恋の試練
その日からの1週間。
ローズとロイは今までが嘘のように自然に話せるようになった。
むしろ今まで何故普通に話せなかったのか、それをメグに漏らすと
「初っ端からマジバに頼るからよ。」
と至ってシンプルで真っ当な答えを貰ってしまった。
そのマジバだが、今日の夕方頃にマザーが再起動するらしい。
「今までマジバにロイ君の話してたから、また話しちゃうかも…そしたらまた頼り切りになっちゃいそう!」
そうメグに不安を漏らす。
「別に話せばいいと思うけど?要は、話し相手にはなってもらうけどアドバイスは不要って自分の中で線引きすればいいんだよ」
あっけらかんと答えるメグに、ローズはまたしても目からウロコだった。
『こんにちはローズ、お久しぶりです。マザーのアップデートにより外部会話機能も搭載されました。新しいイマジナリーマジックバンドをお楽しみください。』
(マジバ!久しぶり!)
その日の夕方、マジバは再起動した。
機械的な音声が、今はとても懐かしく感じる。
(色々あったんだよ!)
積もる話は途切れることなく、ローズは母に夕飯だと声をかけられるまでマジバに話し続けた。
次の日、ローズはマジバを左手首に感じながら登校する。
『ローズ、ロイ・ダグラスとの会話のサポートは必要ですか?』
マジバに聞かれてドキンとする。
(自分で…自分の言葉で、話するよ。そうしなきゃ、前に進めない気がする)
『わかりましたローズ。私はここで見守っています。なお、外部会話機能はデフォルトの状態です』
マジバはそう言うと静かになった。
ロイは左手首のマジバを見つめる。
結局着けてきてしまった…
マジバのいなかった1週間。自分の言葉でローズと話せていた。
不思議と会話に困ることなく、ローズはどうだろう?何が好き?など、溢れ出る疑問を口にすることが出来るようになっていたのだ。
もうマジバの助けを借りなくていいと思っていたけれど…
『おはようございますロイ。昨日の話では、もうローズ・ウィステリアとの会話のサポートは必要ないように感じましたが、今日も大丈夫ですか?』
そうマジバに聞かれて…
(…うん、大丈夫…たぶん…)
と急に弱気になってしまっていた。
そんな自分が情けなくて泣けてくる…
ロイは落ち込んだ気分で学園の門をくぐった。
「おっは~ロイ!!どうしたよ、落ち込んだ顔も男前だな!」
「サイラス…ヤローに顔面褒められても気持ち悪い…」
「ツッコミに勢いがない!」
「マジバ…連れてきちゃった…」
「なるほど把握。別にいいんじゃね?要は、マジバ頼りで会話するからダメな訳じゃん?もうお前ローズさんと普通に話せてるし。マジバいても頼らなきゃいいんじゃん」
「そうなんだけどね…」
居ると頼っちゃいそうなのに、マジバを持ってきてしまった自身への自己嫌悪が止まらないロイなのだった。




