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私の夢日記  作者: 古河渚
2/2

部活選びは大変?!

 始業式の日は、俺こと、古賀友樹(こがともき)と、俺の幼馴染である清水桜(しみずさくら)、桜の親友である村瀬麗華(むらせれいか)と、悪戯好きの双子、一之瀬晴海(いちのせはるみ)一之瀬春香(いちのせはるか)の5人で、これから1年間同じクラスで学べる事になったり、長い校長の話を聞かされたり、担任の小森ちゃんによる席替えがあったりと中々ハードな1日を送った。それから・・・・


 始業式から数えて3日目の朝。今日から部活勧誘期間となる。

 部活勧誘期間は、約2週間あり1週目で部活を選ぶ。そして、次の週に体験入部期間として2~3日用意され、どうしても肌に合わない場合は残り2日で新しい部活を探すことになっている。

 春風が暖かい空気を運ぶ中、今日も変わららない景色を見ながら、いつもより少し楽しそうな桜と共に学校へと歩く。

 桜は落ち着きなく、あっちを見てはニコニコ、こっちをみてはニコニコと笑顔をタダ同然で配りまわっていた。

 ふと目があうと満面の笑みで見つめられ、いつも見慣れている顔のはずなのに、なんだかちょっと照れくさい。

 「なんだ?」

 「ともちゃんは、どの部活を見に行くの?」

 部活かぁ。とりあえず運動系の部活はだめだろう。何やっても長持ちする気がしないし、そもそも運動は苦手だ。

 「動きたくないから文科系の動かなくていい感じの所を探す」

 桜は目を丸くしたあと、ふきこぼれたように、ふふふと笑みを漏らした。

 「なんだよ」

 「ともちゃん去年と全く同じ事言ってる」

 「いやいやいや、そんなことはないだろう」

 「そんなことあるよぅ!ほんとともちゃんは変わらないよねっ」

 「はぁぁぁ?それを言うなら、そういう桜こそ変わってないだろう」

 「えぇ!?これでも成長したんだよっ」

 「いや!変わってない」

 「胸とか少しはおっきくなったもん」

 「そんな話はしてねぇ?!」

 なんて奴だ。そんなことより、桜は入りたい部活って有るのだろうか?聞いても桜のことだから「内緒!」って言うだろう・・・・・・そうかっ!今日どこ回りたいかを聞けば普通は入りたい部活を挙げるだろう。俺って頭イイッ

 「なぁ、桜は部活どこ回るんだ?」

 「動きたくないから文科系の動かなくていい感じの所を探す」

 「コノヤロウ、喧嘩うってんのか?!」

 髪の毛をぐしゃぐしゃにかき混ぜるべく手を伸ばすが、「きゃぁぁぁ」と、わざとらしい声を出しながら両手で頭をガードして逃げられてしまった。

 

 

 教室に付くとチャイムの音が鳴った。自分の席を見てみると、我がクラスでいちにをあらそう美人の鎌ヶ谷君が座っていた。なんとかの(きみ)ではなく、ただの(くん)で彼は男だ。だが、ただの男ではない。と言うのも、彼はスカートを履いて化粧もばっちりと決めた男の娘なのだ。

 男が好きではないと知っている為、近寄りがたくはない。むしろ、鑑賞としてなら1時間でも見続けられる自信がある。ちなみに、彼の自慢は、昨年男に告白された回数が2桁突入したという事らしい。男であることが広まっているため、めったに告白されないのだが、知っていて告白する勇者も居るそうだ。

 まぁそんな話は置いといて、そろそろ授業が始まるのでお暇して貰おうと動きかけた時、桜が俺の服を引っ張った。

 「ん?桜どうした?」

 「ともちゃんの席」

 「あぁ、鎌ヶ谷君だろう?」

 桜はちんまい頭を精いっぱい横に振る。

 「ん?なら、どうしたんだ?」

 「ともちゃんの席は、ここだよ」

 桜の指さした先を見てみると、確かに誰も座ってはいない。その時、俺の頭の中に徹夜明けで「イエェェェェイイ!!!デキチャッタジェェイ!!」とハイテンションな小森ちゃんの姿が映った。若干怖かった。

 「そか。そうだったな。」

 俺は小刻みに頷きながら黙ってその席に腰を下ろした。

 


 授業初日は午前中のみで、午後からはLHR(ロングホームルーム)が1コマ割り当てられており、そこで春からの配布物と雑多な説明が繰り広げられる。

 が、しかし そこは小森ちゃんクオリティが遺憾なく発揮され、開始約10分で終わるという超のつく短さで終わった。

 実際に何があったかというと、既に席数分づつ分けられたプリントを配布し[ここで約9分40秒]「配布されたプリントを良く読むように!質問のある奴は私の所に来い!以上解散」ということだった。

 現在、他のクラスメイトはプリントを読み読みしている。一ノ瀬ずと村瀬さんは俺たちの席に集まり分担を決めている。分担?まぁ、焦るな。今から説明する。

 「じゃぁ、古賀さんはこのプリントお願いします」

 「了解」

 何をしているかというと、俺達はそれぞれ読むプリントを分け、情報を整理してから互いに伝えるようにしている。なぜなら、小森ちゃんはプリントを一斉に配る為、届き次第読んでいくという事が不可能な上、配布量も他のクラスより多いので、HR中に読み切れない事が偶にあるからだ。それに、複数人居た方がわからない所潰しができるし、質問のバリエーションも増える為、細かいところまでチェックが可能というおまけつきだ。

 因みに俺が担当しているプリントは部活入部についてだ。

 全部で5枚有るが、1枚が注意事項で残り4枚が今年残存する部活名称と部活紹介で埋められている為、さほど大変というわけではない。

 注意事項も、必ず部活に入らなければならないという事と、去年と同じ部活に入ってはいけないという事の2点を押さえておけば問題無さそうだ。

 (らく)そうな部活を探していると、他の4人も読み終えた様だ。目配せ(めくばせ)で読み終えたことを確認して、どうやら俺からということになったので説明する。


 「俺のは、部活参加についての注意事項だ。既に知ってるだろうけれど、部活加入必須である事と、去年と同じ部活に入ってはいけない事が主な注意事項だ。部活の見学期間は、今日から約2週間で、4月30日までだ。一応、第1次加入が4月23日となる。以上だ。」

 少し気になったのか、村瀬が訪ねてくる。

 「ええと、古賀さん。部活加入の締め切りは4月30日という事でよろしいのですか?」

 「あぁ、そうなる。見学最終日と加入締切日は同一日だな」

 「わかりました。ありがとうございます」

 「あぁ。他に質問はあるか?」

 「ないよ~」

 『大丈夫』

 「ありません」


 次は、村瀬の番だ。村瀬のは保険加入のプリントだったようだ。黄色い用紙は全員参加必須で、2枚目の赤色のは学校用品を壊してしまった時の補償で、参加はどちらでも良いが、念の為入っておいた方が良いのでは?特に俺・・・との事だった。なぜ俺なんだ!後ろの席のやつと目があうと、肯かれた。くそぉ~!

 3枚目は、1枚目の補強バージョンみたいなもので、参加はどちらでも良いとのことだった。ちなみに、村瀬は入らないと言っていた。


 3番目は、一之瀬晴海で春季ハイキングについての用紙で、親の印鑑が必要な感じの書類が数枚と、行き先が二つ丘であることや、日時や持ち物が書かれたプリントが1枚あるという位だった。


 そして、桜の担当は生徒手帳についてや、通学定期(5人の中で利用しているのは一之瀬ず)や、出席簿で、いまにもかみそうな話し方で、各種プリントの書かなくてはならない場所や、最低限覚えておかなくてはならない事を意外なほど簡単に説明してくれた。


 ラストは一ノ瀬春香で、今までのに当てはまらない全てのプリント、といっても2枚だが、を担当した。保護者への連絡だとかのプリントで、特に読む必要のない情報ばかりで、親に渡しておけば良いとのことだった。


 そんな感じで、プリントをさばききった俺達は、昨日のアニメがどうとか、ドラマがどうとか、今日は暇だとかを話した結果、放課後の予定が全員空いていたので、遊びに行くことになった。



 その日の放課後、5人は隣町のゲームセンターに来ていた。一ノ瀬ずはよく遊びに来ているが、村瀬は約半年ぶりで、今回来たのを含めても3回と少ない。一ノ瀬ずが格闘ゲームを遊んでいる間、3人はクレーンゲームに挑戦していた。

 「んぅ~~~ぁっ~~あぁぁぁぁ」

 「さっきからなんて声出してんだよ」

 「だって、だって、もう少しで取れそうなんだよ?」

 「いや、さっきと位置変わってねぇから」

 「んぅ~~~><」

 クレーンゲームはやればやるほどアームの強さが増していくように設計されているため、やり続ければ取れるようになっているのだが、まだバネは弱いようだ。俺だけなら、2~3回遊んだらすぐにやめてしまうのだが、桜が物欲しそうな目をして、クレーンゲームにかじりついて離れないような状態(まさに今のこの状況)なら、やるしかない。

 「(´ヘ`;)はぁ」

 ぴくっっと桜の髪の毛が動く。目も若干輝いてる。わかりやすいなぁもぅ。

 「千円札崩してくるから待ってろ」

 「ヾ(^▽^)ノわーい!ともちゃん愛してるぅー♪」

 「はぃはぃ。そりゃどぅも」

 

 千円札を崩してきた俺は、500円硬貨を迷いなく入れる。その時、桜のあっっという言葉が聞こえたが無視する。こういうのは、100円づつ入れると絶対にとれない、と俺は思ってる。

 右へ奥へと動かし、ぬいぐるみを手前へずらす。太ももを狙うのがベストだ。3回でだいぶ手前へずらせたがまだ足りない。

 桜は「あぁー」とか「ぁうー」とか筐体の横から顔だけ出して唸っている。なんか猫みたいでかわいらしいが、視線が集まってる気がするのでさっさと黙らせたい。

 もう一度500円硬貨を投入し、3回目で何とかとることができた。ぬいぐるみが落ちた時の桜の花が咲いたような笑顔を見た人は、俺じゃなかったら30分は頬がゆるむ位の可愛さだった。実際それを目にしてしまった村瀬は、緩んだ頬をコネコネしていつもの澄まし顔を作って、気が付いたら緩んでるという状態を繰り返している。そんな感じで1時間くらい時間をつぶした俺達は、一ノ瀬ずと合流してカラオケへ向かった。


 正直に言って俺は歌うのが下手だ。カラオケだと、良くて80後半。悪いと半分くらいしか歌っていないときの採点と変わらない。そして他のメンバーはというと、桜はそこそこうまい。集団でカラオケに行くと、一人か二人はいる位の上手さだ。そして、一ノ瀬ずは片方だと、耳心地は正直良くないんだが、二人で歌ったときのハモリ具合は、その辺の歌手よりよっぽど上手い。晴海が低音域を底堅くし、晴香が高音域を荒れるように歌う。普通?ならば、ただの不協和音になりそうなものだが、何故かマッチするのである。しかし、このグループにはさらに歌のうまい奴がいる。そぅ、村瀬だ。村瀬は子供の頃からボイストレーニングをしており、彼女の歌声は、澄やかな空に響きわたる小鳥のさえずりのようなものだ。多くの人目にさらされると、思考が錯乱してしまう欠点を除けば、今すぐアイドルとして世間を騒がしていてもおかしくはない。

 こんな感じで、俺以外は割と歌はうまいのだが、みんなカラオケには滅多に行かない。なぜなら、桜は俺が行く時にしかいってないっぽいし、村瀬は昔カラオケに行った時「実は私、あまりカラオケ好きじゃないんです。桜ちゃんと行ける時は割と参加していますけれど、歌うためと言うよりは遊ぶためですし・・・」と言っていた。一ノ瀬ずは「カラオケより格ゲー」だからだ。

 因みに何故カラオケにきたかというと、俺が好きだからだ。今日放課後空いているという話になった時、「カラオケ行こうぜ!」と言ったら、桜が「いいね♪私も行く!」と付き合ってくれて、なら私もと村瀬も参加する事になり、一之瀬ずも「この前に出た台も殆ど遊び尽くしたし」とのことで満場一致となったのだ。

 しばらく歌っているとパーティーセットが届いた。パーティーセットとは、焼きそばとたこ焼き、ポテトなどが入ったセットメニューである。因みに、ここのカラオケはフリードリンクである。

 「あっ、ともちゃんジュース取ってくるね」

 「頼む」

 グラスが空になっているのに気づいた桜が、ジュースを取ってきてくれた。だが悲しいかな、カルピスじゃない。いつもは確かに爽健美茶を飲むことの方が多いのだが、今日はカルピスの気分なんだ!と心の中で思っていると、桜がこっちをじっとみてきた。

 「ん?あっ、お茶ありがとな。」

 「んんん、そうじゃないの。もしかして、カルピスの方がよかった?」

 なんとっ!俺一言も発してないのに、バレますか・・・

 「やっぱりそうなんだ」

 「オレナニモイッテナイ」

 「分かるよーともちゃんのことだもん」

 「なになに?久々にともちゃんチェッカー外れたの?」と言ったのは、一ノ瀬晴香。ともちゃんチェッカーとは桜の勘と言うか第6感的なもので、俺の考えてることが分かるものらしい。

 「あうぅぅ。外しちゃった。最高記録更新中だったから、頑張ってたのに><」

 「最高記録って何だよ」

 「ともちゃんチェッカーが当たり続けてる日数の記録だよ」

 「イヤイミワカンナイデス」

 「ちなみに、何日間になったんですか?」

 村瀬・・・別に聞かなくていいじゃないかそんなこと。

 「4ヶ月と23日だよっ」

 思ったよりも長かった。

 『すごっ!!』

 確かにすごい。

 「ともちゃんはもっと凄いよ・・・」

 「えっ?なんで」

 俺なんかやったっけ?

 「ともちゃんはさくらチェッカーの記録が1年と8ヶ月以上だよ。現在も記録更新中・・・」

 やべぇ、桜の目が本気だ。

 「この空気どうすんだよ。お、俺は悪くないからな!」

 『ベツニナニモイッテナイヨ』

 「嘘だっ!」

 「まぁまぁ、いい特技だと思いますよ。えぇ・・・・はい・・・」

 「死んだ目で言われても説得力ねぇ!まったく!困った奴らだぜ!」

 『どっちが!』

俺:「それはいいとして、さくら昨日何時に寝た?」

俺:「夜中の1時か」

俺:「一昨日は?」

俺:「23時位・・・でも寝たのは1時回ってると」

 『おい変態!桜ちゃんは何もいってないよ!』

 「桜さん・・・合ってるんですか?」

 コクリと頷く桜。その様子を見ても、やっぱり疲れを溜め込んでるように見える。

 「まぁ、生まれてずっと幼なじみやってりゃ誰でもできるさ。そんなことより、桜は最近無理しすぎだ。今日は早めに寝ろ!」

 「・・・そっか、うん、頑張ってみる。」

 頑張ってみる?こういう時、桜は普通、「うん、わかった。」って言うだろう。ということは・・・・

 「今日おばさんいないのか?」

 「急な出張で、明日の夜に帰ってくるって言ってた・・・」

 「桜ちゃん、叔父さんは?もしかして、今日は一人?」

 「うん。麗華ちゃん、うちくる?」

 「ごめんなさい。今日は無理なの。晩餐会に行くことになってて・・・」 「いいよいいよ、大丈夫!来てくれたらラッキーっていう感じだから。大丈夫だよ!」

 心配させまいと、気丈に振舞うが、やっぱりどこか寂しさを感じる。俺だけが行くのも、もぅ二人とも高校生だし?色々まずいだろう。さて、どうしたものか・・・・なぜか桜が、上目遣いでこっちを見ている。いや、睨んでいる?

 「じーーーー」

 ここでスルーしたら、きっと機嫌悪くするだろうなぁ・・・。返事をすることで泊まりに行くことが確定しそうだが、返事をしないわけにもいかない・・・。心の中で嘆息しつつ、返事をする方を選んでしまう気の弱い俺。だれか、俺に勇気をプリーズ。

 「なんだよ」

 「どろぼうさんとか来ちゃったら、女の子一人だと危険なんだよ」

 「まぁ、そうだけれど、俺が居てもかわんねーよ?」

 「そんなこと無いもん!」

 あぁ・・・。

 「それに、それに!「あーわかった!わかった!行くから!今日、俺は桜の家に泊まりに行く。いいな?」

 あぁぁ・・・。だめだ俺。

 「うんっ!」

 非常にうれしそうな桜。あぁ、直視できない。

 『家に2人きりだねー♪』

 一ノ瀬ずがにやにや顔だ。桜はとろけそうな顔して、すでに心ここにあらずだ。

 「な、なんだよ。」

 『いや、べっつにー♪』

 しばきたい。

 「・・・・・・」

 村瀬も、ニコニコしている。なんか幸せそうだからいいや。

 『それ、うちらと対応が違うんだけれど!』

 「人の心、勝手に読んでけち付けんじゃね~!」

 そんなふざけたやり取りをしていたら、あっという間に解散時間となった。


 

 「おじゃましま~す」

 「いらっしゃい!ともちゃん!」

 リビングには、42インチの大きめなテレビの前や、雑誌や小物が入った棚の上などに、かわいらしいぬいぐるみが綺麗に並んでいる。ぬいぐるみの種類は違うが、雰囲気はあの頃のままだ。

 「ご飯もうすぐ出来るから、もうちょっと待ってね~♪」

 「あっ、それとも先にお風呂に入る?もぅ沸いてるよ。」

 それとも私?というベタなお約束が頭をよぎったが、桜とはそういう仲ではないので、あしからず。

 「んー腹減ったし、先に飯で」

 「は~い」

 今晩のメニューは、コンソメ風味のスープに、チーズ入りハンバーグ、それから海鮮ピラフで、どれも俺の好物だ。

 「うまいっ!!!」

 ほんと、まじうまい!

 「ほ、ほんと!?」

 「あぁ。また腕上げたんじゃね?超うまいっ!!!」

 「ぁ、ぁりがとっ」

 スープは喉に染み渡るような感じで塩味が効いてる。ハンバーグはよくこねられていて、箸を入れるだけで肉汁が溢れ出し、奥からはチーズがとろけだしてきて、あわせて食うと滅茶苦茶うまい。海鮮ピラフは俺の好物の中で群を抜いて好きな部類に入る。だから、よくお店などで注文するのだが、このピラフはどの店で食ったものより旨い!米はつやつやで、口に入れるとはらりとほどけ、噛めば噛むほど旨味が染み出してくるようだ。やっぱ、超うめぇ!

 そんな最高のディナーを楽しんだ後、俺と桜は何とはなしにニュースをみていた。

 ニュースでは、ある企業の汚職事件とか、海外のテロの話だとか、玉突き事故とかが流れていた。

 体が揺れた。隣の桜がビクッビクッしている。

 「って、なぜお前が震えてるんだよ!」

 「えっ、いや、えっと、ともちゃん大丈夫なのかなーとか、心の傷どげんかせんといかんとか思ってないからねっ!」

 「それ、思ってるフラグだから!それに、どげんかせんといかんって、古いだろっw何時のだよ!」

 「わ!私の中では、今流行ってるの!」

 「そこは、これも若干古くなってきてるけれど・・・[私の中では、流行ってるの!いつかって?今でしょ!]っていえばいいんだよ」

 「???」

 「エエエエエエエェェェ・・・今でしょ!って、知らない?」

 「いまで しょー?」

 「居間でショーなんかしねぇよ!」

 「ふぅ、まぁいいや・・・・」

 「なんだか、凄く失礼なこといわれてる気がするよ・・・・」

 お風呂や、お休みでトラブルがあるにはあったが、また何れ語ることもあるだろう。明日から、本格的に授業が始まる。気合い入れて頑張ろう。


 

 「ともちゃーん!」

 「な、なんだよ。テンション高すぎだろ!いつもの3割り増しだぞ」

 「きっと、昨日の古賀さんお泊まり会が楽しかったんですよ。」

 村瀬さん、そんな笑顔で言わないで。眩し過ぎます。

 『やっぱり、あんな事やこんな事があったんだ』

 「あんな事やこんな事ってなんだよ!それに、やっぱりってなんだよ!」

 「乙女にそんな事聞かないでよ!きゃ♪」

 誰が乙女だ!

 「二人を見てたら誰だってやっぱりっていうよ」

 クラス中に聞いてみろよ!絶対お前らだけだ!

 『ねーー♪』

 くそっ!腹立つ!

 「ぉ、お前らやっぱしなす!」

 「朋樹が怒ったー!逃げろー!」

 「古賀が怒ったー!逃げろー!」

 ばたばたと騒いでいると、担任兼国語教師の小森ちゃんが教室にやってきた。

 「こらー!そこー!授業はじめるから、座りなさーい!」

 『はーい』

 「ちっ、お前ら後で覚えてろよ・・・・・・さくら、お前は何をしてるんだ?」

 顔を真っ赤にして立ち尽くしている桜に声をかける。

 「えっ?!え、と、な、なんでもないよっ!」

 「桜さん、一之瀬晴香さんの「麗華ちゃんっ!と、ともちゃん、なんでもないからねっ!」」

 物凄く桜が慌てていることは分かるが、いったい何なんだろうか?どうやら、村瀬は知っているようだが。後で聞いてみるか・・・・?

 そんなこんなで、ばたばたしながら授業に入った。


 放課後

 「ともちゃ~ん!部活見にいこっ!」

 「おぉ~いいぜ」

 部活の勧誘は昨日からだが、部活が実際に始まるのは今日からだ。だが、不思議に思うものも居るだろう。基本的に部活は全員今までにしたことのない部活に入ることになる。ということは、今の時点で部活をしている人が居るのはおかしいのでは?と思うだろう。

 実際俺も、このルールを聞いて、部活見学が今日から始まることを不思議に思っていた。しかも、体験入部は2週目からだ。どう考えてもおかしい。しかし、実際には見学もできるし、部活によってはちょこっと体験することもできる。

 どうなってるのかというと、去年の部員が紹介、勧誘、体験、見学、すべてのサポートを行ってくれるのだ。もちろん、去年の部員も、新しい部活を探す必要があるため、人数の少ない部活では、休みの日もある。だが、大手の部活や次の部活を決めた人がしていた部活などは、割と毎日、熱心に勧誘している。部活によっては、活動日や活動時間などを詳細に記した部活入部プリントや、学校掲示板がある為、部活を探している人は、それを見て見学に行くわけだ。


 というわけで、今日は料理部にやってきた。別に腹が減っていたわけじゃないぞ?桜が入りたいのではと思ったからだ。それに、俺も一人暮らしをしている身としては料理は避けられない。というか、避けたら桜が毎日料理を作ろうとするため、材料費桜持ちで・・・・(俺が払うといっても聞かない)だから、自分で作るしかないのだ。俺が自分で作り出した時の桜の落ち込みようは凄まじかった。まぁ、この話は置いといてだ、料理部の話をしよう。

 料理部は、週に1回の放課後と希望があれば登校日の昼休みに料理をして、晩御飯or昼御飯とするそうだ。材料費などは、もちろん自腹で食べる人達で折半する但し、各種調味料や電気水道光熱費は部費負担となるため、出さなくてもいいそうだ。因みに、昼食費と週に1回の食事を料理部で作った場合、1800¥~2500¥程あれば大丈夫らしい。ただ、大食いの人は多めに出す必要がある。まぁ、桜の3倍は食う俺からしたら、当然だと思える。また、時間的、経済的余裕のあるときは、近くの幼稚園などにお菓子を振る舞いに行くこともあるそうだ。

 桜は割りと気に入ってる感じがしたが、俺のこともあるのだろう。ちらちらと俺を見ては考え事をしていた。さて、どうするのかね~。


 次の日は、茶室に行ってみた。ゆるっと出来るかなと思ったからで、決してお菓子が食べたかったわけではない。そこ、勘違いしないように!

 ごらく部ではなく茶道部は想像とは違い、厳しい所であることがよくわかった。詳細は、話さないじゃなくて、話せない。僕が言えるのはそこまで。

 

 それから、ボードゲーム部(俺は割と楽しめたが、声と言う名のトラップに桜がびびっていたので無し)や、ESP研究会(桜が猫可愛がりされて、部室の前を通る度に震えるほど、怯えてしまったので無し)や、叫部やラブラ部などは、見て速攻逃げた。


 「ダメダ!この学校!早く何とかしないと!」

 「ともちゃ~ん><恥ずかしいから、そんな所で叫ばないで!」

 ちなみに、屋上である。反対側の校舎の叫部のメンバーがきらっきらした目でこちらをみている。いや、おれ、お前らの仲間じゃないからなっ!

 「説得力ないよぉ・・・」


 そんなこんなで、1週目の最終日。今日部活を見つけないと、来週からの体験入部がさらに忙しくなる。ということで、情報収集。まずは、村瀬に聞いてみよう。

 「麗華ちゃん、入る部活決めた?」

 「あら、桜ちゃん。いいえ、まだ決まっていないのです。桜ちゃんは決まりましたか?」

 「私もまだなの~。どれも、ちょっと違うかなぁって。」

 「そうなのですか。私も、吹奏楽部や演劇部、琴部や、花々部に行ってみたのですが、どれもしっくりこなくて・・・」

 「へぇ、村瀬もまだなのか。一之瀬ずもまだらしいぜ?」

 『そうなんだよねぇ』

 「そうなんだ・・・5人全員、部活見つけられないなんて珍しいね~」

 「ん?5人全員?」

 5人全員・・・・頭に何かが引っかかる。俺の灰色の脳細胞!活性化せよっ!

 「どしたの?うちら全員決まってないんだから、5人でしょ!」

 「どしたの?ぼくら全員決まってないんだから、5人でしょ?」

 ん~。なんだ、なんだっけ、なんだろう。その時、コナ○くんの頭上をよく走る電光みたいなのが、俺の頭上にも走った!気がした。

 「あっ!そうか!」

 「「「「???」」」」

 「5人だ!」

 『だから、さっきからそう言ってるよね!』

 うん。わかってる。

 「あっ。そうですね。5人ですから」

 ぉ、村瀬も気づいたみたいだな。

 「そうそう。5人だから作れる!」

 『!!!』

 どうやら、一之瀬ずの頭上にも、コ○ンくんのあれが流れたみたいだ。

 『なるほどっ!』

 「???」

 「あの、さくらさんだけ、まだ?顔ですよ」

 「あぁ、後で説明しておくから気にするな。頭弱い子なんだ」

 「と~も~ちゃ~ん!私、頭弱い子じゃないもんっ!そんなこと言ってるあとで怒るんだからねっ!」

 ほっぺた膨らませて、ぷりぷり怒る桜もかわいらしい。やべぇ、ほっぺつねりたい!

 「わかった。わかった。」

 「むぅ~><」

 『で、なに部作るの?』

 「晴海、だまってて。さっかから被り過ぎ!」

 「晴香、そろそろ被るの辞めようよ!」

 あぁ、そろそろ被るのが嫌になってきたみたい。

 『どっちがっ!』

 「そっちでしょっ!」

 「そっちだろうっ!」

 「はいはい、お前ら二人とも黙れ~話が先に進まない。」

 『むぅ・・・』

 「というわけで、ちょっと考えていたんだが、この学校は変な部活が多い」

 「そうですわね」

ラノベ部とか、オンライン部とか、カラオケ部とか・・・嘆息が聞こえる。

 「ということは、割と変な部でも簡単に作れるってことだ。」

 「部活作成の規定も、5人以上と校長面談としか書いていないですしね。」

 「あっ!そっか、部活作るんだねっ!」

 「「「「・・・・・・・・・・」」」」

「校長面談?そんなのあるのか?」

 「えぇ、はい。たしか、生徒手帳に書いてありましたわ」

 「ちょ、ちょっと、スルーしないでよっ><」

 「「「「・・・・・・・・・・」」」」

 『生徒手帳、全部読んだの?』

 「えっ?一之瀬さんたちは、読んでいないのですか?」

 『読んでないよ』

 「もぅいいもん・・・」

 「あぁ。わるかったってw」

 「ごめんなさいねw」

 『ごめんごめんw』

 「・・・うん」

 村瀬や一之瀬ずと心がここまでつながったのって、もしかしたら初めてかもしれない。桜ぱわー恐るべし。まぁ、この話は置いておこう。

 「生徒手帳、読む人は、確かに少ないだろうな。」

 「でも、読むようにって書いてありましたよ・・・・」

 「守る人は少ないってことだろう」

 「麗華ちゃん!私は守ったからねっ!頑張ってたくさん読んだよっ!」

 「さくら、お前は全部読んでねぇからなっ!3分の1であきらめたろ」

 「ともちゃん!それ言っちゃだめでしょ><」

 「カクスイクナイ」

 「むぅ~><」

 「まぁまぁ、桜ちゃんありがとうございます。お気持ちはとってもうれしいですわ」

 「まぁとりあえずだ、校長面談があるなら、普通の部活や変な部活と、内容が同じにならないようにしないと作れないだろうし、被らない部活探そうぜ」

「そうですね」

『そうだねっ』

「うんっ」

 というわけで、部活を新たに作ることに。さて、どんな部活にしようかなぁ。

 「ホラー研作ろうぜっ!」

 「「「「えぇっ?!」」」」


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