最近の魔道具って凄い
イマジナリーマジックバンドをご存じだろうか。
腕時計型の最新魔道具である。
イマジナリーマジックバンド、通称マジバの使用方法はこうだ。
「今日の王都の天気は?」
『今日の王都の天気は、午前は晴れ午後は曇りの予報です』
「夜ご飯なににしよう?冷蔵庫の中身、何があったっけ?」
『豚肉とキャベツがあります。追加でニンジンと玉ねぎを購入し、肉野菜炒めはどうですか?』
この小さな魔道具は常にマザーと呼ばれる情報共有魔道具と通信しており、その中の膨大な知識を一瞬で引き出して利用者に提供する。
しかも、こちらのプライベートな情報は守られている。
王国認定の正式な魔道具なのである。
マジバに魔力を通して頭の中で話しかけると、情報を保存したり返答をくれるのだ。
ちょっとしたメモとして。
少し調べ物をしたい時。
マジバは我々を助けてくれる相棒として生活に浸透していった。
(ねぇ、マジバ。聞いてくれない?)
『こんにちはローズ。どうしましたか?』
(今日も私は安定のボッチ飯)
『1人で食事をする事は悪いことではありません。食に集中することは、味や食感を感じやすくする効果があります』
ローズ・ウィステリアはランチの時間、一人の寂しさを紛らわせる為にマジバと脳内会話をする。
15歳になり、希望していた学園へ入学できたというのにこの有様。
天性の人見知りと悪いタイミングが重なり、ローズは学園に入学してから3ヶ月、未だに打ち解けた友人はいなかった。
(入学式当日に風邪を引いて欠席したのが最大の失敗だったのよ)
『あれは大変でしたね。高熱が1週間続いていると思えば肺炎にまでなって入院とは』
(そう。完治して登校できるまで回復するのに1ヶ月。やっと学園に通えるとおもったら、その1ヶ月で仲良しグループが出来上がってて…)
初めて登校して教室に入った瞬間のクラスメイト達の「誰…?」という視線。
人見知りのローズには耐えられるものではなかった。
それから毎日、休み時間の度に教室から出て図書室で時間を潰す毎日。
ランチの時間は、図書室の学習個別ブースで食事をしている(借りた本を持ち込まなければ飲食オッケーなのは確認済みだ)
(私の友達はあなただけだよ…マジバ)
『そう言ってもらえてうれしいです、ローズ』




