【第1話】僕の決意
異世界を題材にした物語を書きました。
宜しければ読んでみて下さい。
小説を書くのはまだまだ不慣れですが温かく見守っていただければ幸いです。
宜しくお願いします。
現実世界と異世界の交流が始まって、今年で15周年を迎えていた。
この15年間で、国内外旅行以上に異世界旅行のツアーが急増し、
観光客にも人気が出てきている。
しかし、異世界旅行といっても国際統合政府が認可した交流国にしか行けないのが現状である。
また、異世界には、大小合わせて約50ヶ国ほどが確認されているらしい。
その中で交流が許可され認可された国は、この15年間で6ヶ国。
つまり、安心して観光ができるのは異世界でも主要の国に限定されている。
誰だって、治安が悪いところに旅行したいと思う人はいないと思う。
安全が約束された場所で観光できるなら越したことはない。
僕の名前は、小牧圭太。
父は異世界旅行の添乗員をしている。所謂いわゆる、ツアーコンダクターだ。
異世界添乗員の第1号区画員のメンバーに選出された。
つまり、異世界交流の先駆者の一員といっても過言ではない。
ある程度の国際添乗員の経験と難度の高い試験をクリアすれば認定されるらしい。
そんな父だが3年前に異世界で行方不明となってしまった。
行方不明になる前には何度か異世界に旅行に行ったことがあった。
これは、異世界添乗員という仕事をしているから行けた特例中の特例だ。
そこで知り合った農家の家族と親しくなり、毎年といっていいほど遊びに行った。
父が行方不明になったのをきっかけに異世界への訪問も疎遠になってしまった。
仕方がないと言えば仕方がない。
警察や軍にも異世界への訪問を控えるように言われているからだ。
==父が見つかるまでは・・・・・・==
高校の卒業を機に異世界に行くことを決めた。その理由は父の消息を探すこと。
家族には異世界で親しくなった農家のところに遊びに行くと伝えただけで、
目的は内緒にしている。
父を探しに行くという素振りは見せていないのでバレていないと思う。
言えば、反対されるに決まっているからだ。
母もおじいちゃんも口には出さないが、ピリピリした感じが伝わってくる。
言葉には出さないが不安を隠し、それを素振りとして表に出していない。
僕にとって、その空気は重く、辛く、痛々しい。
無理にでも明るく振舞わないと家族が壊れてしまいそうだからだ。
今回の旅行で安心できる切っ掛けが少しでも得られれば今の状況も変わってくると思っている。
内緒で探しに行くんだ。怒られるのは戻ってからでも構わないさ。
とにかく、この現状を打破したいんだ。
異世界に行くには身分証明書とパスポートと戸籍謄本が必要になってくる。
さらに、指紋・瞳・静脈の認証を情報として登録する義務がある。
異世界を旅行するにも家族の身辺なども念入に厳重に調べられる。
そこは異世界添乗員である父自身が証そのものなので順調にクリアできた。
異世界でも添乗員としての父は異世界人にも愛されていたのを覚えている。
友好的で、親切で、すぐに打ち解けてしまうのが父だ。
その中でも農家のアラビン家とは非常に密接した家族ぐるみの付き合いをしている。
疎遠になり手紙のやり取りだけが続いている。
内容は、父の情報が殆どだ。
あとは、情報と言うよりも励ましの内容だったりする。
アラビンさん達には感謝をしている。
異世界からこちらの世界へ来れる異世界人は、ほんの一握りでまだまだ解放されてはいないらしい。
国際統合政府が認可を出すことを拒んでいるからだ。
それでも異世界の人たちは来訪を快く迎え入れてくれる。
異世界観光で行ける国は、現時点で6ヶ国。
国の中なら比較的に治安は良いといわれている。
それは、僕の住んでいる日本でも同じことだ。
治安の良い場所もあれば悪い場所もある。それとなんら変わらない。
その6ヶ国の中でも、
アリスエデン公国。『ALICEDENアリスエデン』
比較的治安も良く住みやすい国だ。主に、農業と畜産で発展した国。
僕が行く国はここだ。
この他に、
ウルグリッド国。『URUGULIDウルグリッド』
この国は、要塞国家と言われ軍隊が充実している。
治安に関しては6ヶ国の中でも一番安心できる国。
ただ、規律が厳しく観光客も規律を遵守しなければならない。
シャーンネイ国。『SHYAANEYシャーンネイ』
この国は、海が身近な国と言われ、観光客にも人気がある。
交流してからは、リゾート地としても成功している。魚が美味しい国だ。
国の名の由来は、異世界最古の人種、シャーン族から付けられているとも言われている。
シルクィン国。『SYLQINシルクィン』
この国は、山岳地帯で空に一番近い国とも言われている。
星空も綺麗で高所ながら酸素も比較的薄くはないので人気がある。
ただ、1年の殆どが極寒地帯なので寒さに免疫がないといけない国である。
ガライア国。『GALYRAガライア』
この国は、日本と同様の島国で島国ならではの生活形態がある。
また、日本に似ていて四季を感じ取れる国でもある。
しかし、15年前の交流をきっかけに異世界外交流を受け入れたので文明は他の国よりも遅れている。
ただ、他の5ヶ国との協力もあり発展途上中の国だ。
最後に、ウェンズベイバルブ国。『WENZBAYBARBウェンズベイバルブ』
この国は、地底に国を築いているが文明としては他の国と変わらない。
正確には、地上と地下の2層状から国が成り立っているのが特徴である。
通貨問題としては、異世界の通貨は1通貨制でどの国に行っても同じ通貨。
異世界に入国する前に通貨換金所にいって異世界の通貨に換金していくのが普通。
しかし、最近になって異世界でも限られた場所で換金ができるようになってきた。
レートは、どの換金所でも同じレートなので安心できる。
因みに異世界の通貨単位は《BYERLEバイアリ》だ。
1000YEN(円)は、1500BYERLEバイアリとなる。
言葉の壁に関してだが、交流国の6ヶ国ではシャーン語が主要言語になっている。
確かに、この15年間でシャーン語の通訳も急増している。
また、交流国の人たちが通訳という職種に憧れ、こちらの言葉をを学んでいる。
語学教師が異世界で学校を開いて教えているのも事実だ。
しかしながら、僕は、シャーン語の日常会話ぐらいならてこずることもない。
これも父が残したシャーン語の資料のおかげであり、アラビン家の人たちのお陰でもある。
だから、会話に不安はない。
そろそろ出発の時間が迫ってきていた。
トローリーケースを転がし搭乗口に進んでいると、呼ばれる声がした。
おじいちゃんが、駅に見送りに来てくれた。
親しくしている農家のアラビンさんへのお土産の袋をも持たされる。
眼には涙が潤んでいる。力強く抱き寄せられた、その腕は震えていた。
口には出さないが、まるで、父の事を頼むぞと、言わんばかりに・・・・・・
おじいちゃんは、僕の計画を知っていたんだ。と、感じ取った。
いや、母もおばあちゃんも知っていて送り出してくれたんだ!と確信した。
家族全員が、父は絶対に生きていると信じているからだ。
僕は、この旅で父の痕跡、軌跡を必ず探し出す事を改めて決意した。
「行ってきます!!」
力強く声を張って言った。感極まり声が震えていた。
搭乗手続きも終わり、『アリスエデン行き』の異空変換列車に乗り込んだ。
ここから、僕の旅が始まる。
本作品を御観覧して頂き有難うございます。
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