疑惑
「とぼけているのか、それとも本気で何も分かっていないのか」
「・・・」
ハァ?
何言ってるんだこのおっさん・・・
つーかさっきからずっと頭が痛いし耳鳴りもうるさいからそろそろ帰ってくれないかな・・・気分悪すぎて吐きそうなんですが?
「お前がそういう態度なら、こちらも相応の用意があるぞ」
「えっ・・・と、それはどういう・・・」
「課長、病み上がりの怪我人ですよ」
「・・・また来る」
「えっもう帰るんですか?あっ・・・ちょっともう・・・すみません吉山さん、お騒がせしました。ご協力ありがとうございます。失礼致します。」
そう言って2人は出ていってしまった。
何なんだマジで・・・意味がわからん・・・。
ーーーふと、先ほど目に留まった両手の包帯を見つめる。襲われた時のことはよく思い出せないため、いつの間にか巻かれていた包帯だったが・・・
(まるで、誰かを殴ったみたいなーーー)
「ちょっと課長、さっきの態度はあまりにも・・・」
「京子、本部に連絡を入れて応援を要請しておけ。それからあの男ーーー吉山 咲人から目を離すな。常に人員を配置するように通達を」
「はい、了解しました・・・。けど、ちょっと吉山さんのことを警戒しすぎじゃないですか?確かに今回の被疑者・・・あの還り人の様相は凄惨でしたけど、そもそも吉山さんはあの還り人に襲われて・・・」
「警戒し過ぎるということはない。市民に被害が出てからでは遅いのだ。それに・・・いや、何でもない。とにかく、用心するに越したことはない。」
「はい、分かりました・・・」
(今回の事件・・・容疑者は明らかにいたぶることを楽しんでいた。それに現場のあの破壊規模・・・ただの犯罪者の還り人ではない。もっと危険な・・・史実に残るレベルの凶悪犯だ)
自身の拳からうっすらと漂う血の香りにーーー咲人は無意識に喉を鳴らしていた。




