エピローグ
完結しましたヤッタネ! 2/11に開催されるCOMITIA123にてこのお話の続編が出ますのでよろしければ。
「ほら早く! 遅刻するー!」
高級住宅街の中でも一際大きな家から声が響き渡った直後、その家から二人の兄妹が飛び出した。
「あーもう! お兄ちゃんのせいで遅刻するー!」
「なんで起こしてくれなかったんだよ!」
「私起こしてたもん!」
彼らは人生をやり直した。
あの日、翼はかくれんぼではなく別の遊びを提案し、夕暮れを告げる鐘で仲良く帰った。
両親の仕事は一般企業になり、幸せな家庭を気付いていた。
その日、学園に転入生が来た。試験をパスする程度の実力と言う話らしい。
「海堂水藍です」
海堂と名乗った少女の席は葉月唯の隣。
「よろしくお願いします」
「あ、うん、よろしく。……あの、さ」
「どうかしましたか?」
「僕たち、どこかであったこと有る?」
「……どうでしょうか。でも、貴方とは仲良くなれそうです。よろしくね」
あの日、事故は起こらなかった。水藍は人間としてこの世に生を受けた。
彼らの願った出会いはやり直され、これから新しい関係を築いていくこととなる。
◆
八月のある日。今日は春縁神社で開催される夏祭りの日だ。なんでも神社にある大きな桜、麗華桜を祀る大事な日らしい。
最も、町内は総動員で屋台やらおみこしやらを使って町を覆い尽くして楽しむだけだ。
俺は蘭と祐也の三人でここに来たが、どうやら人ごみに紛れてはぐれてしまったらしい。
人にもみくちゃにされながら歩いていると、誰かと酷くぶつかってしまった。
謝ろうと顔を上げると、見覚えのある赤髪の少女がこちらを見ていた。
「杏珠? なんでここにいるんだ?」
「なんでって…別にいいじゃんお祭りに来たって」
「杏珠、大丈夫か?」
人ごみの中からひょっこりと翼さんが姿を見せた。
「あ、翼さん。華華とか見ませんでした?」
「華華ちゃん? 本部のテントで見たぜ。あ、あとユーくんたちには会った?」
あ、水藍さんたちもお祭り来てるんだな。
「ねえ冬馬、こんなところで遊んでいていいの?」
「は? 別にいいじゃん」
「あんた本当学習しないよね。また今年の夏も宿題終わらなくて痛い目合うんじゃないの」
うっ……。杏珠の言葉が耳に痛い。なんで夏って宿題多いんだよ。
宿題じゃなくて、もっと、こう、不思議なこととか起こればいいのに。
なんて思っているうちはそんなこと起こるわけもなく、平凡に終わるんだろうな。とぼんやり桜を見ながら考える。
あっ、今、木の陰に華華に似た人がいた。気がした。




