星
掲載日:2026/05/06
登場人物 遼真…主人公
沙月
「はぁっ」
最後の一段を昇りきり、思う。
ここで2人で夜空を見上げたのは、いつだっただろうか。
ついこのあいだだった気もするし、とても前だった気もする。
俺はとぼとぼと歩き、ベンチに腰掛け、空を見上げる。
ーー星月夜
ふと、そんな言葉が浮かんだ。
星月夜とは、星が明るい夜のこと。
目の前に広がる夜空に、ファン・ゴッホの「星月夜」を彷彿とさせる、力強く輝く星たちがいたからか。
「あーあ。沙月、こんなに美しい星空を見ないでいっちゃうなんて…。もったいないことしてるなあ」
星に向かって、上から目線で残念がる。
突然、風がすーっと横切った。
『やっぱり遼真は素直じゃないなぁ』
ハッとして辺りを見回す。聞こえたのは、沙月の声だ。
「さ、さつき……?」
返事はない。
当たり前だ。沙月はもう、ここには来られないのだから。
ならば、先ほどの声に従って、素直に言ってしまおうか。
俺はもう一度夜空を見上げる。
「沙月、俺寂しいよ。今日も、一緒に夜空を見たかった。
でも、頑張るから。……ずっと俺のこと、天から見ていてね。」




