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詩集 ―Migratory Bird―

Prologue

初めは、ほんの些細な興味からだった。



























 卒業半年前、就職活動が本格的になってきた。周りの同期や先輩たちは続々と内定が決まっていく中、自分だけは未だ最終選考はおろか一次面接にすら落ちる日々。


 さらに授業では実習が多くなりそれに伴っての自由時間も少なくなっていったのでろくに情報を調べる時間もない。説明会に行っても期待するほどの成果はなくただただリクルートスーツを汚すだけ。


 周りに流されて無意味な説明会に足を運び、作り笑いと偽善ぶったエントリーシートを持って面接をし、そして落とされる。


 いつしか進路担当の先生からも情報が来なくなり卒業間近になって内定が決まっていなのは自分だけだった。ほかのみんなは研修や内定説明会に行くようになってて全員が揃うこともなくなった。


 ずっと考えていた。

 なぜ無意味な就職活動をしなければいけないのか。なぜ個性を消すようなスーツを着て皆同じような格好をしているのに面接では「あなたの個性は何ですか?」と聞かれなければならないのか。なぜ対して読むこともなく不必要ともいえる履歴書を何十枚も、それも手書きで一社一社ずつ書かなければいけないのか。なぜ学校に来ている求人以外は相手をしてもらえないのか。そもその新卒がこんなにも重要視される割には離職率は減ることはないし、一度路線落ちれば即社会不適合の烙印が押される。


 日本の就活はおかしい、社会の制度はおかしい、なんてことをずっと考えていたらいつの間にか卒業し同期はそれぞれの職場に、自分は家に籠って一人就活を続けていた。


 SNSでたまに同期と会話すると、「そういやお前今何してんの?」「就職決まった?」と言われるたびに胸がズキズキと痛み次の一言が出てこなくなる。当然、何も答えられないからだ。バイトも見つけることもできず日々パソコンの求人サイトを見て応募しては落とされる日々。家族も含め周りからの目線に毎日殺されるような思いで、でもどうしようもなくて。苦しくて他人に相談しても帰ってくるのは同じ答え。


"社会が悪いんじゃない、お前が悪い"と。


 言いたいことは色々あるし理解できないこともたくさんある。でも皆それを我慢してやっているんだ。だからお前もそうしろ、と。


 誰も本当に理解なんてしてくれなかった。
















 吐き気がした。何やってるんだろう自分、と思うと同時にこんな世の中に染まっちゃいけない、と良くわからないけど励まされる声も聞こえた。


 そんな時、たまたま見ていた求人関係のブログに「小説家になろう」のバナーを見つけた。


 そういえば昔、ライトノベルを作るのが上手い先輩がいて作品読ませてもらった事を思い出し、何気なくバナーをクリックした。


 昔から本の小説は読む人間じゃなかったけど、時間だけは無駄にあったのでいくつか目に留まった作品をスラスラと。


 なかなか面白いものもあったし、短編の詩なんかも沢山あって活字が苦手な自分にも難なく読める。中には自分と同じように社会をドロップアウトした人が色々批評する物なんかもあって、これほんとに小説? っていうようなものもあった。


 "ここなら暇つぶしになるかな"


 そうだ、せっかく登録するなら何か一つ上げてみようか。題材は……

 ふと、以前俺が勢いで作った作品を先輩が手直ししてくれていい感じになった短編小説があることを思いだした。それくらいならここに出しても恥ずかしくないだろうし、批判されるようなら消せばいい。どうせ星の数ほどある作品の中の一個にすぎないんだから読まれることもそうないだろう。就活なんて窮屈で堅苦しいことしてるよりはここで自由に書いたり読んだりする方がマシだし。




 そんな軽い気持ちで、画面上のマウスポインターはサイトの中の「新規小説作成」をクリックした――――――








 最後まで読んでくださりありがとうございます。

 これは題名の通り、私が「小説家になろう」を始める前のお話で「蒼いそらと白壁の塔」が投稿される前のプロローグです。

 文中にもあります通り、最近また知り合いによく私自身の近状を聞かれることが多くなりました。そこでふと今までを振り返っていたら文面に起こしたくなりこういう形をとらせていただきました。完全に個人的なもので自己満足です。

 確かに今も色々思うところはありますけど、小説を始めて上げてからおよそ八か月。今ではそこそこの人に自分の作品を読んでもらいました。自分が元いた社会にはじかれても、こういう世界もあるんだなと視野が広くなりました。

 まだまだ拙い内容と文章力ですがこれからも楽しんでやっていきたいと思いますので温かい目で見ていただけると幸いです。(尚、誹謗中傷される方がいらっしゃいましたらお茶とリンゴが好きな幽霊を派遣いたしますのでご注意ください)

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