ハロウィンツリーのお話
ハロウィンの町には、毎年秋になるとランタンをつける不思議な木がありました。誰が言ったか知らないけれど、その木はハロウィンツリーと呼ばれるようになり、ハロウィンのお祭りには欠かせないものになりました。
ところがどうしたことでしょう、今年は一つもランタンが実らないのです。ハロウィンの町のみんなは困りました。ランタンがなければ暗い夜道を歩くことができません。せっかくお菓子をもらっても、入れるものがありません。
狼男が恐ろしい声で吠えても、魔女が怪しい薬をかけても、ミイラ男が呪っても、ツリーはうんともすんともいいません。困ったみんなはなんでもお見通しの水晶おばけに助けを求めました。おばけが水晶にえいっ!と力を込めると、過去が映し出されました。どうやら去年のハロウィンが終わった直後のようです。
ツリーの近くを通りかかった狼男が、いらなくなったランタンを道端にポイッ。次に通りかかったミイラ男もポイッ。フランケンも大きなランタンを投げ捨てていました。そう、どうせ毎年できるものなのだからとランタンを大切にしていなかったので、ツリーが怒って実をつけていなかったのです。
映像が終わって水晶おばけが帰ると、みんなは深く反省しました。
「今まで乱暴に扱ってごめんよ」狼男が謝りました。
「これからは大切にするよ」ミイラ男が言いました。
「毎年実をつけてくれてありがとう」フランケンが感謝しました。
すると、ハロウィンツリーがオレンジ色にキラキラと輝きだし、ランタンをいっぱい実らせました。みんな喜んでランタンをもぎ取りました。火の付いた石を入れたら夜道を歩くのも安心。もらったお菓子をたくさん入れてもへっちゃらです。
その後ハロウィンツリーは町のみんなが心を込めてお世話するようになり、実らない年はなくなったといいます。