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私が聖女? いいえ、そもそも男です。  作者: 東雲うるま


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シンクの報告

 

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ありがとうございます。


 次話はすでに書き始めているので、少々、お待ちを~。


 翌朝、ニャンニャンの話を聞きながら朝食を一緒に食べていると、突然シンクから念話が入る。


「あっ! ニャンニャン! ちょっと待って! シンクから念話がはいった。うん、うん、ご苦労様! ニャンニャンとみんなが合流したら交代して休んで! え? うん! わかった。じゃあ、部屋で待ってる。うん、は~い」


 どうやら直接、会って報告したい事があるらしい。


「こんな朝から何だと言うのです?」


「う~ん、何か直接、話したい事があるみたいだね。だから、今からここに来るって」


 それを聞いて不満げなニャンニャンに、ちゃんと仲良くするように言い含めておく。余程、獣と言われたのが気に食わなかったのだろう。シンクにも二度と言わないように言っておかないとな……。その後、ちょうど朝食を食べ終わったぐらいに部屋の扉がノックされ、扉を開けるとそこには知らないメイドが立っていた。


「おはようございます! 朝、早い時間に申し訳ありません。シンクでございます」


「えっ! あっ! うん! どうぞ! 中に入って! みんなの警護、お疲れさま。ありがとね!」


 窓とかからダイナミックに来るのかと思ってたけど、普通に廊下から来たのか……。


「とんでもありません! では失礼いたします! リーダーもおはようございます!」


「にゃっ! お、おはようなのです! ご、護衛、ご苦労だったのです」


 喧嘩腰を想定していたニャンニャンも、肩すかしを食らい調子が狂ったのか労いの言葉をかけていた。


「それでは報告の前に失礼致します!」


 そう言って元の姿に戻ったシンクが指を鳴らすと、部屋の壁を魔力の膜が覆っていく。


「これで聞かれることはないでしょう。それではご報告を……」


 どうやら今の魔法は外に音が漏れないようにしたようだ。その後、報告を受け言葉を失う。そりゃ、誰にも聞かれないようにする訳だ! なんとシンクはジュリアたちにスリを働こうとした犯罪組織の拠点を潰してきたのだという。


「マジで……」


「それでですね! その拠点から回収してきた物があるのですが、お運びするのはこちらでよろしいですか?」


「えっ? う……うん」


 よく分からないけど返事しちゃった。


「では、ゲート! インプ! 荷物をここに」


 シンクがそう言うと空中に突如、入り口が現れ、そこから赤ちゃんサイズの黒い人型の生き物が出てきたかと思うと、大きな木箱が次々と運びこまれ山積みにされていく。見た目、こわっ! そして、荷物を運び終えたその黒い生き物にシンクは四人の警護に向かわせる。


「……あれって大丈夫なの? インプ? って言ってたっけ?」


「はい! このシンクが召喚した使い魔ですので、何ら問題ございません」


「な、なるほど……そ、それで、そこの拠点にいたって奴らはどうしたんだ?」


「はい、幹部はもちろん、拠点にいた者たちは一人残らず排除いたしました!」


 うわ~っ! 殺っちゃってるよ……。【契約】としてはオレの仲間や知り合いに危害を与えないだったから、契約は守ってはいるけど……。


「そいつらの行いは死に値したって事?」


「もちろんです。ケイさまの所有物に手を出したのです。万死に値します」


 マジか~、何かニャンニャンも頷いているし……。


「所有物じゃなくて仲間ね…………でもスリでしょ? 何も殺さなくても……」


「いいえ、スリだけと済ませてはなりません。奴らの拠点の地下には何人もの人族のメスが監禁され、死体も複数ありました。一つ間違えばその餌食になってしまったかもしれません。それにどの道、人族の法においても奴らは極刑は免れないでしょう」


「えっ…………(そうなの)? そ、それじゃ、その監禁されていた人たちは?」


「拠点を焼き払う前に逃がしました」


 うっ……ちゃんと良い事もしているし、オレの考え方のほうがこの世界においてはズレているのかもと思い始めてきた。そしてそれを裏付けるように、あんなに仲が悪かったニャンニャンでさえも、今回に関してはどちらかというとシンク擁護派のようだ。えっ? オレがおかしいの? でも二人とも妖精だし……。誰か人間の人~! 意見プリーズ!


 でも、よくよく考えるとシンクの言葉は正しいとも感じる。いわゆる割れ窓理論ってやつで、小さな犯罪や不正を見逃し放置してしまっていると、小さな犯罪がより多く起こりやすくなり、それに比例して大きな犯罪や不正も起こりやすくなってしまう的な話を聞いた事があった気がする。でも、だからってスリで殺すのは……。やはりその点は気になったので、今後は極悪人以外は殺さないようにという事を伝えた。そのジャッジがむずかしい時には殺す前に聞けとも。


「もちろん、その点はケイさまの心情を考慮して、人族の法において極刑になる者しか処分しておりません。後の者に関しては眠らせるか逃がしております。ご安心ください」


 ……これは本当にご安心していいのか? 





 ◆ ◆ ◆ ◆





 その後、今後の四人の警護や、隣の貴族の犯行の証拠集めの話を少しながら、シンクが回収してきたという木箱の中身をみんなで確認してみる事にする。開けてみると金貨やその他の硬貨、そして装備など金目の物が山程入っていた。しかし、他にも麻薬や毒、偽造された金貨、解錠用の道具と思われるものなど犯罪に関わっていそうな物も多数入っていた。


「さすがに麻薬とかは持っていたくないかな。見つかったらやばいでしょ!」


「そういうことでしたら、このシンクが有効に使わせていただきます」


「えっ! 使うの? やめときなよ」


「いえ、ケイさまの邪魔をする者を、表社会から消す時にでも使わせていただくという意味です」 


「…………そういう事か……。ま、まあ、その時は使う前に聞いてくれ……」


「かしこまりました」


 何か忠誠心が暴走しそうで嫌な予感しかしないんだが……。


「え~と…………これは何だろう?」


 変な空気を変える為に、長すぎて箱から飛び出ていた棒を引っ張り出して話題を変える。見た目は長い木の棒の先に金属のフックが付いていて、何かの映像で釣ったマグロなどの大物を、フックで引っ掛けて引き上げる時に使っていたのを見た気がする。


「それは多分、高い位置に干してある衣類を盗むために、壊れた槍を改良したものでしょう」


 これも盗むためかよ……。確かに服は中古でも結構、高く売れるらしいけど、努力の方向性がどうしてもそっちにいっちゃうんだな……。まともな働き口が足りてないのかな?


 そんな感じで色々考えさせられながら箱の中身を見ていき、いる物といらない物を仕分けして、いらない物はシンクに引き取ってもらう。


「それではこちらは私が処分しておきます」


 そう言ってシンクは腰にぶら下げていた袋を手に取り、木箱をしまっていく。


「えっ? マジックバッグ、もう一つ持ってたの? それとも作れるの?」


 どうやらそれは、隠れ家に置いておいた予備のマジックバッグだったようだ。隠れ家は森の奥にあり、隠蔽を見抜けなければたどり着けない場所にあるらしい。作れるんだったらニャンニャンに教えてほしかったんだけどな……。いや、二人の仲を考えたらオレが習ってニャンニャンに教えたほうがいいのか……。


「あっ! そうだ! ずっと気になってたんだけどインプが出てきた入口は……ゲートだっけ? あれは? え~と魔法? それともスキル?」


「あれは空間魔法が付与された魔導具によるものですが、あまりに消費魔力が大きすぎるので残念ながらわたしの今の魔力量では、ポーションなしでは一日に何度も使えるものではありません。こちらがその魔導具になります!」


 そう言ってそんな貴重なものを簡単に手渡され、おっかなびっくりその腕輪を受け取る。シンクの説明ではゲートは行ったことのある場所にしかつなぐ事はできず、つなげている間は常に魔力を消費するらしい。それに加え、つなげた場所の実際の距離やゲートの大きさでも魔力の消費量は変わるのだそうだ。魔力量はきっと大丈夫だと思う。うわ~欲し~! 多分、頂戴って言えば、渋々ではあるだろうけどくれると思う。言いたい! 言いたいけど、そこはぐっとこらえて笑顔でシンクに『ありがとう』とお礼を言って腕輪を返した。


 



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