恋はイナズマ
「これ、落としたよ」
図書室へ向かう途中、声をかけられて振り返ると、ひとりの男の子が1枚の紙を持ってローズの目の前に立っていた。
長身で黒髪の顔立ちの整った人で、左の目元のホクロが印象的だった。
彼の手には、先ほど教室で配られた課題のプリントがあった。
慌てて手元を確認すると、その紙がない。
「あ、ありがとうございます。落としていたんですね…」
人見知りを発動し、視線を相手と合わせることもできずにプリントを受け取る。
「ウィステリアさん…、だったよね?同じクラスのロイ・ダグラスだよ」
同じクラスの…?
そう思って顔を上げると、新緑の様な美しい緑の瞳と目があった。
「いつも教室にいないから気になってたんだ。図書室に向かってたの?本、好きなんだね」
そう言ってニコリと笑った彼の緑の瞳が柔らかく三日月に形を変える。
彼の笑顔を見た瞬間ローズの全身に電撃が走り、世界の色彩が色を鮮やかにした。
(視線が合った瞬間、胸の奥がぎゅっと掴まれた気がしたの)
『急な胸の閉塞感は、心疾患・肺疾患などの重篤な疾患の前兆である可能性があります』
(緑の瞳がキレイでね…左の目元のホクロが大人っぽいの。笑うと目が三日月みたいに弓形になって可愛い雰囲気にもなるのよ…)
『素敵ですね。ローズ、胸の閉塞感はどうですか?近くの循環器内科のリストを教えましょうか』
(これが一目惚れなのね…恋…なのね)
ほぅ…と熱い吐息を漏らしたローズにマジバは
『なるほど、胸の閉塞感というのは比喩だったのですね。了解しました。』
と答えた。




