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乙女ゲームの前後  作者: ゆい
乙女ゲーム前
7/10

06

感想で主人公補正に頼って努力しない馬鹿な主人公ってどうなの?的な指摘をいただきましたが、これは香織から見た感想みたいなところがあります。主人公補正頼ってたのもありますが、一応そこそこ勉強はしていたんです。そして、中学くらいならそれでどうにかなっていたんですが、そこそこでどうにかなるほど現実は甘くはないので、高校でCに。で、それを知った入学式後ショックでイタいこと言っちゃって溝作った。という設定のつもり。詳細はまたそのうち本編に出す予定です。あと、矛盾やらおかしなとこやらのご指摘ありがとうございます。大変助かりました。

「その子って、逆ハー狙ってるわよね?」


???

なぜ、お姉さまはそんなことを思ったんだろうか?そもそもこのゲームの原作には逆ハーエンドはない。イケメンどもが散らばりすぎてて、一人か二人と仲良くなるのがやっとな割と健全なゲームだったのだし、まだゲーム期間に入ってないからわからないだろうに……。


首をかしげる私に二人が若干呆れたような目を向けてきた。


「誰か一人が狙いなら、ゲーム知識っていう情報つかって近づけばいいだろう?」


「わざわざゲームが始まる来年まで何もしないでいる必要はないものね~」


!!


「それをわざわざ来年まで待ってる上に、準備を始めてるっていうことは本気で好きなやつがいないっていうことだ。」


「そして、わかりきっている道筋に乗らないとできないようなことを狙っている……」


「つまり、最も難しい、そして誰にも本気ではない逆ハーエンドを狙っている可能性が高いっていうことですか。」


「そういうことねぇ。」



ついゲーム知識があるばかりに考えが凝り固まってしまっていた!何たることだ!

確かに、ゲーム知識があれば攻略対象の好きなタイプや効果的なアプローチの仕方、問題への対処法に趣味嗜好までわざわざ来年のイベントを使うまでもなくそれらの知識で一人好きな相手をおとすことくらい可能だろう。

本気で誰かが好きなら一年無駄にするようなことはできまい。好きな人と少しでも早く近づきたい、恋人になりたいというのは誰もが思うことだ。


でも、逆ハー狙いなら?

逆ハーなんて作り上げるのは相当難しい。現実における人間関係は複雑だし、問題にならないよう鈍感のふりしつつ、キセキのようなバランス力でそれぞれからしっかり同じくらいの強さの好意を持っていてもらわなければならない。好意に差があれば、低いものは身を引いたりするかもしれないし、一人に贔屓するような態度を見せれば、諦めて身を引く者、嫉妬して嫌がらせや喧嘩などの問題を起こす者が出てくるかもしれない。


主人公が誰も特別扱いしないから、誰もが同じ程度の気持ちで、同じ土俵にいるから諦めきれず、主人公の気を引こうと集い、逆ハーが形成されるのだ。


これを現実でやろうだなんて難しすぎて、正気の沙汰ではない。


そのうえ、これを現実させたいと考えるということは、特定の誰かが好きというわけではないのだ。

だって、誰かが好きならば、こんな人の気持ちをもてあそぶような真似できるはずがない。

ゲームだからこそできるのだ。


そう、ゲームだからこそ。

道筋が決まっていて、誰がいつどこにいて、何を言えば好感度がどれくらい上がるか決まっていて、計画的に、効率的に、人の気持ちを扱える。


この世界がゲームの中の世界だとはほとんどの人が気付いていないだろう。

そして、気づいていない人たちはきっと、ゲームのシナリオ通りに動いている。

私が小学生の時、主人公の子が嫌いだと感じたあの表情をもし見ていなければきっと普通に仲良くしていたし、彼女が攻略対象が好きだと言えばその恋を応援していただろう。だってかわいかったし。


実際のところ、もし、私が前世の記憶を持っていなければ、あるいは情報提供役でなければ主人公は何が目的だったかは知らないが、まぁ成功していただろう。私は彼女が嫌いだったが、周りはそうではなかったのだから。


つまり、今回も私たちのようなイレギュラーで目ざとい人間がいなければ、前園千鶴はちょっと言動おかしい人という認識なれど、逆ハー形成の野望を何とか形にできてしまっていた可能性が高いわけだ。


「逆ハー狙うとか、許せませんね。」


別にゲームならかっこいい男の子に囲まれたいとかもてたいとかそういう願望をかなえても問題はない。

だが、ここは現実だ。逆ハーなんて相手に対して不誠実なことをしようと考えているというのはどうかと思う。何よりその餌食にされようとしてきた友人たちを思うとなおさら許せない。


攻略対象者だった彼らは今は私が紹介したそれぞれの恋人となんだかんだで幸せそうにやっている。たまに会うがもう、オーラがすさまじい。ピンク!だが目に毒ではない。仲良さげで何よりだと思う。

もし彼らが餌食になっていたら、その恋心は振り回され、どれだけ捧げても見返りはなく、不毛な争いを続けることになっていたのかと思うとぞっとする。ましてそれが異性にちやほやされたいだとか、周囲にかっこいい男子をはべらせて優越感に浸りたいだとかそんなくだらない理由の所為だなんて許せはしない。


今作の攻略対象たち全員にはまだ会ってはいないが、目の前のお姉さまや獅童先輩はもちろん、ゲームで好きだったほかのキャラたちを逆ハーの餌食にしようだなんて、許せない。


「リアルで逆ハー狙うとかありえねぇよな。」


「言葉は悪いけど、所謂尻軽女ってやつよねぇ。そんなもの目指すなんて……。」


二人は呆れた、という感じでふぅとため息をこぼす。


なるほど。リアルで逆ハー狙う女は確かに尻軽と言える気がする。ついでに頭も軽そうだ。


「じゃあ、ただ邪魔をするで済ませてやるわけにもいきませんね。人の気持ちを弄ぶなんて言語道断ですし、何も知らずにそんなやつに好意を抱いてしまうかもしれない他の方々があまりにも可哀そうです。」


これは、ゲーム知識と前世の記憶をもってして盛大なお仕置きをせねばなるまい。


まず、被害者を出すことを避けることが重要だろう。

気持ちを弄ばれるのはかわいそうというのもあるが、それだけでなく、被害者は障害にもなる。主人公をかばうかもしれない。あるいは逆ハーを諦めた主人公の逃げ道になってしまうかもしれない。そうなると被害者のお先は真っ暗だろう。


そして、私たちがすっきりするようなものでなくてはいけない。

やって後味悪い終わりを迎えるなんてもってのほかだし、私の経歴にキズが付くのも避けたい。

経歴はきれいであるに越したことないし、性格に難ありだとか、素行に問題ありと判断されるとAから降ろされてしまう。調子こいた転生者のために将来の可能性つぶすなんて馬鹿げてる。

ついでに、私たちが楽しめるような内容でなければ意味がない。性格悪い気がしなくもないが、楽しさがなければ正直いろいろ考えるのも実行するのもやっていられない気がする。


これらの条件と前世に読んだ小説などのネタを合わせて計画を練らねば!


「私にいくつか考えがあるんですけど、聞いていただけますか?」













この後、作戦会議は大いに盛り上がった。


その中で、私もいろいろと衝撃を受けた。


私より腹黒で策士な先輩方にはもう感服だ。

上には上がいるというが、まさにそれ。


やっぱり、ちょーしに乗るもんじゃぁない。


現実っていうのは厳しいものなのだ。


そんな悟りを開いてしまいつつも計画が決まり、今日は解散の運びとなった。

明日からは計画の準備のためそれぞれ学校内を動き回る予定だ。




「今日はいろいろとありがとうございました。」


今日は本当にいろいろあった。前世持ち仲間に出会い、一見民家な喫茶店に引きずられ、美味しいコーヒーとケーキ食べつつも真っ黒い計画立てたわけだ。


「いいのよ。私も今日は楽しかったわ。」


お姉さまはにこにこと微笑む。なんか光り輝いているようにも見える。だが、これでかなり曲者なのは実感してしまっているので、ありがたみは感じれない。


「あぁ、まぁいろいろあったが後半は楽しかったな。」


獅童先輩は前半にドン引きしまくりな事実を聞きまくっていたのでなかなかに複雑そうな顔だった。


「じゃあ、また明日。」

「えぇ、また明日。」

「あぁ、明日な。」


こうして、私たちは明日を楽しみに別れた。







家に帰る道すがら、私は過去を振り返りつつも明日からの学校生活に思いをはせる。


思い出すのは中学の時のことだ。

過去に逆ハー狙いの美少女の邪魔をした私だが、正直あれは怒ってやったわけではない。

ちょっと前世で読んでた小説に似てたからこれは邪魔しなければ!とうきうきしてしまっただけ。

原作知らないので思い入れもなかったので、ちょっとした遊び感覚というのか、まあそんな感覚で始めた事だった。

攻略対象と関わっていく中でメンドウな性格ではあるが、いい奴らだと思ったから他の気の合いそうな女の子たちとの仲を取り持ったが、別にあれらは計画的犯行ではなかったのだ。


だが、今回は違う。

私は原作を知っている。そして思い入れもあった。何より主人公の応援したくなるような性格が好きだったのだ。もし、原作通りの主人公であれば私がここが乙女ゲームの舞台だと気づく前であれ、後であれ友人になってただろうし、普通に恋の応援をしていただろう。

だが、現実には私が好きだった主人公は存在しない代わりにいたのは、人の気持ちを弄ぶ気満々な性悪女で、その上、誰もが必死に努力して手に入れている場所を主人公だからと勉強をおろそかにしていながらも手に入れられるなどと思いあがっていたヤツだ。その嫌悪感たるや、すさまじい。

私も努力したし、周りのA組の子たちも夢を持って努力している者ばかりだ。それを知っているだけに主人公はとても腹立たしいかぎりだ。


だから、中学の時のように人の恋路にちょっかい出す程度では済まさない。



主人公だからって調子乗んなよっ!!



明日から頑張って、必ず計画を遂行して見せる!と気合を入れた。

くどい?と思いつつ、いろんな思いを詰めてみた。


香織氏は過去に仲を取り持ったカップルたちと良好な関係をきづいてます。

そんな恋人たちを見ているので、逆ハーを狙う恋愛に対する不誠実さが許せないのです。

乙女ゲームが好きという人も自分のお気に入りキャラが弄ばれるのは嫌でしょうし。なので、いかに逆ハーがよくないものか語ってみました。


感謝の言葉や質問への回答はできれば活動報告の方に書きたいなぁと思っているので、気になる方はぜひ見に来てください。


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