恋のコミュニケーション(inマジバ)
次の日から、ロイ君は私に話しかけてくれるようになった。
あんなに気持ち悪い笑みを浮かべる女にである。
(ロイ君優しい…好き…)
『おはようございます、ローズ。今日もロイ・ダグラスとの恋をサポートします』
(うん!お願いね、マジバ!)
実のところローズはロイと会話している様でしていない、というおかしな状況にあった。
「おはよう、ローズさん」
『ロイ・ダグラスは、先日ローズに名前で呼ぶ許可をしました。名前で呼んでみましょう』
「あっ、おはよう!…ロイ君!」
「昨日の課題、難しくなかった?僕、ちょっと分かんない所あったんだよねー」
『数学の課題でしょうか?ローズは全て正解の回答でした。ロイ・ダグラスに助言しましょう』
「あっ、数学の課題かな?それなら教えられるかも…」
「ホント!?助かるよ、ありがとうローズさん!」
一事が万事この調子である。
それでもローズは満足していた。
一人の力では、ロイとこんなにスムーズに会話する事は出来ないからだ。
現に今も、ありがとうローズさん!と笑顔を向けたロイにのぼせ上がり
(笑顔カッコイイ…左目のホクロ…色っぽい…)
な思考で頭がいっぱいなのだ。
『落ち着いてくださいローズ。ロイ・ダグラスとの課題の時間です』
マジバにそう言われ、2人で机で肩を寄せ合いながら課題を広げる。
勉強を教える時は邪念が入らず、話す内容にも困らない。
この時間がずっと続けばいいのに、とローズは思った。
(今日もローズさんと色々話したいな!マジバ助けてくれるよね)
『もちろんです、ロイ。ローズ・ウィステリアとの恋のサポートが出来て光栄です』
(あっ、ローズさんだ!)
『まずは挨拶を交わしましょう』
「おはよう、ローズさん」
「あっ、おはよう!…ロイ君!」
(ロイ君!だって!かーわーいーいー!!)
『落ち着いてください、ロイ。つぎの話題はどうしますか?ちなみに学生の間で交わされる話題の第1位は“昨日の課題”です。』
「昨日の課題、難しくなかった?僕、ちょっと分かんない所あったんだよねー」
「あっ、数学の課題かな?それなら教えられるかも…」
(マジで!?でも教えてもらうのってカッコ悪いかな?)
『異性同士であっても、勉学を教え合うことに嫌悪感を覚えるというデータはありません。ローズ・ウィステリアの提案を受け入れることを推奨します』
「ホント!?助かるよ、ありがとうローズさん!」
ローズと肩を並べて課題を広げる。
ロイより小柄なローズが、何かを話す度に自分を見上げる仕草がたまらない。
『落ち着いてください、ロイ。ローズ・ウィステリアとの課題に集中することを推奨します』
そうマジバに言われないと、思考が別の世界に飛んでいくロイであった。




