asmi『恋』に関する考察2 カマキリ編
肉食動物と草食動物って、どっちが強いか知っていますか。あ、もちろん、草食動物が肉食動物を捕まえたり食べたりはしませんから、そういう意味では肉食動物のほうが強いです。
でも、本当に肉食動物のほうが強いなら、世界は肉食動物だけになってしまうはずです。ところが、現実にはそうなっていません。草食動物のほうが、圧倒的に多いのです。肉食動物なんて、わずかな数しかいないのです。そういうふうに見れば、草食動物のほうが強いのです。
カマキリのメスは、交尾中にオスを食べてしまいます。オスがかわいそうだと思いますか?子孫を残しに来たのに食べられてしまうのが、無念だと思いますか?
この見方は、正しいとは言えません。オスは、自分が食べられることを知っています。それを知らずに、いきなり食べられ始めたのならば、逃げるはずです。逃げずにおとなしく食べられるということは、それが予定されたものだということです。
カマキリのメスは、卵を産む時期を、できるだけ遅くしたいと考えています。卵というのは、かなり高カロリーです。他人の卵というのは、食物としては一級品です。そんな高カロリー食品を、夏真っ盛りに産んでしまったら、来年の春までの間に、誰かに食べられてしまいます。絶対とは言いませんが、食べられる危険性が高いです。
逆を考えましょう。秋になってから卵を産めば、食べられる危険性が低くなります。なぜって、食べようとする生き物が、秋になると死んでしまうからです。食べようとする生物がいなければ、春まで安泰です。
だったら、どのカマキリも、秋になってから産めばいいと思いましたか?そうはいきません。自分も死んでしまうのです。寒さに弱いのではありません。草食動物が死滅してしまうのです。えさがないのです。肉食動物は、草食動物がいなくなったら、生きていけないのです。
つまり、秋になってまだ生きているカマキリのオスは、強い個体です。夏のうちにたんまり草食動物を食べて、強く大きな個体になったのです。秋になって草食動物が少なくなっても、そういうオスなら捕食できるのです。
メスだってそうです。秋になってまだ生きているカマキリのメスは、強い個体です。強くなってしまったので、弱いオスは近寄ることもできません。へたに近寄ると、食べられてしまいます。交尾する前に、命までとられてしまうのです。人間界と同じです。
必然的に、強いメスには、強いオスしか釣り合わなくなるのです。しかし、強いオスといっても、強いメスを力でねじ伏せることはできません。所詮、同じ種族ですから、体格が同じくらいにすぎないのです。
メスの気持ちに立ってみましょう。メスは、卵を産みたいのです。これは、本能です。意思ではありません。だから、挑んでくるオスは、基本的にウェルカムです。ただし、弱いオスは食べてしまう、それだけのことです。強いオスはどうでしょう。戦いたいわけではありませんが、オスがねじ伏せようとしてきたら、反撃せざるを得ません。ただですねぇ、もう秋になっているので、しばらく食べていないんですよね。チョウもバッタもいないんです。おっとそこにおいしそうなオスが。ねじ伏せようとはしてきません。じゃ、鎌でぎゅっと。もう離さないわ的に。そうして、横顔をがぶっと。秋の涼しい風に吹かれながら、首を、胸を、どんどん食べていきます。
オスは、メスが自分に夢中になっている間に、交尾をします。相手は自分にめろめろですので、ねじ伏せる必要もなく、余裕です。しかも、オスは、立派な卵を産んでもらうために、メスの栄養補給の役にも立ちます。夏の間中蓄えた栄養を、全部、自分の子供に与えるのです。人間の夫婦は、夫が先に死ぬことが多いです。遺産は妻と子供のものとなり、妻が死ぬと、その遺産は子供に引き継がれます。カマキリと人間は似ています。
カマキリの出産は、夜。月明かりの下。
カマキリのメスは、愛なんて持っていない。
カマキリのオスは、どうなのでしょう。愛と呼びたい方もいるかもしれません。
でも、ここでは、あえて、高純度の恋と呼びましょう。別に、そのメスでなければいけないわけでなし。
メスも、食べ終わったオスのことを、覚えてもいないでしょうし。
ゆっくり溶けてく私からあなたへの想い
・・・・・・・・どうも、カマキリの雌です。
交尾のときは頭がとろけて
本能の支配が強まっていくのです
言葉は何より危うい鋭く純粋な氷みたいだ
・・・・・・・・口をかちかち言わせて、
冬の寒さが来る前に
卵を産まなければならないことを
あなたに知らせるのです
最終電車の逃し方は覚えてしまっている
・・・・・・・・・あなたに帰らないでって
甘える方法は知っていますけど
でもこんな夜を前にしては役に立たないな
・・・・・この後食べちゃうあなたに甘えてもねぇ
涼しい風が吹いて私の迎えが先に来る
・・・秋の風を感じると、
子孫を残すための本能に支配されちゃうのよ
じゃあねバイバイのリズムで駆け出す
足音がドアをくぐった
・・・・・・・私が正気に戻ったら、
あなたはもういないはず、バイバイ
愛なんて持っていない あるのは高純度の恋
・・あなたとの子づくりは愛じゃなくて恋(本能?)
心が悲鳴を上げてもそれすら笑っていたい
・・・ああ、あなたを食べたいぃ!笑っちゃうわね
愛なしでどこまで行けるか試したい恋で
・・・・・・・・・愛なしでいけます、カマキリ界
今が一番若いの私いつまでも光っていたい
・・・・・・・・・・・・・・よぉし、卵産むわぁ
たどり着いた先や未来がね ここにはない
・・・・・・あなたの未来は、もうなくなっちゃう
好きという気持ちだけでは長く続かないことを
知っているからこそ
・・・・・・・・・・・・・・欲しいのは種と栄養
毒を帯びた魔物 下がらないでいて体温
・・・・あれ、私、
ハリガネムシに寄生されていなかったっけ
水にダイブしたら寒そう
もしも今夜月がきれいなら
二人共犯者になろう
・・・・・・・・私が正気に戻るのは、
あなたを食べ終わった後だけど、
私が産む卵は、私とあなたの卵よ
横顔にキスをした
いつもずるいのは私でごめんね
・・・・・・・・最初の一口が横顔だっただけなの
刺さって抜けないまま痛いくらいがいいでしょう
・・・・・・・鎌って、結構とげとげよね、ぎゅっ
好きですあなたが
・・・・・・・・・・・・本当にありがとう、栄養
牢屋の中で二人は永遠を夢に見て愛に向かった
・・・・・・・・もうあなたを離さないわ、逮捕♪
息はできているんだろうかできないでいてくれ
・・・おなかの中のあなたは、息もできないわよね
ずっとずっと恋をしてる
・・・・・・・・・・・・・・もう会えないけど、
ずっと大好き
おいしかったし
※本考察では、asmi作詞の『恋』の歌詞の意味について、カマキリの交尾を描いているという独自の説を唱えるため、著作権法第三十二条に規定する研究の範囲内において合法的に引用している。