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3話 過去を知る依頼人

 送信者 14182518@****.com

 

 件名 仕事の依頼について

 

 内容 はじめまして、突然のメール失礼いたします。

    今回とある依頼をお願いしたいと思いメールをい     たしました。

    要件はじかに会って話したいため、明日3時以下の場所でお会いできたらと思っています。

    場所 ○○区総合病院 旧療養所前の駐車場

       東京都○○区○丁目○○-○


 内容は少なく必要最低限の事しか書かれていなかった。誰からかも分からずメルアドを調べてみたが、ただの捨てアドだった。

「明日かー」早く今ある仕事を終わらせなければならないなと思った。そういえば最近外に出ていないことに気が付いた。今度買い物ついでにツーリングに行くかと思った。

 だが、そんなのんきなこと考えている場合ではない、仕事の依頼――すなわち俺が“殺し屋”だったことを知っているということだ。俺は少し焦りを感じていた。もしメールを送った者が警察だったら、そう考えると行くべきかどうか迷ってしまった。まあいいや、明日もカズは出勤だ。どうってことはないだろうと考えを放棄した。

 

 8時を回った頃だろうか今日の仕事のノルマが終わった。そのままベットに直行する。もう夕食を食べる気にもならなかった。今日あったことをわざわざ思い出す気力すら残っていなかった。ばたりとうつ伏せ状態で倒れそのまま夢の中へ眠ってしまった。


 ベットから起き時計を見ると朝の5時頃だった。久しぶりにこんな早く起きたなと思いつつ二度寝する睡魔はないようなのでそのままダイニングへ行き朝食の準備をする。だいぶ買い溜めていた食材が少なくなっていた。昨日、そのまま眠りについてしまったため、米を炊き忘れていた、なので今日はトースターにする。意外と長持ちする蜂蜜とバターでハチミツトーストを作った。これだけでは寂しいので野菜を切ってドレッシングをかけるだけの簡易的なサラダもあわせといた。

 「おはよう、早いな。」カズが起きてきたみたいだ。欠伸をしながら入ってくる。

 「よ、おはよ。昨日早く寝ちゃってな。朝食出来てるから食べようぜ。」そう言って向かい合わせの椅子にそれぞれ座る。

 「「いただきます。」」と一緒に手を合わせて言った。

 「にしても、コウ、お前よく早く起きないで親に怒られていただろう。」俺の寝起きが悪いことについて言ってくる。

 「いや、真逆。昔は親より早く起きていたから褒められていたぜ。」と自慢げに言った。

 「想像できねぇ」とかなり驚いた様子で言った。

 「失礼だな。朝食だって毎日作ってたぞ。」

 「じゃあ、そんな有様になったのは何か原因があるのか?」と疑問げに言ってきた。痛い所付くなと思いながら答えた。

 「まあ……親が居なくなったからかな……」その声は少し小さかったと自分で思った。

 「は……どうして……」そういや言ってなかったなと思いながら説明する。

 「母親は交通事故で、父親は夜逃げしたんだ。」それを何の躊躇も無く言う。

 「そうだったのか……なんか悪いな……」

 「いやいいよ言っていなかった俺も悪いから。」と飯が不味くなるから無理やりでも笑顔を作った。

 「そういや、前調べてくれたやつ、ビンゴだった。ありがとな。」強盗事件の話だ。詳しく聞くと、俺の特定した人物の顔と現場の周りの防犯カメラの人物が一致したらしい。

 「それは良かった。」

 「それで、言い忘れていたが今日午後に出かけてくる。」

 「了解」そう言ってカズはスマホをいじり始めた。着信が来たらしい。

 「悪い、収集が入った行ってくるな。」そう言って立ち上がり出る準備をし始めた。

 「あいよ。」そう言って二人が食べ終えた食器の片付けに移る。

 「じゃ。」そういって部屋から出て言った。

 「いってらっしゃい。」そう言った直後部屋は静かになった。

 午前中仕事を終え、カップラーメンを昼食にして指定された場所へ向かった。

 住んでいるシェアハウスの裏の空き地に止めてあるバイクを動かす。このバイクは高校から使っていた物だ。少しうるさい排気音を出しながら街路樹を抜けていく。途中で今やいくらでも存在するコンビニに行き肉まんを買いつつ、場所をスマホで調べた。場所は同じ23区内だが病院は流石に行きはしない。時間に遅れないようにと事前に道を確認しておく。

 

 指定された場所へ着いた。現在病院として使われているの建物とは違い、建物はコンクリートにひびが入っており、ツタがあちらこちらに蝕んでいる。一目見ただけで管理されていない様子が見られる。誰からも忘れ去られた廃墟のようだ。

 その駐車場であっただろう場所にとある一人の男が立っていた。スラッとした体形、白衣を着ておりここで働いている医者だと思われる。

 「お前か、俺を呼んだのは。」

 「……ああ、そうだ。俺の名は、ヒデ。」どう見ても警察では無いようだ。俺は少し安堵する。

 「なぜ俺に?」俺は依頼された身であるため名前を伏せておく。

 「とある動画が何者かによって復元されていた。調べたら復元したのがお前だった。」なるほど、その動画は誰かを引っ掛ける為の罠だったということだ。それに俺はまんまと引っかかってしまったというわけか。

 「それで、要件は。」

 「単刀直入に言おう。お前を呼んだのは……とある男を殺してほしい。」

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