覚まし時計一つとっても、深い歴史があるんですねぇ」

「本当にそうようね。すべてのものや事柄を調べると、当時の時代背景や流れを垣間見る事ができて、非常に面白いわ」

「ゆりか先輩、ゆりか先輩。」

「どうしたの菜々ちゃん?」

「大昔と一昔の目覚まし時計は分かりました。では、現在はどんな風なものが主流というか、一般的なんですか?」

「んー・・・」

難しい顔をしたゆりかは、一端(いったん)間をおいた後、話し始めた。

「今現在は、デザイン性重視のもの。アラームを自分で登録、もしくは複数のパターンの音が出るもの。電波によって時間が正確に計測され、時間ブレがないものかしら。なんといっても種類が多すぎて、分からないというのが正直な話ね」

「そんなにいっぱい種類があるものなんですか?」

疑問を口にして、菜々は首を傾げた。

「多いなんてものではないわ。某有名時計メーカーたった1社だけでも、現在173種類の目覚まし時計を販売しているのよ」

「1社でそんなにバリエーションがあるんですか!?」

「あるみたいよ。私自身も調べてビックリしてしまったわ」

若干冷めてしまったアップルティを最後まで飲み、ゆりかは再度話し始めた。

「1社で173種類もあるのに、全世界には何十、いや何百の時計メーカーがあるわ。つまり、全世界に今、何種類の目覚まし時計があるかなんて正直分からないわね」

「たしかにですね~。ほわぁ~、今回はすっごく勉強になりました」

「それは良かったわ。今回もほんの少しだけの紹介になってしまったから、まだまだ知り足りないと思ったら、自分でどんどん調べるといいと思うわ」

「菜々もお家に帰ったら、ちょっと調べちゃいそうです」

「ふふっ。それは何よりね。では、今回はこの辺でお開きにしましょうか。では、皆様ごき、」

ドタドタドタ!バッタン!

「菜々!菜々は居るかっ!」

勢いよく、相原(あいはら)(しのぶ)が部室内に駆け込んできた。

「げんよ・・・はぁ~~~~・・・」

ゆりかは盛大なため息を漏らし、ガックリしつつ忍に向き直った。

「貴女ってば、本当にタイミング悪いわね。・・・っで?菜々ちゃんがいったいどうしたのかしら?」

ゆりかは忍に尋ねた。

「どうしたも、こうしたも無い!なんでも、生活指導の糞ゴリラに菜々が意地悪されたそうじゃないかっ!なんてかわいそうな菜々!そう思ったあたしは、悲しく泣いているであろう菜々に胸を貸しにきたんだ」

ビシッとゆりかに指を指しつつ、宣言する忍。

相変わらず、「わぁ、忍先輩だぁ」とのん気な言葉を漏らす菜々は、

「ご心配お掛けしました。忍先輩。でも、もう菜々は大丈夫です。ゆりか先輩に、あの・・・その・・・ギュwって抱きしめてもらって、頭を撫でてもらって、甘えさせてもらいましたから(///」

ポッと顔を赤らめ、照れ照れと話す菜々。

「ゆりか先輩の胸って、なんかぽよぽよしてて、すっごく気持ち良くって・・・、って、菜々、何言ってるんだろ(///」

「もう、菜々ちゃんったら」

可愛い後輩の(つたな)くも暖かな言葉に、優しい気持ちになるゆりか。

「・・・ぁう・・ぁう・・・、菜々が!菜々がぁ~~~!うわーん!!胸かっ!!胸の差かっ!!このおっぱい魔人め!私の可愛い菜々を(たぶら)かせて!どうせあたしはB75の貧乳女よ!うわーーーーん!!!」

忍は泣きながら部室を走り去っていった。

「ほぇ?忍先輩どうしたんだろう??」

「・・・さぁ、どうしたのかしらね」

ゆりかはもう一度盛大なため息をついた。

「とりあえず『○○について広く浅く学ぼう』第2回はここでお開き。では、皆様ご機嫌よう。また会いましょう」

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