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第6話 三日坊主と、俺のモテ期?

テニス大会の出場が決まった翌朝。

俺はベッドの中で、ぼんやりと天井を見つめながら考えていた。

いくら時間を止められると言っても、優勝するとなるとそれなりに試合数もこなすことになるだろう。

となると重要なのは体力だな。

時間を止めたところで、俺自身はかなり体を動かす必要があるだろうし。

テニスの技術なんてのは時間停止さえあれば必要なさそうだしな。

サーブを止めて、ゆっくり相手のコートに落とす。

スマッシュを止めて、優雅に返す。

……完璧なチートじゃん。

でも、試合が長引いたら、俺の息切れが先に来る。

相手は普通に走り回ってるのに、俺だけヘトヘトで倒れる。

そんなの側から見れば「ほとんど動いてないのにすぐにバテる体力ゼロ男」扱いされちまう。

そうならないためにも最低限の体力はつけておかないとな。

会社の福利厚生の一環で、

総務部で申請すれば提携ジムが無料で使える環境がある。

ジムの経営は、社長の親類らしい。

せっかくの福利厚生なんだし、使い倒さないともったいないもんな。

……昔、俺も何度かジムに通おうとしたことがある。

入会初日は張り切ってウエイトトレーニング。

二日目は有酸素マシン。

三日目は「今日は休養日だな」って言い訳して行かなくなる。

三日坊主の極み。

その時に買ったトレーニングウェアは、今じゃ立派なパジャマになってる。

フィット感が割と気に入って、もう何年も愛用しているんだが。

思わず自嘲の笑いが漏れる。

でも今回は違う。

テニス大会のフリーパスがかかってる。

社員食堂で三カ月間スペシャルランチが無料で食べ放題。

14万8千円のスコー⚫︎・ドッグも見えてくる。

……やるしかない。


翌日、出勤後に総務部へ向かった。

廊下で、君嶋部長が総務部長室に入っていく姿を見かけた。

……何でここに君嶋部長が?

まあ、部長同士の打ち合わせか何かだろう。

俺は深く気にせず総務部のカウンターへ向かった。

簡単な書類を提出して、無事にジム使用許可とパスカードゲット。

経理部に戻ると、田辺さんが近づいてきた。

「佐藤さん、テニス大会、出てくれるんですね!」

「あ、うん。部長に言われて……」

田辺さんは少し頰を赤らめながら、

「私と佐藤先輩と、先輩らしいですよ」

「先輩・・・?先輩・・・、あっ先輩ね」

あの先輩も大概よくわかんないんだよなあ・・・。

いや今は先輩のことより目の前の田辺さんだ。そんなふうに思っていると田辺さんが、照れくさそうに続けた。

「あの・・・、佐藤さん、一緒にジムでトレーニングしませんか?

私、あまり運動は得意じゃないので一緒にトレーニングしてくれる人がいれば心強いなって・・・」

……え?

一瞬、頭が真っ白になった。

一緒にジム・・・?

俺と田辺さんで、トレーニング・・・?

……あれ? もしかして、モテ期来た?

小心者で、彼女いたことない29歳社畜の俺に、

こんなチャンスが訪れるなんて。

心臓がドキドキし始めた。

「え、ええと・・・もちろん! ぜひ!」

声が裏返ったけど、

田辺さんはにっこり笑ってくれた。

俺はデスクに戻りながら、内心でガッツポーズを決めていた。

スコー⚫︎・ドッグも、フリーパスも、そして・・・、田辺さんとのジムデート(?)。

この能力、もしかして人生を変えるチートだったのかも。

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