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白いお面の集団

今年最後の投稿となります。皆さん、良いお年を~!

ブックマーク・コメント・評価・いいねありがとうございます。

頑張りま~す。




 白いお面をつけ、汚れたマントのフードを被った集団が現れた為、冒険者ギルド内は騒然とする。


「おおっ! 何だ? よそ者か?」


「背丈からして亜人じゃないか? ほっとけ! 下手に手を出すと痛い目にあうぞ!」


「はんっ! 亜人ごときに偉そうにされて、たまるかってんだ! 見てろよ!」


 後ろのテーブルで話していた酔っぱいの一人が立ち上がり、その集団の方に向かって行く。 


「ねえねえ、みんな! あのお面の集団の足元にいる猫って!」


 どうやらミリスも気が付いたようだ。


「ああ、あんな毛色の猫は他にいないだろうし……という事はあの集団は……」


 多分、ケイさま本人、もしくはその知り合いのパーティーだろう。


「どうするんだ? 助けに行くのか?」


 エドの質問にアルクはしばらく考える。


「いや、もう少し様子をみよう! 本当にケイさまかまだ分からないしな」


 本当はケイさまの実力をもう少し見たいというのが本音だ。


「おい! お前ら偉そうにおかしな恰好しやがって! 亜人ごときが人間様の国で調子に乗るなよ!」


 酔っ払いがその前の集団の前に立ちふさがり、大声でわめきはじめた。


「えっ? この国も亜人の差別とかあるんだ……」


 その先頭の人物は大声をあげている酔っ払いよりも、むしろ亜人差別のほうに驚いているようだった。


「ごちゃごちゃうるせんだよ!」


 酔っ払いが掴みかかろうとした瞬間、男の体が宙を舞い、いつの間にかうつ伏せにされ腕を極められて組み伏せられていた。


「て、てめえ、はなしやがれ! おい! お前ら助けろ!」


 しかし、その声に反応する者はいなかった。


「え~と……お仲間は来ないみたいですよ! そもそも私たちは亜人じゃないですし、依頼の達成を報告に来ただけです。誰が悪いかは一目瞭然ですよね?」


 その人物はそう言いながら、酔っ払いの武器を取り上げていく。


「て、てめえ……」


「はなしてすぐに斬りかかられたら嫌だし、こちらとしても人をむやみに殺したくないですし……意味はわかりますよね?」


 その意味は自分に武器を向けた相手は殺すという忠告であり、その場にいて理解できた冒険者たちは息をのんだ。しかし、その酔っ払いの男は理解しているとは到底、思えなかった。


「あなたたち! 冒険者ギルド内での戦闘は厳罰ですよ」


 そこにかなり遅れてギルド職員が警備兵を連れてあらわれ、男の解放を求める。仮面の人物は男を解放したが、武器を構えた警備兵に囲まれ武器を渡すようにも要求される。仮面の人物は酔っ払いの武器は素直に渡したものの、自分の武器は頑として渡そうとはしなかった。このままでは大事になりかねないと思い、仕方なく介入にする事にする。


「ちょっといいかい? 一部始終を見ていたが、確かにその仮面の人は何一つ悪くないぞ。その酔っ払いが絡んで返り討ちにされただけだ」


「ア、アルクさん! それは本当ですか?」


 ギルド職員に今、起きたことを包み隠さず伝えると、確認の為と言いつつ他の冒険者からも目撃した情報を集めだした。結局、答えた全員がアルクと同じ証言をしたことから、ケイさまの容疑ははれる事となった。


「それではこの酔っ払いを、地下の牢屋に入れておいて下さい」


 ギルド職員の指示に従い、警備兵は男を拘束して連れて行く。


「あなたの疑いは晴れましたが、これからも冒険者ギルドで上手くやって行きたいなら、あなたの態度は改める必要があると思いますよ」


「…………」


「それと…………後程、あの酔っ払いの持ち物から迷惑料が支払われます。持ち金で足りなければ装備などで支払われますので、受け取って帰って下さい」


 答えないケイさまにそう告げて頭を下げた後、ギルド職員は戻って行った。


「ありがとうございます。助かりました。アルクさんたちもギルドに来ていたんですね!」


「やっぱり、あなたでしたか! まあ、どちらかと言うと、ギルド職員を助けたと言った方が正しいかもしれません。あなたに何かあればギルド職員が総入れ替えになんて事態もあるかもしれませんし……それでその格好は……?」


「新しくパーティーを作ったので、冒険者活動をする時は見た目で舐められないようにと思いまして……かえって悪目立ちしてしまったみたいですが……」


「ほ~それで、その面を……」


 どうやらその面は白い狐を模したもので、パーティーの名前の『白狐』にちなんでいるらしい。


「そういえば、アルクさんたちのパーティーの名前って聞きましたっけ?」


「言ってませんでしたか? 私たちのパーティーは『聖なる盾』といいます」


「なるほど、おぼえておきますね」


 一応、後ろに並んでいるメンバーを紹介されたが、若干お面のデザインが違うものの服装もお揃いなので見分けるのは至難の業だ。四人とも子供のような体格だが、あんな騒ぎにも微動だにしなかったし、ケイさまがメンバーにするぐらいだから、見た目に似合わぬ実力者なのだろう。しばらく、世間話をした後、ケイさまは依頼料と迷惑料を受け取ると仲間と共にギルドを後にした。それからほどなくして、厨房から大きな声が聞こえてきた。


「お~い! おまえら今日は飲み放題、食べ放題だ! さっきのお面の野郎が証言のお礼だって金貨を置いて行ってくれたぞ! 好きなだけ食って飲め~!」


 厨房のおやじのその言葉にギルド内は大きな歓声につつまれた。


「明日の依頼は早朝からだけど、これは飲むしかないな!」


 そんな声もあちらこちらから聞こえた。

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