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ハロウィンパーティへようこそ

 星が見える小高い丘にある廃墟は、ハロウィンの日にだけ元の立派なお城に戻り、盛大なパーティが開かれます。おばけに魔女に狼男にバンパイアにフランケンシュタイン、みんな配られた招待状を持ってやってきて、朝まで飲めや歌えやの大さわぎ。

 そんなお城に黒猫の仮装をした少女が一人、招待状を握りしめてやってきました。門をくぐって中へ入ると、テーブルいっぱいにパイやケーキや七面鳥など、溢れんばかりのごちそうが並べられていて、みんな好き勝手に取って食べていました。

「あら、お前さんみない顔だね、どこの猫だい?」一切れのケーキを食べようとすると、緑色の服を着た魔女に話しかけられました。

「私は丘を下った東の村から来たの」少女が答えると、魔女はなるほどと呟いてその場を去りました。少女はパーティにきているのはみんな仮装した人間だと思っているので、変な人だなと思いました。


 話しかけられて食べ損ねていたケーキを食べようとすると、

「くんくん、なんだかうまそうなにおいがするぞ。人間のにおいだ。」今度は近くを通りかかった狼男が言いました。

 少女はケーキを置いて慌ててテーブルの下に隠れましたが、すぐに見つかってしまいました。

「おい人間だ!人間の子供がいるぞ!」

 狼男が大きな声で叫んだので、パーティ会場はざわつき、みんなの目線が少女に集まります。ここにはいられないと少女は飛び出して走り出しました。狼男に追いかけられて、お城の中を逃げ回りました。階段を駆け上がり、窓から出ようとしましたが開きません。仕方なく長い廊下を走っていると前に壁が見えてきました。このままいけば行き止まりです。

 あたりを見回すと、一つだけドアが半分開いている部屋がありました。少女は夢中で部屋に飛び込んで鍵をかけ、足音が遠退いて聞こえなくなると胸をなでおろしました。


「誰だい勝手に入ってきたのは」声にびっくりして振り向くと、老婆がいました。

「ごめんなさいお婆さん。私狼男に追いかけられて、ここが少し開いていたからつい入ってしまったの」少女が謝ると、老婆は穏やかな顔になりました。

「ああ、そういうことかい。安心おし、この部屋にうるさい連中は入ってこれないよ。お前さんは人間かい?どうしてこの城にきてしまったんだい」

「私の家にこれが届いたの」少女は招待状を見せました。

「おやまあ珍しいこともあるもんだ。この招待状はね、人間には配られないはずのものなんだよ。配達係のコウモリが間違えてあんたの家のポストに入れてしまったんだろうね」

「どうやったらここから出られるの?」

「ここは一度入ってしまったら、朝日が昇るまで出られやしないよ。さあさ、座ってお茶でも飲んでいくんだね。どうせ暇だろう?老いた魔女の話を聞いとくれ」

 少女の前に紅茶の入ったカップを置くと、老婆は絵本を開いて語り始めました。

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