第8話 優等生からの勧誘
次の日、降魔は珍しく授業に一日中出席していた。
そのためクラスメイトと様々な教師から物凄い驚かれていたが。
しかしこれには訳がある。
（もしサボっていて再びあいつらに会ったら元も子もない。と言うかこれ以上面倒なことに巻き込まれたくない。面倒なことになるくらいなら授業に参加した方がマシだ）
そう、昨日2人のS rankの生徒に絡まれてしまった。
そのせいで教室に入った瞬間にめちゃくちゃ聞かれることとなった。
「ねぇねぇあの2人とはどう言う関係なの！？」
「と言うか神風くんのことはもうどうでも良いから双葉さんとの関係を教えてほしいな！？」
「もしかして2人は付き合ってるの！？」
「それとも幼馴染か何か！？」
「でも双葉ちゃんのあの反応見たら絶対気があるでしょ！」
「「「「確かに！！」」」」
女子からは双葉との関係を仕切りに聞かれているが、降魔自身は何故そんなに聞かれるのか分かっていない。
まぁその場にいなかったのだから、双葉の大失態を見ていないのでしょうがないのだが。
「あいつ……もし龍川さんと付き合っていたら絶対に許さん」
「俺も同感だ。もしもそんなことになっていたら……」
「「「「「吊るし上げてやる！！」」」」」
男子は降魔に向かって怨嗟を呟いている。
まあ男としては可愛い彼女を持っている奴は許せないんだろう。
主に彼女のできたことのない男子は。
勿論それを理解している降魔は特に気にしない。
（まぁ流石に少し物騒ではないかと思うけど）
相変わらず男子の嫉妬は肉体的に危険だな、と思う降魔だったがそれよりも女子が鬱陶しかった。
（それにしてもいつも貶してくる俺に急にここまで来られると逆に俺が避けてしまうじゃないか）
今まで人とほとんど関わっていなかった降魔はこんなに詰め寄られることなど経験になく、見た目に反してかなりテンパっていた。
更にそんな降魔に追い討ちをかける様に最悪な事態が発生してしまった。
それは再び合同の召喚魔術の授業の時。
降魔はいつも通り1人で練習していたが、今回は居心地が悪かった。
何故なら……
「ねぇ、あの落ちこぼれが双葉さんの彼氏？」
「やっぱり双葉さんってダメ男が好きなのかしら？」
「さぁ？ でも案外ありそうよね」
「完璧な人間ほどダメ人間が珍しく見えるのかしらね」
（おい、何で俺はダメ男認定されてんだよ。これでも召喚魔術以外は優秀なんだぞ。勿論生活力も）
降魔は心の中で反論するが誰にも聞こえているはずもないので意味はない。
しかしそんな心の声を代弁する輩が現れた。
しかしそれは今最も降魔が会いたくない相手であるが。
「貴方達は彼がどうして落ちこぼれと思っているの？」
「正直なところお前らよりも此奴は何倍も強ぇぞ？」
そう言って降魔の近くに来たのは昨日も会った双葉と炎児だ。
そのせいで降魔は自身の顔が過去一引き攣っていることを自覚した。
（何でよりにもよって此奴らが来るんだよ……これ以上俺に構ってほしくないんだが……）
「そ、それで神風と龍川は何の用だ？」
降魔は何を言われるのか緊張しながら聞く。
もし昨日のことであればまずい。
降魔には後ろ盾などないのに対し、2人は名家と言う強大な後ろ盾がある。
そんな2人に何かされればこちらは吹けば飛ばされる家の如く人生が詰んでしまうだろう。
しかし双葉の口から出たのは全く予想外な言葉だった。
「ねぇ八条降魔、私が召喚魔術を発動するのを手伝おうと思うのだけどどうかしら？」
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