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幕問 10年前の優等生

 名家――龍川家は、代々ドラゴンや龍などの召喚獣を使役している強力な一族だ。 

 しかし名家でのその地位は決して高くない。

 良くて中の上程でしかなく、一族は不満に思っていると同時に納得もしていた。

 

 ドラゴンや龍は一番弱いものでも上級に分類される。

 しかし強いがゆえに一番弱いものでも契約するのが困難な生き物でもあり、更にプライドが非常に高く、誰かの下につくのを嫌がるため尚の事契約が難しくなっていた。

 そのため龍川家では最上級以上の個体と契約することができなかったのだ。

 しかし龍川家よりも上位の他家では必ず1人は超級召喚獣と契約していたため、どうしても成り上がることが出来なかった。


 そんな龍川家に1人の神童が生まれてきた。

 それが龍川双葉である。


 双葉は生まれてすぐの頃に適合率検査を受け、どちらも適合率100%という結果だった。

 その結果に龍川家とその分家は大喜び。

 なぜなら日本で初めての両種100%だったからだ。


 適合率がどちらも100%の人間は今の所世界に5人しかいない。

 そしてその全員がSSS級召喚術士で、噂では超級召喚獣を2体や3体も契約していると聞く。

 そして彼らには二つ名に『王』をつけることが許されている。


 アメリカの《破壊王》と《回復王》、ロシアの《氷結王》、中国の《武王》、イギリスの《魔術王》は、世界でも絶対に手を出してはいけない相手とされており、その強さはSS級召喚術士の数十倍にもなると言われている。

 そんな化け物たちと同じ才能を生まれ持った双葉は幼い頃から様々な訓練を課されていた。

 死なないための護身術やマナの扱いに始まり、簡単な魔術の使用などが主だった。

 

 そのため僅か5歳ながら3つの魔術を行使できるようになっていた。

 勿論才能あるものでも1つが限界なのだから、双葉は異例の快挙と言えるだろう。


 そしていよいよ召喚魔術を使用することが決まる。

 世界有数の才能を一目見ようと様々な名家の当主などが出席することとなり、注目度は大きく上がった。

 様々な人から『頑張ってね』『期待しているよ』と言われ、全身を観察された双葉は、子供ながらに、


(このめキライ……。この人たち……ふたばに何かしようとしているのかな……? ふたばは、まじゅつよりもぱぱとままとあそびたいなぁ……)


 自分が値踏みされていることに気づいていた。

 なぜなら物心ついたときから両親以外にこの目を常に向けられていたからである。

 そのためもう家に帰りたくなっていたが、両親に『大丈夫。何があっても大丈夫だからな』『いつも通りにやれば上手くいくわ。私達も見ているからね』と言われたことを思い出して帰りたい気持ちを抑えていた。


『うまく行ったらぱぱとままが褒めてくれる』


 その一心で双葉は何十人に見られるという大人でも萎縮してしまいそうな場所に立つ。

 震える手でこの前買って貰った専用魔導バングルを腕に嵌める。

 そして双葉に笑顔で手を振っている両親を見て双葉も自然と笑顔になった。


(ままとぱぱもみにきてる……。ふたばががんばればみんなしあわせっ!)


 いつも通りに、いやそれよりも更に上手く魔術を行使する。


「《われ、けいやくをねがうもの。わが召喚にこたえたまえ———》【召喚(サモンクリーチャー)】」


 魔術式が光る。

 その光は会場内の何も見えなくなってしまうほどに眩しく輝いていた。

 その光の中で双葉は目を開ける事ができた。

 そして目の前にいる一匹の龍に目を輝かせて話しかける。


「ねぇねぇ、あなたはふたばがよんだのにきてくれたの!?」

『……うむ、私は其方の呼びかけに応じて来たのだ』

「そなた……?」


 双葉は聞いたことのない言葉に首を傾げる。

 そんな双葉に龍は優しい声色で言う。 


『双葉——君のことだ』


 双葉は召喚が成功したことに今更ながらに喜び出す。

 

「そうなのっ!? やった! せいこうしたよ、まま、ぱぱっ!! あっ、そうだった! ふたばはあなたにけいやく? をしてほしいのっ!」

 

 双葉は『にぱぁ!』と笑顔で言う。

 すると龍は突然小さくなり、双葉と同じくらいの大きさになった。


「うわぁ……! すごいね、りゅうさん! ちいちゃくなった!」

『これくらい私なら余裕だよ。それと……双葉』

「んー? なーにー?』

『君は私と本当に契約がしたいのかい?』


 龍は目を光らせて言う。

 

「うん! だってりゅうさんちいさくなったもん! もっといろんなことができるんでしょ!? ならいっしょにいたほうがたのしい!」


 双葉は邪気のない純粋な笑顔を浮かべて言うと龍は突然笑い出した。


『ははは! そうか! よし、なら私と契約しよう。丁度最近暇だったのだ』


「うん!《われ、けいやくをのぞむもの。なはたつかわふたば》」

『《我、名を竜神と言う。双葉、君との契約を承諾しよう》』


 そう言ってお互いの魂に契約がなされた。

 双葉は早速竜神にあれこれと質問する。


「りゅうじんさんはとうきゅう? はなんなの?」

『多分———』



 そこで双葉は目を覚ました。





~~~~~






 双葉はベッドから起き上がり時計を見ると午前2時過ぎだった。

 月の輝いている夜空を見ながら胸に手を当てポツリと溢す。


「———いつか必ずもう1度召喚するからね」


 10年前に一度だけ召喚し、初めて契約した召喚獣に思いを馳せながら———


これにて第1章は完結です。

次回から第2章に入ります。

次章もよろしくお願いします!


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ではではまた次話で。

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