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私が聖女? いいえ、そもそも男です。  作者: 東雲うるま


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イメージは焼き鳥の屋台

 

 神父さまとシスターに凄い勢いで勧められたので、商人の来る日まで教会にお世話になる事になった。一度部屋に案内してくれるらしいので、荷物を置くことにする。アンもついて来ようとしたので、すぐ戻ってくるから待つように伝えると、先程とは違いすんなり頷いて子供たちの輪に戻っていった。


 部屋に案内されると、ベッドと机と椅子があるだけの質素な部屋だが結構広い。貴族などの身分の高い人用らしい。普通の部屋で構わないと言っても、シスターリリーは頑として譲らなかったので、この部屋に泊めて貰うことにした。


 荷物を整理すると伝え先に戻ってもらい、帽子とマントは脱いで机の上に置き、杖は立て掛けておくことにする。シスターが行ったのを確認すると、【秘密の部屋】を出した。部屋の中に入り塩漬けにしておいた鹿肉を確認する。よく考えたら料理のスキルで時間をかけなくてもできたな。確か浸漬ってあったし、次の機会があったら使ってみよう。


 その鹿肉を水魔法で少し洗い塩抜きした後、適当な大きさにナイフで切り分け、料理スキルの乾燥、熟成、保存を使う。あっという間に何枚もの干し肉の出来上がりである。余った分は後でまた干し肉にしよう。他にも試したい料理スキルがあるが、材料がないのでやはり物々交換をしてもらうのがいいだろう。売れるなら肉を売って、そのお金で買うのでもいいが。そう考えながら木で作った布で、干し肉を包みカバンに入れる。


 鹿の塩漬けしてない部分もまだまだあるし、カバンの中にもまだ残っている。狼の肉は食べたくないので早めに処分したい。神父さまに行商人は、どうやって商売してるか聞かなきゃな。狼の肉をカバンに入るだけ入れて、木のブロックを数個持って外に出る。さて子供たちに手伝ってくれたご褒美をあげよう。


 神父さまたちのいる部屋に戻ると、子供たちが『それなーに?』と群がってきたので、木のブロックを渡してテーブルに持って行ってもらう。


「神父さま、行商人の方たちはどのように、商売をしているのでしょうか?」


 どうやら角笛を吹くとそれが合図になり、教会の前の広場に行商人に用がある人が集まってくるそうだ。今回は特別に教会の鐘を鳴らして集めてくれるらしい。そこでひらめく。


「広場で火は使っても平気ですか?」


 そう聞いた所、何をするか聞かれたので屋台を開きたいと告げた。過去にはいないが禁止されてはいないそうなので、火の後始末だけちゃんとすれば大丈夫だそうだ。そう言うと神父さまとシスターは、鐘を鳴らしに行ってくれた。


 急いで準備に取り掛かり、子供たちに木のブロックを持ってきてもらう。その間に土魔法で石を集め、木炭を入れて焼く為の横長の箱を作る。奥行きは串がおけるサイズで、イメージは焼き鳥の屋台である。


「魔女さま~! 持ってきたよ!」


「ありがとう! そこに置いてくれる?」


 雰囲気作りでムニャムニャ適当に唱えテーブルを作る。ブロックがいくつか混ざり合い、球体になってからテーブルになるのを見てみんなが叫ぶ!


「きゃーーっ!」「すげぇ~!」「魔法だ~!」


 みんなが尊敬のまなざしで見てくるのを尻目に、すました顔で準備を進めていく。先ほど作った石の箱に木炭をいれて魔法で火をつける。また、みんなのいい反応が返ってくる。気持ち良くなりながら干し肉を一口大に切り、木で作った串に刺していく。


 箱のサイズはちょうど良く串が落ちずに収まったので、刺し終わった串から木炭の上に並べていく。その時、教会の鐘が鳴り響く。


――ガゴーン! ガゴーン! ガゴーン!


 想像と違ったが、鳴らしてくれたようだ。人が来る前に商品を並べておこう。鹿の肉、狼の肉、干し肉をテーブルの上に並べる。後は量によって切り分けていけば良いだろう。料理スキルのおかげか、ひっくり返すタイミングが絶妙である。いい匂いが辺りに広がる。


「いい匂い」「いいな~」「美味しいのかな?」


 『食べたことないから分からない』とか、悲しい会話が聞こえてくる。


「これはみんなの為に、焼いてるから待っててね。もう少しで焼けるから!」


 「「「「「「やった~!」」」」」」


 『初めて肉が食べれる~』とか聞こえる。やめてくれ泣くぞ!


「ちょっと待って! みんな手を見せて! ――うわ! 汚いな!」


 全員に手を出させて浄化をかけて、綺麗になったのを確認する。


「汚い手で食べるとお腹をこわすから、出来るだけきれいな手で食べるんだよ!」


 そう言うと子供たちに一串ずつ渡していく。


「熱いから気を付けて!」


 そんな言葉気にせずに、一斉に子供たちが肉にかぶりつく!

 

「ハフハフ! おいひ~」「ハフハフ! うんめ~!」「ハフハフ……」


 反応は様々だが好評のようだ。みんな夢中で食べている。そこに神父さまたちが帰ってきた。


「みんな、ちゃんと噛んで食べるんだよ! 神父さまたちも味見に一本いかがですか?」


 シスターは食べないそうなので神父さまにだけ渡す。


「これは、なんと! こんな美味しい肉は初めてです! それに柔らかい! これなら年寄りたちも食べやすそうですな!」


 急にテンションが上がった神父さまに驚いたが、干し肉の方が売れるのかな? 加工の手間もあるし、塩も安くはないだろうから……ん~値段によるか。でもこれって、オレが凄いんじゃなくて御使い様に頂いた塩が凄いんじゃないか?


 「おおっ! いい匂いだな~! 神父さま! 鐘が鳴りましたが何かありましたか?」


 その声に振り返ると、村の人たちがチラホラ集まって来ていた。

 


 





 

お話が進みません。そうです! 亀なんです。

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