恋のコミュニケーション(outマジバ)
今日からテスト期間だ。
(マジバ…私頑張るよ!)
『あなたの頑張りを期待してします、ローズ。通信は出来ませんが私はずっとここにいます』
ローズは左手首の腕時計型魔道具をひとなでして学園の門をくぐった。
「おっはよー!」
教室にはいってすぐ、メグが声をかけてくる。
「おはよー。今日のテスト、ドキドキするよ〜」
人見知りだったのが嘘のようにローズは明るく答えた。
「ねぇ、ローズ聞いて!私、前期のテストで学年10番以内ならマメタ買ってもらえるんだ!だから超気合い入ってる!」
「そうなんだ!私もパパに同じことお願いすれば良かったなぁ…」
「オッスおはよーお2人さん!どうよ、今日のテストへの意気込み!」
「あっ、サイラス君おはよう。私はそこそこだけど、メグは気合い入ってるよ〜」
「フフン。見てなさい。成績発表でサイラスは私にひれ伏す事になるわよ!」
「へぇ〜」
「興味なさすぎだろうが!」
2人のコントの様なやり取りに、ローズは声を上げて笑う。
不思議だ。メグとサイラス相手なら、マジバに頼らなくても自然と会話出来るのに。
どうして、ロイ君と話そうとすると頭の中が真っ白になるんだろう?
「おはよう。3人で楽しそうだね。何話してたの?」
ロイの声がして、ローズは僅かに緊張した。
マジバなしで話すのは、初めてかもしれない。
「おっは~ロイ。なんか、メグがテスト超自信あるらしいぜ!」
「ロイも見てなさい!私にひれ伏すがいいわ!」
「えー?全然意味わかんないけど何か嫌だ」
そう答えたロイが、不意にローズを見た。
「………」
「………」
こういう時、どうするんだっけ?
そうだ!まずは…
「「おはよう!」」
2人の声がハモって、しばしの沈黙。
その後、少し照れたようにロイ君が笑った。
「その…ローズさん。あの…今日はいい天気だね!」
「うん…あの…そうだね!」
そう言いながら2人で窓の方を見る。
朝から曇り模様だった空から雨粒が落ちてきて、2人が見つめる窓に水滴を落としていく。
微妙な空気が流れた時チャイムが鳴り、2人はそれぞれの席へと戻っていった。
テスト期間は3日間。
その間、ローズとロイはひたすら天気とテスト課題とランチの話題を繰り返していた。
ほとんど毎日同じ内容を話ていたと言っても過言ではない。
「なぁ、メグ…」
「何、サイラス」
「おかしいよな?」
「えぇ、おかしいわよね?」
メグとサイラスもテスト期間中、休み時間も次のテストの準備で周りに気を配れていなかったが…
最終日にその違和感を互いに口にした。
「あの2人、いつも同じ話してるぞ…」
「何か変よね?2人で良い感じだと思って気を使って離れてたけど…」
テスト期間中は午前で授業が終わり、そのまま下校となるので気づかなかった。
最終日のテスト終了後の開放感も手伝って、気づいてしまった。
「あの…ローズさん。今日もいい天気だね!」
「あっ、ロイ君…うん、そうだね!」
「…テストの課題、難しかったね!」
「えっと…うん!むずかしかった!」
「ランチ…はテスト期間中ないね」
「そうだね、ランチないね!」
「………」
「………」
「何アレ!何の会話!?」
「いや、こっちが聞きてーよ!こえーよマジで!」
「あれ、もしかして毎日やってた!?私、テストに必死で聞いてなかったけど!」
「毎回聞いてたわけじゃないけど、だいたいあんな感じだったよ、俺タイムリープしてんのかと思ってビビったわ!」
どうする?どうしようもなくね?と2人で顔を合わせて話す。
なぜなら、メグやサイラスが会話に加わるとそんな不自然な会話は繰り広げられないからである。
「2人の時だけ…?」
「ロイ…見た目はいいけど中身はポンコツだからな…」
「ローズも意外とそういう所あるわ…」




