表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

序章:伝説

それは……悪夢だったのか? 黒雲立ち込める空の下、黒を連想させる城が聳え立っている。

雷が鳴り、時折叫び声が響く。

そんな中、静かに淡々と話し続けている者が居た。

「ルター……これ以上、あいつを抑えきれぬ」とその声は銀色に輝く水晶から響き渡る。

「ランダ。抑える事が貴方の使命よ? 忘れたというの?」

「クク……こんなにも長い間、独りで真っ赤な悪夢の中にいたらそんな記憶忘れるに決まっているだろう?」

その声は可笑しそうに、そして不快そうに言い放った。

「けれど貴方は自ら申し出たと聞くわ! そう……この呪縛から逃れようとするなんて許さないわ。この世界中の人たちを護る義務が私にはあるのよ……」と意思を貫き通すというような深く澄んだ声が響く。

「……俺が何故、自ら申し出たと思っている? それはお前のためでも世界のためでもない。フィアンダ様のためだ!」

「そう……やっぱり貴方は神官という立場にありながら過去の女王フィアンダに惚れていたというのね……」

その言葉を聞いた瞬間、ランダと呼ばれしものの怒りを露にした声が

「許さぬ!」と言い放ち、ルターの細く真っ白な首を捕らえた。

「ばっ……馬鹿な……。あ、貴方は……この水晶から抜け出す力を手に入れたというのか……?」

ルターと呼ばれし者の白い手が割れた水晶に触れる。

「フィアンダ様に会えるんだ……。魔王が約束してくれた……」

割れた水晶から見えるランダの目は遠くを映し虚ろだった。

「あぅ……っ! 貴方は……魔王を目覚めさせたというのか? くっ……貴方はフィアンダに正義の使徒と認められた唯一の……」

ルターの目から儚げに光る雫がポロリと落ちる。

「……フィアン……ダ様……?」

人の心を失う直前に呟いたランダの言葉は一番愛しい人の名前だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ