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婚約式の波乱

罠に嵌められたルナ皇女。

大公子は逢引きしていた男女の女を皇女だと間違えて憤慨している。

婚約式は波乱の幕開けとなる。

どうする?


男爵の私邸は帝都でも外れといわれる比較的郊外にあった。


「で?首尾よくいったのか?」


ロティシー男爵のその瞳には望んでいる答えしか求めていない圧を準男爵に向けている。


リーガン準男爵はにっこりと微笑んでロティシー男爵の耳に近づきそっと囁いた。


「以前からの計画通り。

 私の召使にルナ皇女殿下の髪や体形、背が似た娼婦を探し宮殿の庭園で密会しているように演技さ

 せました。

 仮装舞踏会でずっと後をつけていて正解でした。

 人気のない薔薇園の研究所の試験庭園で。

 大公子は相手が皇女殿下だと思い込んで困惑している様子だったそうです。

 この調子では婚約式に支障が生じ、婚約式で大騒動になるでしょう。

 まあ今回の婚約式は内輪で行われるので、内部の者が漏らさないと宮廷人は詳しくはわからないでしょ

 うが。

 これで大公家と皇室に確執が生まれれば、今とは違い両家の対立構造を生みだすことができます。

 そこに我々が大公家に徐々に接近して、最後は囲い込んでフェレ皇国派を強固なものにするのです。

 大公子はお坊ちゃま気質が高い。

 大公子の代になれば最終的に皇帝と即位させれる事が出来れば操り人形に出来ますよ。

 そうしたら我々の時代です」


「あぁ。今日の報告が楽しみだ。義兄に同情する様に接近しよう。

 ところでその召使と娼婦の二人から今回の件が漏れる事はないのだろうね」


準男爵の瞳がギラリと光る。


「抜かりなく。

 大金を渡し、外国へ逃がすとおびき寄せて舟の上で殺害し、外洋で海に沈めました。

 今頃二人仲良くあの世です。

 死体が上がっても心中と思われますよ」


にこやかに微笑む。男爵はこんなに笑ったことがないくらいに気分がよかった。

自分に酔っていたといっていい。


「今夜の酒は旨くなりそうだ」



**********************************************


婚約式の前日朝からルナは当日の衣装の最終調整に追われている。


髪型からドレス、装身具の全体のバランスを見ながらつけたり、はずしたりを繰りかえす。


「婚約式でこんなだから結婚式はもっと着せ替え人形でしょうね」


ケタケタ笑いながらルナをからかう。


「本当に。

 でもお姉様も同じになるわ」


ルナが意味ありげにクスッと笑う。

子リスのようだわ。


「えっつ?なんで私が?」

激しく否定するとまたルナはクスッと笑って口元に手を置いた。


「うふっ昨日の薔薇を私に投げてからかったお返しよ」


そう昨晩寝る前にルナの持っていた薔薇の花束を投げつけた仕返しの様だった。

ルナの髪は薔薇の葉があっちこっちについて散々な身なりになり、そんな姿をエドワードに見せるはめになってしまったからだ。


あ!勿論とげはすべてとっていたわ。

私の大切な妹を傷つけは出来ないわ。

綺麗よ。


髪をアップに結い上げて、ティアラと造花の白い薔薇を髪に飾る。


大粒の真珠のイヤリングと指輪と一連のブレスレット。

化粧は最低限で可憐さを演出する。

白い肌に紅潮した頬が、唇のピンク色が鮮やかな朝露に濡れる薔薇の様だった。


ドレスはホワイトゴールド色で刺繍を胸元と裾だけに唐草模様を施しているシンプルなデザインでかえってルナに合っていて可愛さが引き立つ。


ネックレスは大公家から贈られたピンクダイヤモンドが中央に、チェーンはプラチナで出来ている。

シンプルだがピンクダイヤモンドの大きさは皇室の至宝といってもいいくらいの品だった。

なんでも初代ウォルディス大公家に臣籍降下した皇女の花嫁道具で次期大公妃に贈られる伝統のある品だった。


「とっても綺麗」


「うふっ。私がお嫁にいったら次はお姉様よ。」


「えっ??」


「相手は勿論アンドリュー卿よ。

 お姉様のお相手にぴったりよ」


「それよりもエドワード様こないわね」


話題をかえなきゃ!!


「んっ。

 今日も会うと昨日お約束しているから。

 でも遅くていらっしゃいます。

 何かあったのかしら?

 心配です

 昨夜もなんだか奥歯に物が塞がった様な感じでしたし。

 どうかされたのかしら?」


本当に心配そうなルナの様子に次大公子にあったら絶対ガツンといってやると心に決めた。

でも嬉しそうなルナの表情がとても素敵で私も気分があがる。

「そうなの。

 どうされたのかしら?

 とても心配だわ」


不安そうな様子も見え、少し心配も見え隠れしていたけれど、エドワードがルナの浮気を確信して酷く悩んでいたなどとは思いすらしなかった。


昼下がりは婚約式後ルナの日程が忙しくなる事もあって、姉妹でゆっくり過ごすことが少なくなる。

なんだかエドワードからの訪問どころか便りさえない。


今日は一緒に寝ると決めていてずっと一緒に過ごす。

ランチは満開の薔薇園で過ごし、おしゃべりや愛犬の「ソフィア」と「ランスロット」を連れてお庭を散歩したり、絵画を描いたり、リュートやバイオリンを演奏したりするとあっという間に時は過ぎた。

私の部屋で二人寝台で眠気がくるまで沢山おしゃべりして夜は深けていった。



一方大公子の方はひどく思い悩み、窓際でまんじりともせずゆうつな日を過ごしていた。


明日が婚約式だ。

このまま彼女の不貞と知りながら結婚して生活すべきか?

それとも神に婚約を誓う前に破談にすべきか?

どちらも茨の道だ。

皇室にとっても大公家にとっても。


私は大公の実子ではない。

大公には血の繋がった娘は義姉の一人だけ。その姉もアフェルキアに嫁いでいった。元々嫁がせるつもりでいたので私は幼い頃親族だった縁で大公家の養子となった。

義父はあわらず私を慈しみ、あらゆる教育と愛情をかけてくれた。

その義父にも迷惑がかかる。


皇室と大公家の関係が悪くなるのは避けなくてはならない。

でも皇女の不貞などという真実は言えない。

皇室そのものの威厳にかかわる。


どうしたらいいんだ。

どうしたら。

このまま結婚しても夫婦仲を演技して生活する事は私の性格から出来ない。

だとしたらしだいに関係は悪くなり、結局皇室との関係悪化は避けられそうにない。



しかも明日婚約式だ。

どうしたらいいのだ?

大公子は食事をするのも忘れて、夜が来ても一睡もせずに朝を迎え等々式当日になってしまった。


気の重いまま神殿に向かった。


***********************************************



「皇帝陛下。皇后陛下。大公殿下。

 私はルナ皇女殿下を妻にすると誓うには困難な状況になってしまいました。

 今日の婚約式は延期していただきたい」


衝撃的なエドワード大公子は皇室の小神殿の祭壇前で婚約式の式中に婚約の誓いの言葉の時にいきなり話始めたのだ。


その場には皇帝家族である。

皇帝皇后両陛下、皇太子殿下夫妻、私。


そして花婿となるエドワード大公子と義父ダルディアン大公。

そして式を進める大神官が厳粛ながら式を進行してするごく内輪の家族だけの婚約式だ。


その場で突然の大公子の発言。


困惑し、皆お互い顔を見合わせながら怪訝そうな顔を隠そうとはしない。

私は大公子が何を言い出したのか理解出来ず、頭の中は真っ白になってしまっていた。


両親もお互いの顔を見合わせながら大公子の発言に声さえでない。

小神殿に沈黙だけがその場を支配していた。


堪り兼ねて大神官が咳払いをした後、大公子に困惑した瞳を向けて言った。


「大公子殿下。

 ここは女神ディアの神の下神殿です。

 大公子殿下といえど、神の下誠実でいなくてはなりません。

 大公子殿下はかりにもここ女神の神殿です。

 配偶者を理由なく婚姻を破棄するには十分な納得できる理由が必要です」


大神官は弟子に言うように静かに諭す様に大公子に問う。


「……理由は私からは憚られます。

 ルナ皇女殿下がご存じです。

 皇女殿下にお聞きくださいませ。

 私からはお伝えする事は出来ません」


大神官は大公子の瞳には一筋の信念が見えているのがわかり更に困惑した。

以前の訪問した際には幸せそうな恋人同士にしか見えず、個人的にも幸せになってほしいと思っていたからだ。


何だか変だ。

あずあの誠実で精霊潔白な大公子が婚約式の最中に婚約をなかった事にしたいなど突然言うだろうか?

そんな優柔不断な青年だったろうか?

不審と困惑、大公子から感じる頑なさ。


何が起こったのか?


思い悩んでいるその時。


突然目の前のルナ皇女殿下が膝から落ちて床に倒れ込んだのだ。


「ルナ!!」

両陛下や私はすぐにルナの傍により、お父様はルナを抱き上げて神殿を出て行ってしまった。


大公子は青ざめた顔色で石の様に固まっていたが、ルナが倒れても平然として無機質な顔で眉さえ動かさない。


「貴方ね! 

 自分が何をしたか。

 わかっているんでしょうね!!

 ルナになんかあったら貴方絶対に許さないんだから!!」







婚約式を中断させたエドワード。

しかも婚約破棄も辞さない構え、ルナは衝撃の為に失神してしまう。


次回それぞれの思いとこの危機を乗り越える計画が!!

最終回まであと二話です。



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