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短編集【ヒューマンドラマ・現代】

僕が絵を描くよ ×

作者: ポン酢
掲載日:2022/12/04

「僕が絵を描くよ」


彼女はそう言った。

何なんだよ、怖いよ、コイツ。


こっちが明らかに怯えているのに、お構いなしに彼女は笑った。

ひまわりみたいな笑顔ってこう言うんだろうなと少し思った。




「僕が目になるよ」


スイミーはそう言うんだ。

大きな魚に怯える小魚達に。


陽キャの親切の押し売りだと思った。

岩場でひっそり隠れて暮らしていたのに。


あの小魚達の中には、ほっといてくれと思った奴はいなかったのだろうか?






「僕が絵を描くよ」


彼女はそう言った。

ほっといてよ、別にそんな事、望んでない。


ただここでひっそりと、話を書いていたいんだ。







「僕が、僕が絵を描くから……」


彼女は泣いていた。

何の為に泣いているんだろう?

泣きたいのはこっちだ。


あんたが隠れていたのに引っ張り出そうとするから。

せっかく書いたお話は、ビリビリに破かれてしまった。









「僕が…絵を描くから…」


描かなくていい。

お願いだからほっといてよ。


皆がみんな、隠れてる場所から出たい訳じゃないんだ。








「僕が…一番のファンだから…!!」


彼女は絵を描くからとは言わなかった。

その言葉に顔を上げた。


泣きそうな顔でじっと見ている。

そんなに思い詰めた顔をされなくても話は書くよ。

別にアンタの為じゃない。








「僕が絵を描くよ」


彼女は笑った。

ひまわりみたいに笑った。


結局、やっぱりそれを言うんだね。


わかった、根負けだ。

もう好きに描けばいい。





陽のあたる人の少ない公園の芝生の上、

話を書く横で、彼女は楽しそうに絵を描いていた。



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