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9/9

第9話 受注開始と、俺の福引券作戦

その日も平穏に仕事時間が過ぎた。

田辺さんとジムへ向かい田辺さんと一緒にランニングマシンに並んで、汗だくになって走る。

……って言いたいところだけど、実際は田辺さんが少し休憩するたびに、俺は時間停止して息を整え、水をガブ飲み。

「よし、回復!」って自分に言い聞かせて、再スタート。

小心者で意志薄弱な俺の典型だ。

能力がなければ、三日坊主どころか二日坊主で終わってる。

それでも、田辺さんの笑顔が見られるだけでモチベーションは上がる。

「佐藤先輩、がんばってますね!」って言われて、

内心で「モテ期来た!」って浮かれるんだけど・・・。

そしてクールダウンついでにプールで軽くて運動をして、ジャグジーを堪能。

水着見つかってよかったぜ。流石に時間停止中でも人がいるところで全裸ってのは落ち着かなかったからな・・・。問題は田辺さんとの関係進展。田辺さんもどうやらお姉さんの水着を借りたらしく、一緒にプールで運動をして一緒にジャグジーに入ってくれる。水着着てるとはいえ一緒に入浴とかもう、これもう婚姻じゃん?結婚じゃん?

でもジム終わりに「ご飯でもどう?」って誘おうとする度に毎回

「じゃあ私は市バスなので・・・」

って先制されて、

「ですよねー」って見送る羽目になる。

何度目だ?このパターン・・・、3度目だよ!!

小心者ゆえのタイミングの悪さ。それとも田辺さん、意外にカードが硬いタイプ?

俺のモテ期は、永遠に幻なのか……?


土曜日は休み。

ジムは行かずに、部屋でゴロゴロ。

いや、行っても良いんですよ?パスがあるから土曜日でも無料で使用できるし。

でもトレーニングのパフォーマンスを上げるには同様に質の良い休息も必要だからさ・・・、な?

ということで能力を使って掃除をする。時間を止めてれば多少バタバタしたところでお隣さんから苦情が来ることもない少し片付いた部屋の模様替えをこの隙に済ませてしまおうって魂胆よ。

良い具合に部屋の片付けも済んだところで時間停止を解除して地域のニュースを確認してみる。有害物質の続報はなし。俺に繋がるような心配はもう完全に払拭されたと見て良いのではなかろうか?まぁそれでもちょいちょい確認するんだろうけど・・・。


そして日曜日。

スコー⚫︎・ドッグの受注開始当日だ。

朝起きて、スマホでサイトをチェック。

開始は昼12時。

まだ時間があるけど、心臓がドキドキし始めた。

「14万8千円・・・本当に買うのか?金策なんて結局何もできなかったけど・・・」

予約開始10分前。

俺はベッドに座って、スマホを握りしめていた。

どうするか、時間を止めて悩むことにした。

時間停止。

世界が静止する。

時計の針も止まって、ゆったり考える時間ができた。

欲しい。

けど金が。

けど欲しい。

でも金が。

このループを延々と繰り返す。

頭の中でエンドレス。

「買う? 買わない? 買う? 買わない?」

小心者だからこそ、決断が遅い。

「犯罪はダメ。でも、普通に貯金で買うのもキツイ。

社食フリーパスで節約すれば・・・いや、間に合わない!

テニス大会で優勝して、賞金・・・って、ないよそんなの!」

まあ、そのうち能力を活かせる場面なんていくらでもくるだろう。

そうだ、買っちゃえ。

これも人生の投資だ。

決意。

時間再開。

予約開始と同時に、サイトにアクセス。

……エラー!

アクセス殺到で繋がらない。

「くそっ!」

トライ&エラーを繰り返し個人情報の入力画面に繋がった。今だ!即座に時間停止。

住所、氏名、必要事項を入力。間違いがないか何度も確認してから時間停止解除と共に送信。

ページの切り替わりをヤキモキして待つ。

「遅い・・・!」

ようやく次の画面。

クレジット情報入力。

また時間停止。

カード番号を慎重に打ち込んで、時間停止解除して送信。

念には念を入れて、確認画面も時間停止でダブルチェック。

送信完了。

……無事予約成功!

画面に「ご注文ありがとうございます」の文字。

晴々とした気持ちで、俺はガッツポーズ。

これで14万8千円のスコー⚫︎・ドッグは俺のものだ。

……でも、カードの支払いが来月キツイな。

まあ、何とかなるさ。

気分がいいので、スーパーへ買い物に行くことにした。

もやし一袋、豆腐二丁、卵1パック。

節約食材をカゴに放り込む。

精肉コーナーへ。

割引品を探すが、今日はなし。

泣く泣く定価で豚肉を購入。

惣菜コーナーも覗いたけど、半額シールは貼られてない。

ちくしょう・・・能力使ってシール貼り直す?

いや、ダメだろそれ・・・。

会計後、レジのおばちゃんからお釣りと一緒に福引券を渡された。

「2週間後の日曜日に、商店街の福引ありますよ〜。

一等ハワイ旅行、二等大型テレビ、三等商品券3万円分!」

四等以下は商店街の特定の店でのみ使える金券やクーポンらしい。

俺は券を眺めながら、ニヤリとした。

時間を止めて、何度もガラポンを回して当たり玉を引き当て、ハズレ玉を元に戻してから当たり玉を出口側から入れる・・・そんなインチキを思いつく。

「完璧じゃん!

誰も傷つかないし、俺だけ得する!」

でも、すぐに葛藤。

いや、ダメだろ。ハワイやテレビ、三万円の金券ぐらいになると流石に躊躇してしまう。良心が・・・常識が・・・。

まあ景品が5000円前後だったらやってたかもしれないな・・・。

そこで折衷案。

時間を止めて、商店街のゴミ箱などに捨てられた福引券を回収する。

元々捨てられたものだし、俺が拾っても文句はないだろ?

そう決めて、早速行動。

時間停止。

商店街を回って、ゴミ箱を漁る。

道端に落ちてるのも拾う。

買い物でもらった3枚に加えて、24枚回収。

合計27枚。

5枚で1回引けるらしい。

これから仕事帰りの買い物時間に時間を止めて福引券を回収しよう。

心に決めて、時間再開。

アパートに帰宅して、風呂に入る。

湯船に浸かりながら、今日の出来事を振り返った。

予約成功したし、福引券もゲット。

ジム通いも何とか続いてる。

田辺さんとの関係も、少しずつ・・・。

「モテ期、来てるかもな・・・」

そんな楽観的な気分で、就寝した。

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