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乙女ゲームの前後  作者: ゆい
乙女ゲーム前
2/10

01

さて、今更だが、私は乙女ゲーム世界に転生した。


正確にはゲーム世界というのが正しいのだろうか?


小中高とどれも作品名は異なるが、学園物の恋愛ゲームの舞台になっていたのだ。


小学生で恋愛って早い気がするが、あったのだから仕方がない。小児性愛者が増えてたんだろう。


とりあえず、そんな中で私に振られた役はどうやら「情報屋」だったらしい。

主人公の友人で、話しかけられると攻略ヒントや好感度などの情報提供をする役どころだ。

そのためか、主人公と思しきかわいらしい子に良く話しかけられたし、なぜか誰が何が好きかとか、普段どこにいるとか、今彼女のことをどう思っているかが何故かわかってしまう。そういう情報がさりげなく私に集まってくるのだ。


が、何故だろう。

私は主人公がすごく嫌いだった。


私には前世の記憶がある。


そのため、周囲より大人びてしまっていそうだが、二度目の人生楽しもう!とか意気込んでる私は普通に子供に交じって遊んでた。


だって、自由に遊べるのは子供のうちだけなんだから、遊ばなきゃ損じゃね?


と、なじんでいても一度はそこそこ大人、と言っても二十代で死んだが、そこまで生きたのだから人を見る目はある。


彼女は仕方ないなと子供遊びに付き合う優しいお姉さん風吹かしたクラスメイトとしてふるまっていたが、ときどき、周囲を馬鹿にしたような目で眺めていたのを私はばっちり見ていた。


そんな嫌でかわいげのない子と仲良くしてやるほど私はお人よしではない。

ので、彼女に話しかけられても情報開示は行わなかった。


むしろほかの子に情報を渡し、幼い恋の成就を応援したのである。


結果、卒業までに5組のカップル成立を果たした私。

いい仕事したわ~とか思っていたら、主人公ヤツは言ったのだ。


「役立たず!友人役で私のサポートするだけの脇役のくせに!!」


とかなんとか。


意味わからん。理不尽だと思い、とりあえず復讐として、皆にこの話言いふらしてやった。中学でハブられるといい。


家に帰り、よくよく考えて、ようやく思い至ったのだが、あの小学校、恋愛ゲームの世界だったっぽい。


道理でみんな顔が整ってんなぁと思ったよ。

小児性愛者じゃないからあんま覚えてなかったけど、私が成立させた5組のカップルの男の子、前世のオトゲー雑誌の表紙で見た顔だった……。


どうやら、彼ら攻略対象キャラを主人公以外の子とくってけてしまったらしい。

後悔はしてない。



で、前世の記憶持ちというのも意外と複数いるんだという認識もした。

ヤツのセリフ、リアルで脇役とか普通、人に向かって言わんだろう。

ここがゲーム、あるいは物語だと仮定しなければ出てこないセリフだ。

その上、私と友人関係でもなかったのに友人役というなら、本来の私と彼女の関係はそうであるという知識があったということだ。


まぁ、過ぎたことだし、後は普通の人生さ。と思って気にしないことにした。


気に


しなくていいと思ってたんだ。



中学2年の初夏、時期外れの美少女転校生と校内で話題の美系男子生徒会というありがちなものがそろってしまうまでは……。











さて、こいつら。小学生の頃と似たような感じだった。

生徒会男子の情報がやはり私に集まり、美少女転校生はやけになれなれしく私との友人関係を主張する。


怪しいので行動を観察した結果、美少女転校生は八方美人だった。

ある時は気の強い女の子、ある時はか弱い女の子、ある時は聡い女の子、と相手によって態度を変え、興味関心を引こうとする。


それを見てびびっと来た私の前世の記憶。

これは、乙女ゲームに転生した主人公になった女の子が逆ハー目指してる展開ではなかろうか!

だてに活字中毒ってないのである。


ならば私はそんなあほな展開を踏みにじる前世持ちな脇役であろう、と考えた。


割と簡単だった。


八方美人は同性からは嫌われるのだ。

しかも私は情報屋。


女の子に情報を流し、生徒会にも伝手作って情報流し、用事のふりして一人連れだしたりしては美少女がほかのメンバーに愛想ふりまいてるのを見せる。


周囲に嫌われ、生徒会に不信感を抱かれた美少女は、彼らとの接触が一気に減る。

その間に別の子と生徒会をくっつければいい。


主人公に対してはあたりがキツイ私だが、他の人に対しては面倒見がよく、慕われているのだ。

―――――じゃなきゃ情報が集まらん。


小学生の時の恋愛成就の功績もあり、恋愛相談をされやすいので、その子たちにアドバイスをあげて、応援すればカップルが勝手に出来上がるのだ。


そうして、一年後には生徒会は全員彼女持ちのリア充化し、めでたく任期終了。

私は再び「役立たず!」と美少女に罵られたので、お返しに奴は中二病と噂流しといた。

翌年、美少女が中二病患者として学校中の憐みの視線の中で過ごしたのは言うまでもなかろう。


そして、二度あることは三度あるというように、私は今、三度オトゲー舞台に立っているのである。





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