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第1話 劣等生と魔術授業(もはや説明回)

 そんな世界でも有名な学園都市の劣等生である降魔は、SからA、B、CとZまである組の1年Z組と言う、学年の底辺クラスの所属である。

 そしてこのクラスは底辺にふさわしい、主に適合率が20%から30%未満の生徒が配属されており、この中でも降魔は圧倒的に才能がない事になっていた。


 更に降魔は留年をしているため、このクラスの全員よりも年上と言うこともあり、6月になった今では既に孤立状態。

 しかしそれを教師は改善しようとはしない。

 というよりも降魔が改善しようとするのを止めていると言ったほうがいいだろう。

 降魔は常に他人と距離を置いて生活しており、精神的にも物理的にも本当に孤立していた。


 現在の降魔の席は、一番端の後ろの席だ。

 これは降魔が望んだ席で、3年間一度も変わっていない。

 残念なことにクラスが4年間ずっと同じなため、最早ここは降魔の特等席と言っても過言ではなくなってきている。

 

 そんな特等席に座った降魔は現在授業をすべて聞き流してボーッとしていた。

 黒板どころか教室も全く視野に入れず、外の景色ばかり見ている。


(はぁ、早く授業終わらねぇかなぁ……。もう全て頭に入っているし、何よりこの授業受けるの4回目だし。……しくじった……まさか授業が始まるまで爆睡してしまっていたとは……)


 降魔は留年3年目なので、全く同じ授業を4回も受けている。

 そしてしっかり勉強しているため全く聞く必要がないのだ。

 なので降魔は殆どの授業をサボっているのだが、流石のサボり魔も授業の途中に抜けようとするほどメンタルが強くはない。

 なので授業を受けている降魔を見て教師は———


(な、なんだと……ッ!? あのサボり魔が授業に出ているだと———ッ!? これは天変地異が起きるのではないか……!?)


 目が飛び出そうになるほど驚いていた。

 本当はただ抜け出せなかっただけで、自らが進んで受けているわけではないが。

 

 現在の授業は魔術の種類についてだ。

 一般的に魔術は2種類ほどしかない、と言うことになっているが、実際にはまぁまぁの種類がある。


 まず最も有名な《召喚魔術》。

 この魔術は召喚術士にとっては生命線の様なものだ。

 実際にこの魔術がなければ、中位のモンスターに殆どの魔術士が殺されてしまうだろう。

 そのため最も知名度が高く、名称が召喚術士になる程メジャーな魔術だ。


 次に有名なのが《身体強化魔術》。

 この魔術は、自身の身体能力を強化してくれるというシンプルな魔術だ。

 しかしシンプルだが扱いが難しく、マナ操作が安定していない人間がすると、下手すれば死んでしまう。

 その理由は、この魔術の原理を考えればわかる。

 この魔術はマナの物質の性能上昇の原理を利用して、肉体の性能を上げているのだ。

 その為過度な強化は、内側から肉体を破壊してしまう。

 それを阻止する為にはマナを制御する力が必要になってくる。

 しかし魔導バングルがある程度補助してくれるので最近はこの魔術による被害はほぼゼロになったのだが、未だ年に1、2件ほど被害が起きていて注意が必要だ。


 今挙げたこの2つが主に召喚術士以外の一般人が知っている魔術だ。

 その他は《飛翔魔術》や《探知魔術》などがあるが、これらは世間一般的に知られていないとされている。

 だが飛翔魔術は、案外殆どの召喚術士が使っているので、見たという人も多く殆どの人に知られているが。

 

 この4つが召喚魔術士が主に使用する魔術で、量産型の魔導バングルにも搭載させている。

 そして魔術を説明する上で、魔導バングルなしでは語れないと言えるだろう。


 まず前提として、人類にはマナを取り込んだり溜めたりすることができない。

 更に人類にはマナを肉眼で見ることは一部の特殊なマナ以外できない。

 マナを操作するなんてそもそも不可能。

 これは突然現れたマナに、人類が完全に適合できていないからだと言われている。諸説あるが。


 因みに適合率とは、身体にマナを流した時の拒絶反応の少なさを示している。

 なので100%に近いほどマナの流れがスムーズになり、肉体への負荷が減り、効果を受けやすくなるのだ。

 適合率が10%未満の人間は、マナを体に流した瞬間に、細胞が強化に耐えきれず壊死してしまい、良くて一部の麻痺、最悪死に至る危険性があるので、召喚魔術士にはなれないことになっている。

 このように召喚魔術士になるには様々な問題があるのだ。


 しかしそんな問題を解決したのが魔導バングルだ。

 

 魔導バングルは大気中のマナを取り込み、マナを溜めることのできない人類の代わりにマナを取り込み、溜めておいてくれる。

 そして先ほども説明した通り、魔導バングルには召喚魔術、身体強化魔術、飛翔魔術、探知魔術のマナ術式が標準装備されており、その魔術を発動するにあたってのマナ量も自動で計測しマナ操作の補助もしてくれる為、術士にとって必要不可欠な代物だ。

 因みに、マナ術式は魔術を発動させるのに必要で、1つ1つの魔術によって違う。

 なのでマナ術式は、人間で言うところの所謂DNAや遺伝子みたいなもので、魔術の現象を変える役割を持っている———


(———と言うのが魔術の基本だろ? 正直聞き飽きたよまったく……まぁ留年する俺が悪いわけだが)


 降魔はつまらなそうに顔を顰めると、再び窓の外の青空を見上げる。

 こんな教師を舐め腐ったような態度をしているが、座学の成績学年一位の名は伊達じゃない。

 知識量だけで言えば、降魔はこの学園でも1、2位を競えるほどだろう。

 

 そのため教師はその態度を黙認しているのだ。

 しかし教師の心の内はと言うと———


(八条降魔……ッ!! またあんな態度で授業を受けるとは———ッ!! 何か罰を与えてやりたいが、いくら当てても全て完璧に答えられるからなぁ。このクラスの担任の栗原先生に言うか? 話したことないけれども。これなら授業を受けて貰わないで早く進級してくれた方が俺は助かるのだが……。本当に、ああ言う奴にこそ才能があればな……将来は安泰なんだが……)


 始めは怒っているのかと思ったら途中からは不貞腐れ担任に報告するかと悩み、最後には嘆いていると言う情緒不安定な状態だった。

 

 しかしそんな事など知りもしない降魔は現在夢の国へと旅立っている。

 その気持ちよさそうに寝ている降魔を見て、再びキレそうになる教師だったが、何かを言う前に授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。

 教師はため息をつくと自身の教科書を閉じた。


「それじゃあこれで授業を終わる。次は召喚魔術の授業のため、第1練習場に集合するように」


 教師———朝倉悟(あさくらさとる)は、それだけ言うとクラスを出ていった。

 生徒たちは教師である朝倉が出ていったと共に、友達と話し始める。

 

 降魔は一気に五月蝿くなった教室を見渡した後、相変わらずうるさい奴らだと小さく舌打ちをして、先程のやる気の無い光の宿らぬ目とは裏腹に、目に光を宿しながら第1練習場へと向かい出した。


読者の皆様へ


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ではではまた次話で。

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