表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

ミーコ、ローグとテント越しでお話しする

 何とか猫の国の王 ネロウを狙うテロリスト ローグがイリスと和平交渉をするように説得出来てミーコは満足だった。

 チーズパンも食べ終えるとローグは「ミーコ。テントを使って」と言った。


「え? なんで?」

「なんでって、女の子に野宿させるのはいけないよ。俺は一人で野宿する」

「でも悪いよ」

「いいよ。俺は野宿でも大丈夫さ」


 頼もしいローグの言葉にミーコは「じゃあ、お言葉に甘えて」と言ってテントの中に入った。

 テント内は結構、暖かった。おそらくテントの布が絨毯並みに厚いからだろう。触るとフワフワしているが、押すと重たかった。


「このテント、暖かいね。それに布も重たいけど」

「ああ、その布、ネフェリムの民が育てているヤギの毛で作っているんだ。魔法の布で柔らかかくなったり、硬くなったり、重たくなったり、軽くなるんだ」

「へえ」

「ネフェリムの民はそれを旗にして使ったり、戦ったりするんだ」


 ローグの言葉にちょっと疑問に思った。この布で、どうやって戦うんだろう。そう思ったのだが聞かずに、別の事をミーコは野宿しているローグに聞いた。


「そういえば、ニアンから小説買っているんだ」

「うん。冒険小説を買っているんだ」

「ネフェリムの民って学校の先生っているの?」

「イリスの家の伯爵家から派遣された先生が来ているんだ」

「すごいね。猫の国の識字率って結構、低いんだ。野生の本能が強い者は全然読めないんだよ。特にネロウとか」


 字が読めないから上から目線でネロウたちに「読め!」と言われる。自分で読めばいいのにって思っているけど、自分の本能が許さないで結局言いなりになってしまう。それが時々、ミーコはうんざりしてしまう。

 するとローグは「それ以前に……」と話し出した。


「ネロウって目が悪くない?」

「え? そんなことないよ。だって私とか他の人の区別はつくもん」

「多分、それは臭いで判断しているんだよ。【運命の番】の臭いで判断しているから、嗅覚に優れているはずだ。それで他人などを判断しているんだと思う。だけど文字にはインクの臭いしか無いから、読めないんだ」


 ローグの言葉に納得してしまった。確かにネロウは嗅覚に優れているし、目が悪いのも確かにって思う。ネロウは綺麗で美しい絵とかも見せても「下手!」と暴言吐いていたし。

 それにしてもローグの観察力はすごいなってミーコは思った。


「ローグって色々と見ているね。私は何にも見ていないって思えてきちゃった」

「見慣れている物は、そういう物って判断しちゃうから先入観があるんだと思う。俺は魔物とか竜とかを討伐しないといけないから、観察して弱点を見つけないといけない」

「なるほどね」


 ミーコが納得しているとローグは「ねえ、ミーコ」と興味津々な感じで話し出した。


「ミーコもニアンから小説を買っているんだろ? 何を買っているんだ?」

「え?」

「どんなものを買っているんだ? 冒険もの?」

「……内緒」


 何となくミーコは恋愛小説と答えたくなかった。なんか、ちょっと恥ずかしかったのだ。

 そうしてローグとミーコはテントの布を挟んでいろんな話をして、眠った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ