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2章


ホームルームも平凡に終わり、チャイムが鳴って授業が始まる。


1時限目は数学。彼の得意とする科目の1つだ。


彼は特殊な能力を持っているからと言って、それに(かま)けて勉強をしないなんて事はない。


確かに、彼の能力を使えばカンニングなんて余裕でできるが、しかしながら彼は普通に勉強をしている。


なぜなら彼は能力を持っている事を誰にも知られたくないのである。隠して平穏な暮らしを送りたいのだ。


そのためカンニングで良い点を取ってしまうと、実際の知識とテストの点数の間に大きな差が生じてしまい、平穏な暮らしが(おびや)かされる可能性がある。その可能性を持つ事は彼にとって望むところではないのだ。


だから彼は普通に勉強をする。普通に勉強して普通にテストを受ける。


そして、赤点になってしまいそうな時だけ、最小限にカンニングをするのだ。彼にとって能力などその程度に過ぎないのだ。


彼の能力は強力だ。最強と言っても差し支えない程だ。漫画やアニメならばラスボス級の能力だろう。その証拠に彼自身も能力を使えば出来ない事など何もないと思っている。それこそ、人の命を救うなんて朝飯前、本気を出せば世界を統一する事だって出来るだろうとすら思う程に。


だが、彼はそんな事はしない。今挙げたような事は自分の器に収まりきらないと思っているのだ。正義を全うするための信念も、悪の限りを尽くすだけの動機となる欲望も、何もない。そんな空っぽな人間だと彼は彼自身を評価している。


だからこそ、彼にとっての能力とは単なる保険としての手段の1つに過ぎず、彼は普通の男子高校生としての日常を過ごしているのだ。


故に授業は普通に続く。



【彼に特別な能力があろうと、特別な事は起こらない】

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