おばけを取り戻せ!
今日はたのしいたのしいハロウィン。みんなで人間の世界から持ってきたお菓子を並べて愉快に過ごす日なのですが、おばけの家では兄弟がいつまでたっても帰ってきません。
心配になったおばけのお母さんは、ハロウィンの町のみんなに兄弟を探してくれるように頼みました。そこで、魔女とミイラ男とフランケンと狼男の四人で人間の世界へ出かけていきました。
魔法の絨毯に乗って空から街を見下ろしていると、どこからか助けを求める声が聞こえてきました。道路を流れていく軽トラックの荷台に、もぞもぞと動く大きな袋が乗っています。さてはこれだなとトラックを追いかけていくと、川沿いのコンビニの駐車場で止まりました。黒い服にマスクとサングラスをかけた、いかにも怪しげな男二人がお店に入っていくのを見計らって、四人はそーっと降りてきました。狼男が袋を縛っている紐を噛み千切ると、中からおばけの兄弟が息苦しそうに出てきました。
「なにがあったんだい」と魔女が聞くと「お菓子をもらって帰ろうとしたら、いきなり袋を被せられたんだ」おばけのお兄ちゃんが泣くのをグッとこらえて言いました。
「よく泣かなかったな、えらいぞ」ミイラ男はおばけの兄弟を撫でてあげました。
兄弟も無事だったことだし帰ろうかと話していた時、お店の方から悲鳴が聞こえてきました。レジのお姉さんが男二人にナイフを突きつけられて両手を挙げているのが見えました。
「そういえば、あいつらボクたちを売るって言ってた」とおばけの弟が震えながら言いました。
「泥棒で強盗か。けしからんやつらだ、ちょっと懲らしめてやろう」狼男は腕を鳴らしながら言いました。
戻ってきた男二人に車の陰から狼男が飛びかかり押さえつけ、動けないようミイラ男が包帯でグルグル巻きにして、力持ちのフランケンが軽々と二人を持ち上げて川へ放り込みました。これでもう安心です。さぁハロウィンの町へ帰りましょう。
帰りは魔女の魔法で舞い上がり、満月の輝く空をハロウィンの町までひとっ飛び。おばけのお家に着くと、おばけのお母さんは何度も頭を下げて四人にお礼をいいました。せっかくだからと中に招かれて、みんなで楽しくパーティをしました。
それからおばけの兄弟は自分たちを助けてくれた四人のように、誰かを助けられるかっこいいおばけになりたいと思うようになったそうです。