星に転生したから『自転』と『公転』を極める
自然が広がり、人工的な明かりのほとんどない場所。
そんなところに1人の少年がいた。
「ああぁ。今日も星がきれいだなぁ」
満天の星空を見上げてつぶやく。
ここは、星好きの少年のお気に入りのスポットだった。
人工の明かりが無いので星がよく見え、観察を誰にも邪魔をされることもない。
キラッ!
「あっ!光った!流れ星だぁぁ!!」
少年は流れ星を見つけた。
急いで目をつぶり、
「星をもっと見れますように!星をもっと見れますように!星をもっと見れますように!」
「ふぅ~。間に合った、かな?」
少年は願いを唱えた。
目を閉じていたので、少年には願いが消えるまでに言えたかどうかは分からなかった。
シュルルルルッッ。
「うん?何?」
少年が空を見上げると、降ってくる何かを見つけた。
かと、思った時にはすでに少年の前にそれはあり、
ゴシュッ!
少年は頭から血を流しながら倒れた。
・・・。
(う、うん?ここは?)
少年は目を覚ました。
いや、目を覚ましたのではないかもしれないし、すでに少年では無いのかもしれない。
なぜなら、
(あ、あれ?目が開かない、、、って、何!?目を開けてないはずなのに景色が見える!?)
(、、、ここは、もしかして、宇宙!?)
彼は自分が暗い所にることを確認した。
(い、息が息ができな、、、できる?なんで?全然苦しくない!)
理解ができずにいた少年は、視界に唯一黒以外の物がうつり、
確信する。
(ぼ、僕、星になってるぅぅぅ!!???)
彼は生物にすらなれず、星へとなっていた。
もしかしたら、流れ星に託した願いが、命と引き換えにかなったのかもしれない。
(ま、まあいいや。こんなに間近で星が観察できるなんて最高だしね!)
約3年後。
(そ、そろそろ飽きてきたなぁ)
(星見れるのは楽しいけど、体動かせないのは辛いかも)
(なんかできないかな?)
少年はそう思いながら、体を動かそうと必死に自分の内側に集中する。
グルッ!
何かが回転するような音。
(ん?何か音がした?)
少年はまた宇宙を見る。
しかし、
(何にも変わってないなぁ)
(暇をつぶせるものがあるかと思ったんだけど、残念)
特に変化は見つけられなかった。
と、思ったが、
(あれ?なんか、さっきまでより、景色の移り変わるスピードが速くなってる気がする)
(もしかして、)
(自転するスピードが速くなってるぅ!?)
ピロンッ!
《スキル『自転LV1』を獲得しました》
(っ!?)
(何!?)
効果音のような音が鳴った後、淡々とした抑揚のない音声が聞こえた。
少年は驚く。
(なんて言ってた?自転とかスキルとかレベルとか言ってた気がするけど)
(まあレベルって言ってたって事は、練習すればもっと良くなるって事だよね?)
(もっと時点のスピードを速くしてみるかぁ!)
少年は意気込み、回転の速度をあげようと集中する。
すると、少しづつではあるが、回転速度が上がっていった。
(うおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!)
少年は叫びながら回転し続ける。
そうしていると、
《『自転』がLV2になりました》
(よっしゃあぁぁぁ!!!)
また、抑揚のない声が聞こえた。
それを励みとし、少年はさらに回転を続けた。
(うおおおおぉぉぉぉぉ!!!!)
1年後。
《『自転』がLVMAXになりました》
(よっしゃぁぁ!!!)
(上がったぁぁぁ!!!)
レベルが高くなるごとに、次のレベルになるまでの時間が掛かるようになり、LV9からLVMAXになるまで5か月ほどかかった。
少年が暇だったからできた事である。
(なんか失礼なことを誰かに言われた気がするけど、、、まあ、いいか)
(今度は自転してる最中に手に入れた、
《『公転』がLV3になりました》
(おっ!調度いいタイミング!この調子で好転も頑張ろう!)
こうして、恐ろしいほどの速さで自転している星が、今度は殺人級の速さ、いや、殺〝星"級の速さで好転しようとするのであった。
5年後。
(うおおおおぉぉぉぉ!!!!!)
《『公転』がLVMAXになりました》
(い、よっしゃあぁぁぁ!!!)
遂に公転まで極めた少年。
肉眼でとらえる事の出来ない速さでまわっている。
(、、、何しよう)
遂に少年はやる事が無くなってしまった。
それに気が付き、絶望している少年。
近くにある大きな星に気付かず、
(っ!?うぇ!?ぶつかるぅぅぅぅ!!!!」
ゴシュッ!
《死亡しました》
(・・・)
(う、ここは?)
「おめでとうございます」
「あなたのお子さんですよ」
こうして、自転と公転を極めし赤ちゃんが、どこかの世界で無双するのであった。