Ⅲ
ギィ………。
「ちょっと待ってよ!!なんで閉まるのよ!」
黒髪の女性が喚きました。
「っ…!」
私は必死に扉を抑えましたが、開けた時よりも倍近く扉は重く、私の力では押し返すことができません。
「ま、また誰か来るまで待たなきゃいけないのぉ…?」
「困ったね…」
「チクショー…。どうなんってんだよ!」
他の3人も、口々に喚きました。
そして______。
ガチャッ…。
「「「「「ヒッ!」」」」」
鍵がひとりでに閉まったのです。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
私は、喉元にとどまっていた恐怖を、一気に吐き出しました。
「もう嫌よ!また…また!?」
「ヒック…ヒック……。家族に会いたいよぉ…」
「……早く俺らをここから出してくれよ…」
3人も恐怖に抱かれ、泣いていました。
しかし彼だけは、冷静でした。
「みんな落ち着こう。確かに怖いのはわかるけど、今は冷静になろうか。泣いてたって何も始まらないでしょ?脱出の手口をさがそうよ」
長身の彼は、こんな状況でありながらも微笑みます。
私はそれに元気付けられ、立ち上がりました。
「みんな、彼の言う通りだよ。今はダメでも、いつかは脱出できる!まずは話し合おうよ!」
これは、自分に言いつけているような感じがしました________。
その後は、自己紹介タイムでした。
「私は白河えねねです。弟が山の奥に消えて、探しに来たらここに来たんです」
「はい…」と付け足しました。
「僕は三ツ橋 蓮さ。1日前僕も妹を探しにここに来たんだ」
あの長身の男性は蓮さん。
「赤谷 憂よ。漢字見られて ゆう って呼ばれること多いけど、 うい だから!で、私は3日前に雨宿りでここに来たわ」
あの気が強そうな女性は憂さん。
「黒宮 真人だ。まぁよろしくな。俺は憂がここにいるのを見て2日前に来た」
ちょっと不良そうだと思ったけど、いい人そうな真人さん。
「えっと……倉越 翠ですぅ…。私は真人くんと同じ日に、山を探索してたらここに来たよぉ…」
小柄で可愛らしい女性の翠さん。
楽しそうな面子が揃ってる!
自己紹介をきっかけに、私はそう思うようになってしまいました____。