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犬猿の仲 狩猟大会

動き出す皇女達の結婚事情と恋愛。


お母様が去った後、私達二人に残されたものは吹く風の音とお互いのㇸの字に曲がった口元だけだった。


「本当にお久しぶりだ軽蔑の女神。

 変わらずお元気そうだ。

 お元気すぎてあいも変わらず周りを竜巻の様に破壊しているんだろうね」


でた嫌み。

あの事件以来ネチネチという嫌みに耐えられず、どれだけ罵倒し合ってきたか。

ここはお母様の顔を立てて我慢したいけど、会わない年数は長いのに早々は切り替えられない。


あぁ~~~~ぁぁ………。無理お母様。


「礼節の女神さえ。

 あなたという人に対しては軽蔑の女神に変わるでしょうよ。

 女神ディアが再生と破壊の女神であるように」


「なるほどでは貴方の礼節の女神は簡単に軽蔑の女神に変わる浮気者だ。

 私は礼節の女神に愛されております。

 そのためか私は全ての女人に愛されています。

 勿論貴方を除いてはですがねぇ。

 まあ。私から愛するという事はございませんが。」


さて、私達が悪口の応酬をし合っていた頃、私はまっかく気づかなかったけど、ダルディアン大公子が

ティーパーティーのの様子を熱っぽく一点を見つめていたようだった。

後から人づてに聞いた話だけれど。



「まあ。

 ちょうどよかったわ。

 私が貴方の様な男に口説かれずにいるもの。

 まあ私も貴方と同じ異性にはとんと冷たいのだから。

 男に愛を囁かれるより、悪口を聞く言う方が数倍も楽しいもの」


「おお~。

 そう言う気分でいてほしいものでございます。

 出ないとこの世に惨めな男の山が築かれる事でございましょうから。」


「伊達男が傷を負っても不細工にはならないでしょうよ。

 あなたほどの顔立ちの者ならば」


「なるほど殿下。

 旨い事をおっしゃいます」


「私のような口の達者な者と貴方のような女を口説くしか興味のない者より格上よ」


「あぁ~。

 じゃあ私の口が貴方より早く爽快な言葉を生み出しましょう。

 なんと楽しい会話でございました。

 このあたりで失礼いたします皇女殿下」


「あぁ~言うだけ言って逃げてしまうのね。

 貴方は相変わらずね」


ふっと苦笑いをして見せた。


辺境伯は私のその顔を見たか見ていないか。

いかにもかしこまった礼をして、私の元から去っていった。


後でお母様にみっちりお説教確定です。

なんて面倒くさい事になりました。


まぁいいわ狩りを楽しみましょう。

しかたありません。

さあ今日の楽しみの場に向かいましょう。

狩人に。


**********************************************


皇女と別れた後、ダルディアン大公子のエドワードと共に二人で語り合っていた時、エドが突然熱く語り始めた。


「アンデイー。

 あのエルイシア皇女殿下と親しいのかい?

 本当のところあの皇女殿下をどう思っている?」

  

エルイシア皇女から離れたすぐに大公子が興奮した様子で紅潮した頬をして食い気味で聞いてくる。


煩わしいあの調子でいるのを隣で聞いていたろう。

聞く事もないだろう。


「ダルディアン大公子殿下。

 誰の事を言っているのかなぁ?

 もしかしてあのお転婆皇女の事か?

 まるで俺があの皇女を好きなんじゃないか?

 って聞いているように聞こえるよ 」


エドの意図がわからない。

なんで口喧嘩を聞いていたろう。


「そうじゃないのか?」 


「そんな訳ないじゃないか。

 あの問題児皇女だよ。

 世界で女が皇女だけになってもそれはないさ。

 そうなったら神官にでもなるさ。

 いままでの悪行を懺悔した方がよっぽどましさぁ。

 俺は愛する女など必要ないし、ましてや妻など必要ないさ。

 妻帯者の情けない事だ。人生に家族という名に縛られて平凡に生きる。宮廷でおべっかを使う。

 政争に巻き込まれる。

 うんざりさぁ」


めんどくさいようにぶっきらぼうに答える。


「えッ! 本心を聞かせてほしい。

 素敵な方じゃないか。

 飾りっけがなくて誠実そうだ。

 それに賢女。」

エドはまるで皇女の崇拝者の様にスラスラと美徳を言ってみせるのはなんでだろうか?



「なら言うが、美女というには言い過ぎで普通というには平凡だ。

 今の俺にはものたりないし。だからといって変われば殿下ではなくなる。

 ようは俺の好みではないんだ。

 そんな事を聞くところをみたら、意中の人でも出来たのか?」



「ああ…いましがた出来たのだ。

 理想の方を見かけて、瞳が釘付けになった。

 あの愛らしさ、優しげな様子、上品な仕草。

 今まであれほどの麗しい女人は出会った事がない。

 あの方なら妻にしたいと初めて思った」


瞳が♡型になっている。

あぁ。

エルイシア皇女に対してではないようだ。

ほっとした。

あんなお転婆エドにはあわない。

じゃあ誰だろう。


「はぁ?誰だい?」


「ルナ皇女殿下だ」


ぱっと明るい笑顔で答えたエドはまさに恋する男子だ。


「はぁ??

 君も独身主義者じゃないか。

 あんなに二人固く盟約を交わしていたのに。

 裏切るのか?

 まともか?」


眉間に皴が寄る。


「まともじゃないかも。

 確かにあの方を見るまで独身主義者だった。

 誰にも心を奪われないと固く君にも誓った。

 間違いない。

 でもあの方に。 

 心を奪われている。

 皇女殿下を妻にと思うだけで死にそうだ」


胸を押さえて苦悩しているエド。


「はっ!重症だな。

 でもあの皇女殿下の姉妹にはあの皇女がいるぞ。

 どうしようもなくおせっかいで、どうしようもなく余計な事をするな。

 結婚した所で離婚の道をたどるのは間違いない。

 考え直せ」


「僕は恋の虜だ。

 認めようすまない親友」

エドが申し訳なさそうに俺の肩を抱いた、


「あぁ~~結局独身主義者の砦を守るのは今のところ、友人にはいなくなるのか?

 どうしてこの国には筋金入りの独身男子貴族は絶滅危惧種なのか?

 誰も彼も墓場へと突っ走る。

 もういい好きにしろ。

 人生に悔やんでも慰めてやらないぞ!」




「んっ!」

その時突然咳払いが聞こえて俺達は会話を中断する。


「ランディルフ男爵?」


しまった皇后陛下の侍従長に聞かれたか!

万事休すだ。


すると男爵は上機嫌で自慢の顎髭を手で撫で始めた。

確かこの癖はご機嫌の時か、もしくは興味のある時だけだったはず。


「当代貴公子がなかなか興味深いお話をなさっていますね。

 今や帝都で令嬢達の眼差しを一番に浴びるお二人です。

 アンドリュー・ディア・シャルディエン辺境伯閣下。

 さてエドワール・ディア・ダルディアン大公子殿下。

 貴方の恋の話耳に飛び込んできました。

 あの方は本当に麗しく帝国の至宝と言ってもよい素晴らしい皇女殿下でいらっしゃいます。

 皇后陛下は最近あの皇女殿下の嫁ぎ先を選択されている所でございます。

 その身分柄皇女殿下達は過去他国の后妃におなりになるのが通例ですが、陛下は「国内で皇帝陛下の地

 盤固めの為に嫁ぐのもいいかもしれない」ともおっしゃってもおいででございました。

 皇后陛下がお認めになられたら皇帝陛下に異議はございますまい。

 ようはダルディアン大公子殿下でも十分に資格がおありになるという事です」


「………。恐れ多くも私は皇女殿下を愛してしまったのです。

 どうしたらよろしいでしょうか?

 私から告白するのはあまりに唐突で恥知らずの気もいたします」


「貴公子の恋を誰が咎めましょう。

 皇后陛下には今夜にでもお伝えして、今夜の仮面舞踏会で皇女殿下に心を籠めて忠実に告白なさいま

 せ。

 皇后陛下の真意が違っていれば、夕刻には告白の中止の使者を遣わしてお知らせしましょう」


「私にはもったいない方なのはわかっていますが、この思いを断ち切る事は出来そうにありません。

 男爵のご厚意には感謝しかありません。恋の中立ちをしていただけてありがたい事です」


「ちなみにルナ皇女殿下のお好みは誠実で、お優しく、心の綺麗な方です。

 貴殿には十分にご資格があると存じます」


「ありがたいこくとです。男爵」


「所で辺境伯はそういうお相手はいらっしゃらないのでしょうか?」


俺に飛び火か?


「いや俺は女人が俺を産み、育て、いつくしんでくれたのはわかっているし感謝もしています。

 でも妻を得て平凡で保守的な思考で世を渡るのは俺の性分に合わないのです。

 その為には女を信じず妻帯しないと心に決めたのです。

 そんな気持ちはさらさらありません」


「ふっ。恋をして青ざめている貴殿を見たい気もいたします」


「お人が悪いですね。

 でもそんなことは病気になったり、怒り、空腹ならともかく()()()()()()()()()()()

 そんな事になったら広場に俺の体たらくな様を柱に括りつけて見世物にしてもらっていいです。

 残念ながらそんな事態は起こりません」


「それは逆に恋の虜になれば人から笑われるだろうね」


「そんな事が起こったら、どうぞ私が言った様になさってくださいな」


「はあぁ~~。楽しみにしているよ。

 とにかく大公子殿下。

 先ほどの段取りでよいですね」


「はい。ありがとうございます。 

 男爵。感謝申し上げます」


エドはお辞儀をして男爵に礼を尽くした。


「では後ほど」

男爵は意気揚々と俺達の元から去っていく。


「君のよさの一つはその強情さだね。

 でも世の中には絶対という事はないのだよ。

 私が良い見本だ」


「絶対にない!俺が恋や愛を囁いたり、落ちたりするのは!!

 絶対にない!」


大きな声で主張した。唯一の独身主義者のエドが去りそうな時に最後の悪あがきだ。



***********************************************





青い空にファンファーレか鳴り響く。

今日は本当に狩り日和。

隣が辺境伯なのが気に入らないが、狩りは楽しみにしていたし。

無視して視界に入れないように楽しむわ。



森に入ってすぐに狐、鹿、兎が目に入る。

皆ただその瞳には目当ての獲物しか映っていない。



カッパ!カッパ!カッパッ゙!!


一斉に土を蹴り上げる馬達。


突然の襲撃に逃げ惑う獲物達!


お互いのけたたましい性への執着の戦いが繰り広げされる。


馬を進め、一斉に狩人が風を切った。


ただ風と獲物しか見えない。


楽しい!!


弓矢を片手に内腿で馬をコントロールしながら、上下する場上から動く獲物に照準を当てて弓矢を放す。


獲物に命中。


犬達が獲物のいる場所を教えてくれ、息のある時は一気に絶命させる。苦しませるのは忍びない。


これを繰り返し捕獲した数。


私の獲物は兎十、狐五、鹿二匹。

初心者だからなかなかの成果ではないでしょうか?


狩りは四時間開催され、昼下がりに閉会した。


獲物は帝都に運ばれ、貧民街で切り分けられ手渡すか、神殿で食材になり無償で貧しい者に振る舞わられた。


参加者はそれぞれの邸に帰り夜会の支度をすませて宮殿にやってくる。


夏至祭の夜会は仮面舞踏会の開催。 


皆仮面をつけているけど、相手が誰かはわかっている。でもあえて仮面舞踏会は無礼講。

わかっていてもあえて言わないのがマナー。

しかしその為にこの夜はいろんな事が起こると聞く。

今夜どんな事が起こるか楽しみです。














次回は皇女殿下達のそれぞれが動き出す。

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