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私が聖女? いいえ、そもそも男です。  作者: 東雲うるま


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ゴブリンたちの試練


 死の大地を出発して村への帰り道を順調に進んでいく。このペースなら真っ暗になる前には着けそうだ。ゴブリンたちは一人が荷物を載せたリアカーを引いて、さらに左右にも一人ずつ付いて丁寧に運んでくれている。そしてオレの隣を歩いている槍を持ったゴブリンが、話からすると実質のナンバー2のようだ。


「しかし、このリアカーというものは素晴らしいですね! 重い荷物を運ぶのがこんなに楽になるとは!」


「正確にはリアカーではないのかな? 本当は金属のパイプで作って軽量化するからまだまだ改善点がいっぱいあるし! タイヤとかも付けたいし、そうだ! ゴムの木って知ってる?」


 ゴムがあれば出来る事も増えそうなので、木の特徴を浅い知識で説明してみたが知らないようだ。


「白い樹液が出る木ですね! 見つけ次第ご報告いたします」


「そこまで急いでいないから無理に探さなくていいよ。それより金属加工が得意なんだから、ゴブリンさんたちもリアカーを作れるんじゃないかな? 全部が木だとやっぱり重いからね。パイプで骨組みを作れば大分軽くなると思うよ」


「ケイ様! 申し訳ございません。パイプというものはどんなものでしょうか?」


「ああ! そうか! こんな感じで金属の中を空洞にすると軽くなるでしょ!」


 その辺の低木で見本を作って説明する。


「これを金属で作るのですか?」


 ゴブリンは木で出来たパイプをみてうなっている。確かに魔法なしで作れと言われたら、どうやって作るかわからないかも……。


「ゴ、ゴブリンさんたちの能力ならすぐとはいかなくても、そのうち作れるようになるよ! 頑張って!」


 励ますとみせかけて誤魔化しておく。


「どうやら我々は作れない物などないと慢心していたようです。ケイ様から与えられたこの試練を一丸となって必ず乗り越えて見せます」


「あ、うん! き、期待してるね!」


 試練って……提案しただけなんだけど……。




 ♦ ♦ ♦ ♦




 ゴブリンと話をしながらも一応探索魔法で警戒しながら進んでいると、子供たちに送ってもらった場所の辺りに反応がある事に気づく。


「子供たちが迎えに来てくれたみたい! 荷物はここまででいいよ! ありがとう!」


「いえ! 目的地までお運びいたします!」


「人間と会って平気なの?」 


「では、これでどうでしょうか?」


 ゴブリンたちの体が光ると人間の子供に姿がかわった。


「おお~っ! 凄い! 変身だ~って、そうじゃなくて、見た目がどうこうではなくて、関わることでみんなに不利益が生じるなら、無理に運ばなくてもいいよって事なんだけど」


「たしかに教会の人間に正体がバレると討伐隊を送られるかもしれませんが――」「――じゃあ、駄目だよ! 荷物は地面に置いていいから帰って!」


「し、しかし――」「――ダ~~メッ! 帰って! オレのせいでみんなに何かあったら嫌だから」


 そう言うとゴブリンたちは渋々荷物を地面に置き始めた。


「鋼はどちらまでお持ちしましょう?」


「無理に今日じゃなくてもいいかもね! 明日の朝にまた行くよ! みんなも色々あったんだから、今夜はお肉をいっぱい食べてゆっくりしなよ!」


 何か言いたげなゴブリンたちを無理やり帰らせて、見えなくなるのを確認すると荷物を【秘密の部屋】にしまう。


「子供たちを待たせたら可哀想か……」


 一息つきたいところだが外に出て子供たちの所に向かう。オレの姿を見つけると子供たちが走って来た。


「「「魔女さま~!」」」


 それに手を振り、知らなかったふりをして驚いて見せる。


「わぁ~~っ! みんな迎えに来てくれたんだね! ありがと~!」


 抱きついてきたアンと周りに集まってきた子供たちの頭をポンポンする! 


「魔女さま! 面白かった?」


「ん~~面白かったかな? 色んな意味で!」

 

「あのね~村の人みんな来るって~」「みんなで言いにいったんだよね~」「ね~!」

 

「みんな来るって? すごいね! みんなありがとう! じゃあ用意しなきゃね! 少し急ぐよ~!」

 

 足の遅い子に合わせながら、みんなで手をつないで教会に走って帰った。


 


 ♦ ♦ ♦ ♦


 


「ただ今、戻りました」


「ケイ様! ご無事で安心しました」


 神父さまたちにあいさつをして、一旦部屋に戻ろうとすると神父さまに引き止められる。やはり留守の間にロイが家令を連れて来たらしい。そうだった~! 色々ありすぎてすっかり忘れてた。


「神父さまも忙しいのにすみませんでした。何か言っていましたか?」


「いえいえ! 問題ありません。戻る頃にまた来るとだけおっしゃっていました」


「そうですか……わかりました! ありがとうがざいます」


 話が終わったのを見てシスターが手伝いを申し出てくれた。


「ケイ様、今日も何かお売りになるのでしたら、お手伝いいたしますが?」


「あっ! お願いしたいです。その売る肉なんですが、お二人ともちょっといいですか?」


 子供たちから離れた場所に二人を呼んでオークの話をする。

 

「オークが森に出たのですか? 領主さまにお伝えして討伐隊を手配しなくては」


「違います、違います! 神父さま、もう大丈夫です! オークはもう倒しました。その肉って村のみなさんは食べるのか、お聞きしたかったんですが……」

 

「「なっ!」」


 またしても二人は口を開けたまま固まってしまった。

 


 

ロイ:村の代官の息子

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