ゼロ距離
前書き
過去に三回短編の恋愛ものを出しました。
一つ目は記念すべき処女作(涙)(笑)
これはかなり多くの方に読んでいただきました。
さらに、二ヶ月たった今でも毎日誰かしら読んでくださっています。
本当にありがとうございます。
二つ目はquiz
これは微妙でした。まあ深夜に書いて、「やべえ、そろそろ出したいのに終わり方がわかんねぇ」と、無理矢理終わらせた短編です。
ですがこちらも多くの方に読んでいただけました
三つ目はクラゲです。
これは書きたいな~と思って書きました。種族を越えた恋を書いてみたかったんです。
こちらもオカゲサマで好評でした。
パターンの違う三作ですが共通してるのは読み手を考えてます。が、今回は違います。
かんっぜんに趣味です。突っ走りました。
万が一これを読んで私の作品から離れる人がいては困るので一応警告します。
『にゃ』に萌えるやつはついてこい、と。
いちおうしっかりまとまったつもりです
では楽しんで
「速水君って彼女いるの?」
こっちに、千葉に引っ越して11ヶ月目の11月21日、私立高校の入試まであと2ヶ月……………じゃなくて、僕の誕生日。技術の時間、鉄に穴を開けるボール盤の掃除をしていたら、おんなじクラスの中川 歩美さんに声をかけられた。ボール盤は二個あって片方を僕が片方を中川さんが使っていたから掃除をしに来たのだろう。今日使った人は僕たち二人しかいなかった。僕は引っ越す前の学校ではボール盤を使っておらず、使い方がわからなかったから先生に教えてもらった。中川さんも分からないらしく、一緒に先生の話を聞いていた。
「ん?彼女?夏休みに別れたからいないよ。」
引っ越す前からの彼女だったのだが、やはり遠距離は辛いらしく、もうすぐ一年の記念日というときに別れ話を切り出され、別れた。そのあと引っ越す前に習っていたテニスの友達と付き合ったが、「やっぱり距離感が友達だよね。」ということで三日間で友達に戻った。今は誰かと付き合おうとか考えていない。フラれたら気まずいし。それに高校は別の学校になるだろうからなかなか会いにくくなる。まあコクられたら一発オッケーは出すのだが。自分がモテるだなんてうぬぼれてはいないのでチャンスは逃さない。だから告白待ちだ。まあ付き合ったら楽しいだろうな、とか、かわいいな、とかって子はいるのだが。中川さんもその内の一人だ。高校は僕と同じ高校を受けるそうなのでたまに話す。塾もクラスは違うが同じところに通っている。学校の席がこのあいだの席替えで近くになったので、たまに得意な数学とかを教えたりもする。
「へー。そうなんだ……その彼女ってこっちの人?」
「いや、前の学校だけど。」
「じゃあそろそろ終わりにしてー。」
先生が終了を告げる。
「そっか。あ、そろそろ戻んないと。」
「うん。そうだね。」
「そういえば速水くん誕生日いつ?もう過ぎた?」
「今日だよ。ついに十五才。」
「ええ!今日なの!?おめでとう!」
「ありがとう。それじゃあ戻ろっか。」
「……………………」
「中川さん?」
「え、あ、うん。そうだね。戻ろう。」
ん?考え事でもしてたのかな?まあいいや。
キーンコーンカーンコーン
「それじゃあ、号令。」
あ、そっか。学級委員だった。
「気を付け、礼。」
「「ありがとうございました」」
そう、なんと転校11ヶ月にして学級委員をやっているのだ。詳しく言えば後期からだから10月からしているのだがいまだに慣れない。まあ転校生がやるんだから大したものだろう。
今日は三者面談があるため四時間授業。学活、体育、数学、技術。体育さえなければ神ってる時間割りなのだがそれももう終わる。明日も四時間だが国語がある。憂鬱だ。まあ明後日の水曜日は勤労感謝の日で休みだからそれまでの辛抱だ。僕の三者面談は木曜日だが、幸い成績はいい方で、受ける高校も安全高だからほとんどなにも言われずに終わるだろう。そう考えると他の人よりもラッキーだろうか。橋本は最後のコマだったらしく、一時間みっちりやられたと言っていたし。
さて、あとは給食を食べて掃除したら下校だ。なんで掃除があるのだろうか。昼休みがないから昼寝できないのに掃除はあるという理不尽。実に腹立たしい。
そんなとりとめの無いことを考えながら当番が給食を用意するのを待っていたら、
「速水くん…今日さ、少し残れない?」
と、中川さんに声をかけられた。その顔は何かを決意したかのような顔。
「えーと、今日はなんも無かったかな。いいよ。でもなんで?」
「んーん、あとで話すね。」
「分かった。」
「ん?速水、中川さんとなに話してたの?」
「ああ、いや、帰りに用事があるって。だから先帰って。城崎にも言っといて。」
「ん。分かったけど。」
「よろ。」
さて、城崎には橋本から連絡が行くだろう。にしても中川さん何の用だろうか……………
After school
「で、中川さん、何の用?」
「あ、速水くん。こっちついてきて。」
「うん。」
少し早足気味に中川さんは歩く。そして着いたのは体育館裏。ん?なんで人気の無い場所に?と思ってたら不意に中川さんが振り返る。そして急に振り返るから僕も止まれない。中川さんとは同じくらいの身長だから当然唇も同じ位置にあるわけで、振り返った中川さんの唇に僕の唇が吸い付くように近づき、そして、触れるか触れないかくらいの、言わば『ゼロ距離』で中村さんの親指に止められる。
「速水君、あなたの………こと……が、好きです。」
「え、えっと…………ええ!?」
「だから、その………つ、付き合って欲しい!………です。」
「え、えっと。え?中川さん?」
「もし、付き合ってくれるなら、このまま…………………キス、して?いやなら…、そのまま帰って。」
え、ナニコレ。ラブコメ?
そして中川さんは瞳を閉じる。その唇は緊張と、不安そして少しの希望からか震えているように思える。だから、僕は
そのまま唇を重ねた
どのくらい唇を重ねていたのか。お互い息が苦しくなって
「ゲホッゲホッ」
「ケホンっケホンっ」
「「………………………」」
「プッ」
「え、なに?なに?なんか付いてる?なんかおかしい?」
「いや、さっきまでのムードなんだったんだろって思って。」
「え、あ………………………………キスしたんだ、、、、、」
カーーーーーーーーーー
って文字が見えるくらいに急速に紅くなってく中川さん。
「え、ってもしかしてオッケー?あれ?成功したの?え!?ええぇ!!?」
「えっと、末長くよろしくお願いします。」
「え、あ、こちらこそ。ってなんでオッケーしたの!?」
「え、嫌だった?ゴメン………」
「い、いや、違うけど、嬉しいんだけど、嬉しすぎて、何かうまく行きすぎて…………」
「ああー。」
「それに何か実感無いし。」
「じゃあ、もう一回………する?」
「え…………何を?って………………あ………」
また紅くなってく。面白い。
「する?しない?」
「え、いや、したい……………したい!!!!!」
「じゃあ、」
中川さんの頭に手をまわし、口づけをする。こんどは長くできるように途中で少し唇を離して息継ぎし、再度唇を付ける。ぴったり、隙間がないように重ね合わせる。
「……………………………速水君馴れてる?」
「いや、さっきの初めて。自分でもビビってる。意外にできるんだって。」
なんでこんなにうまくできるのだろうか……………
「アハハハハハハ!!」
「え、なんで笑うの?」
「いやだって、速水君の目が真剣に考えてたんだもんっ。キスのことだよ?しかもなんで自分がうまいのかって考えてるんだよ?それ想像したらアハハ、可笑しい。」
「ほ、ほんとだ。確かにめっちゃ痛い。ハハハ。」
「速水君やっぱり面白いっ」
「そうだ、付き合い始めたんだから名前で呼ぼうよ。」
「そうだね。えっと、渚、だよね?下の名前。」
「うん。」
「じゃあえっと………………な、渚……くん。…………うう、恥ずかしいよ、これ………」
「えっと、あ、やばい。結構ハズい。………あ、歩美…。」
「ううう!!!!」
「え、なに、どうしたの!?」
「えっと、………もう一回呼んで?」
「歩美」
「うなあああああああ!!!!!!」
「え、どうしたの!大丈夫、歩美!?」
「うにゃあああああああああ!!、!」
「大丈夫?落ち着いて、」
「…………………ふ~~~~、落ち着いた。」
「で、どうしたの?」
「えっと、カッコよすぎて………ヤバイよ、好感度MAX振りきったよ。」
「名前呼んだら振り切るて……………いい、歩美?」
「う、うん。」
「他の人に名前呼ばれても好感度振りきっちゃダメだよ?」
「うん!もちろん!好感度振り切るのは渚君にだけだにゃ。」
「え…え……………………」
「あ、噛んじゃった……………」
「ウオヲヲヲヲヲ!!!!!!!」
「え、渚君!?どこいくの!?」
「ウオヲヲヲヲヲォォォォォォォオオオオオオオオ!!」
その後校庭を上履きで5周ほど走りきった。過去の自己ベストを大幅に塗り替えた。
「はあ、はあ、はあ、はあ、」
「だ、大丈夫?鼻血も出てるけど。」
「大丈夫。これは僕が勝ち組って証だから。」
「なんで?」
「だって、こんなにかわいくて、語尾が『にゃ』で、優しくて、語尾が『にゃ』で、頭もよくて、語尾が『にゃ』の子が僕なんかに好きって告白してたれたんだよ?」
「…………えっと、そんなに『にゃ』ってよかったの?」
「もちろん!1週間オカズには困らないほど………あ………」
「もう、渚くんはエッチだにゃん。」
「うがあああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「…………………………………………………」
もしかして引かれた?
夕日が僕ら二人を照らす。二人でどれだけ話しただろうか。気がつけば部活勢も帰宅の用意をしている。いまは日が落ちるのが早いから完全下校もその分早い。そろそろ別れないといけない。その事がこんなにも名残惜しい。また明日になったら会える……………いや、明日は祝日だから会えるのは明後日だ。塾で会えるかもしれないけれども塾では話せない。もっと話したい。いろんなことを。人と話すのがこんなに楽しいと、人を、こんなにもいとおしいと感じたのは久しぶりだった。夕日に照らされ輝いている、僕にだけ向けられたその笑顔を、守りたい。守る。付き合い始めたのはついさっき。でも、もう僕の気持ちは歩美へと向いている。ずっと前から好きだったかのように。だから僕は誓う。
この笑顔を守ると、
「じゃあ、帰ろっか。」
「うん。でも…………」
「だから一緒に帰ろ。」
「うん!」
「家どっち?」
「えっと………JRの方って言ったらわかる?」
「うん。じゃ、はい、」
手を、差し出す。
「うん!」
その手が握られる。
お互い距離がなくなるくらいに体を寄せて歩く。恋愛は時間じゃない。そのことを証明するかのように。
はい、作者です。
初見の方、ずっと読んでくださってる方どうもです。
まあはやく連載のやつ出せよと思ってるかもしれませんがなかなか詰まってしまってる所存です。
そしてお詫びです。
先ほど述べたように連載NotとGOMがつまりました。
Notはこの先どういう風に話をもっていくのか、GOMは銃の知識が少なすぎると。
そこで年内は出せないと思われます。
いつか復活します。
そのままぶち切りすることは無いと思いますのでどうか今後もよろしくお願いします。
では、次に本編です。
まあこれはたまたま思い付いて面白かったので書いてみたのですが筆が止まりませんでした。
そして大変気に入っております。
もしかしたら量を増やして再投稿するか連載にするかもしれないのでよろしくお願いします。
今後は初恋とニューライフともしかしたら他の連載とでやっていくつもりです
こんごもよろしくお願いします。