番外編:魔法訓練装置、爆誕!のち爆発!
──翌朝。
魔界の丘の庭に、**謎のドーム状機械(司郎製)**が組み上げられていた。
その名も──
「魔導行使感応式・試作型訓練機構 第一号(愛称:ピカマルくん)」
「なんか見た目、スイカに足が生えたみたい……」
あやのがぽつりと呟く。
「中に入って、精神を集中させると、あたしが設計した“模擬魔法構文”が反応するの。意志の出力に応じて、段階的に魔法が出るわ。最初は“光る”、次は“浮く”、最後は“飛ぶ”」
「おお~! すごい! ……浮く、飛ぶ、って、それ大丈夫?」
「……そこが問題なのよ」
司郎がぽつりと呟いた。
「問題?」
「たまに、“飛ぶ”じゃなくて、“吹き飛ぶ”になるのよね……使用者が」
「……」
「使う?」
「使います!!」
「聞けよ」
──5分後。
ピカマルくんの内部。
あやのが座り、息を整えて、精神を集中。
「私は……魔法を……使いたい……っ!」
【ピカマルくん、感応】
ピコン!
“初期魔力、感知”
ピコピコピコピコピコ……
「……おぉ、反応してる……!」
【光る】──成功。
ピカァッ
「おおお! 床が光った!」
【浮く】──成功!
ふわっ……
「わ、わ、浮いてる……!」
【飛ぶ】──成功!?
いや。
──吹き飛ぶ!!!!
ドゴオォォォォン!!
丘の上から、あやのがピカマルくんごと美しい放物線を描いて飛んでいった。
「ああああああああ!!!」
司郎「ほら言ったじゃない」
梶原「はい、クッション展開!」
幸「わんっ!(無言の空中三段跳びキャッチ)」
──無事、回収されました。
番外編:魔法の師匠を探せ!
翌日。
あやのは、魔法を本格的に学ぶべく、「正式な師匠探し」を始める。
「でも、誰に教わればいいんだろう……」
魔界の議会を通して紹介された師候補一覧には──
その1:千年語る魔女・白峰ほうこ(伝説級)
「教える前にまず、千年分の魔界史を講義するわよ」
→ 脱落。
その2:爆発魔導師・火ノ宮どん(自称・魔法エンタメ業)
「まずはこの爆弾を五秒で解体するのよ☆」
→ 司郎によって物理的排除。
その3:元・魔法省お抱え講師・黒斗先生(実力派)
「一に集中、二に瞑想、三に、三年修行」
→ あやの「長すぎます!!」
その4:謎の老女・「そこの姉ちゃん、魔法? あげるよ」
→「たぶん詐欺師」と梶原に首根っこつかまれて通報。
その5:ヘイリー(※そもそも魔法使いではない)
「なんか私の歌聞いてたら魔法っぽい気分になるじゃん?」
→意外と近かったけど違った。
あやの、早くも挫折の気配。
「誰もいないじゃん……!」
「魔法の道ってのは、長いのよ……」
司郎が肩をすくめると、後ろから梶原が手を挙げた。
「ひとつ、方法がある」
「えっ? なに?」
「──俺が、習って、教える」
「なんでえええええええええ!?」
「なんでって……魔界鬼族として、一応基礎術式は全部使えるし、教本もある」
「え、そうなの!? ……って、えぇ~~!? 梶くんに教わるの~~!? 恥ずかしい~~~!!」
「爆発するよりマシだと思うが?」
「くっ、ぐぬぬ……じゃあ、梶くん先生、よろしくお願いします……!」
こうして、
**記録者あやのの魔法修行編「先生は夫!」**が、いよいよ始まるのであった。




