Ⅳ
「で、自己紹介は終わったとして、これからどうするのよ」
憂さんが椅子に座り、足を組みました。
確かに、食料や寝床、救助は呼べるのだろうか………。
「食料なら、あっちのキッチンにたくさんあったよぉ…。食品も最近のものだし、無開封だったから安全だねぇ。誰か住んでるのかなぁ…?」
翠さんが、ゆっくりと、独特の口調で説明してくれました。
「寝室なら、二階にあったぜ。俺はもう2回寝てるけど、寝心地はけっこういいぞ!」
真人さんが、椅子から立ち上がり、言います。
「これって、救助は呼べるんでしょうか…?」
私は念のため聞きました。
「えねねさん。君の携帯をみてもわかると思うんだけど、ここは山奥。繋がらないんだよ」
「!!」
携帯を確認します。確かに、電波は通っていません。
「とりあえず‥‥脱出できそうな窓や、裏口とかを探すしかないかもねぇ」
「そうだな…」
「2手に分かれましょう。5人だと手際が悪いわ」
「でもっ」
と私はつけたしました。
「でも5人で行かないと、不安じゃないですか」
「僕もえねねさんに賛成だな」
4人の視線が蓮さんに移ります。
「だって、もしここに住人がいたとして出口を探しているときに出くわしたら……。
僕たちは勝手に入って来たんだし、襲われちゃうよね?」
「「「「…っ!」」」」
背筋にアイスを入れられたみたいに冷たくなりました。
「お、おい三ツ橋っ……。女子がビビるようなこと言ってんじゃねーよ」
真人さんは強がりますが、表情が彼の心境を物語っています。
「とりあえず、5人で行く方がいいわよね?」
「私はそれでいいよぉ…」
「俺もそれでいいぞ」
「私もいいですよ」
「うん。僕もいいよ」
そして、この館の探索が始まったのですが、
これから私たちが思わぬ事態に巻き込まれるとは、誰も知らなかったと思います。




